WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.326の今回取り上げる単語は「wisdom」。「知恵」
という意味だ。今回もUSラップのリリックから「wisdom」の意味をチェックしていこう!
まずはNas(ナズ)の「One Love」!
Nas「One Love(1994)」
Left some jewels in his skull that he can sell if he chose
Words of wisdom from Nas: Try to rise up above残す宝石、彼の頭蓋骨、売ろうと思えば売れるよ
ナズからの知恵の言葉: 上がるためにやってみろよ
ナズが歌うのは“wisdom(知恵)”の大切さ。“ jewels(宝石)”は知恵のメタファーだ。
“Left some jewels in his skull(残す宝石、彼の頭蓋骨)”で言っているのは、その知恵を周りの人たちにシェアするということ。それをどう扱うかはその人次第だけど、やっぱりその知恵を使って、成り上がろうぜってことだね。
続いてはCommon(コモン)の「The 6th Sense」!
Common「The 6th Sense(2000)」
Travel the world and penetrate the times
Escape through rhythms in search of peace and wisdom
Raps are smoke signals letting the streets know I’m with ‘em世界を旅して時間を超える
平和と知恵を求めて、リズムに乗って抜け出す
ラップってのは発煙信号、ストリートの連中にオレはあいつらと共にいるっていうな
コモンの名曲「The 6th Sense」からの一節。
“peace and wisdom(平和と知恵)”を求めているコモンにとってラップは“smoke signals(発煙信号)”。どういった発煙信号かというとストリートで困っている、戦っている人たちに向けて、自分は君たちと共にいるよと知らせる、つまり共感装置だってことを言っているんだ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」のラストを飾るのは、Ice Cube(アイス・キューブ)のいとこでもあるラッパーのDel the Funky Homosapien(デル・ザ・ファンキー・ホモサピアン)とプロデューサーのDan the Automator(ダン・ジ・オートメーター)、そして DJのKid Koala(キッド・コアラ)が結成したプロジェクトである “ Deltron 3030 ”の楽曲「3030」!
Deltron 3030「3030(2000)」
Enterprisin’ wise men look to the horizon
Thinkin’ more capitalism is the wisdom
And imprison, all citizens empowered with rhythm
We keep the funk alive by talking with idiomsビジネスに長けた賢い人たちが見つめる地平線
資本主義についてもっと考えることが知恵なのさ
そして投獄するのさ、リズムに力を与えられたすべての市民を
だからオレたちはイディオムを使ってファンクを生き続けさせるんだ
『Delrton 3030』は、文明が崩壊し、コンピューターが世界を支配する西暦3030年を舞台に、世界を変えるために立ち上がったロボット戦士Deltron Zero(デルトロン・ゼロ)とビート職人The Automator(ジ・オートメーター)がラップを武器に戦っていくという設定の作品。
文明が荒廃してしまった世界でデルトロン・ゼロは資本主義について批判的な眼差しを向ける。資本主義に取り憑かれてしまった人々は“all citizens empowered with rhythm(リズムに力を与えられたすべての市民)”を投獄する。
つまりこれは商業的になってしまったヒップホップに対してのアンチテーゼ。
そんな商業主義に反して、ラップ戦士であるデルトロン・ゼロとビート職人、ジ・オートメーターは昔からの“idiom(イディオム、言葉)”を使って、ファンクを生き続けさせる。
つまりファンクサンプリングのリアルなヒップホップ音楽を作り続けていくってことだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。