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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.88の今回取り上げる単語は「saga(サーガ)」。
「英雄達の伝説」という意味だ。今回はまさにストリートの英雄であるラッパーたちのリリックから「saga」の使い方をチェックしていくぜ。
まず紹介するのはブルックリン・レペゼン、Joey Bada$$。 紹介するのは2015年リリースのアルバム「B4.DA.$$」から「Paper Trail$」!
①Joey Bada$$ 「Paper Trail$」
But they still planting plantations, we keep buying in, closed-minded men Pride is higher than the prices on your Pradas and Balenciagas Balance my saga with the Henny agua
「でもあいつらは未だにプランティーションをやってる。 買いに走ってる。閉ざされた心の男達。 オレ達の誇りはお前のプラダやバレンシアガの値段よりも高い。 オレのサーガを保ち続ける。このヘニーの水と共にな。」
若手ヒップホップシーンを代表するリリシスト、ジョーイ・バッダスならではの知的でコンシャスなリリック。まず彼が取り上げるのは「プランテーション」。 アメリカ合衆国の負の歴史である、奴隷を使った大規模農園のことだ。 現代社会ではもちろんそんな状況はなくなっているように見えるわけだけど、ジョーイは少し違った見方をしているんだ。
それが次のリリック、
買いに走ってる。閉ざされた心の男達。
オレ達の誇りはお前のプラダやバレンシアガの値段よりも高い。
の部分。ジョーイから見ると、今、若くしてお金を手にしたアフリカン・アメリカンの人々はプラダやバレンシアガといった白人の人々が作ったブランドを買い漁っていると。 つまりそれは新たな搾取の形であり、プランテーションの時代と何も変わっていないというメッセージを伝えてるんだ。 ただそんな中、ジョーイは1人、自分のサーガを作り上げていく。ヘネシーを一杯あおりながらって感じだ。超カッコいいぜ。
続いて紹介するのはIce Cubeの「Gangsta Rap Made Me Do It」!
②Ice Cube 「Gangsta Rap Made Me Do It(2008)」
Ice Cube is a saga Y’all spit saliva, and I spit lava I got the fearless flow Don’t get near this, ho, if you scared to go
「アイス・キューブはサーガ。 お前らがスピットしてるのはサライバ。オレがスピットしてるのはラーバ。 この怖いもの知らずのフロー。 近寄んじゃねぇよ。お前がビビってんならな。」
さすがアイス・キューブ。 アイス・キューブのレベルになると、もはや彼自身がサーガなんです。 そしてその辺のへなちょこラッパーがスピットするラップはただのサライバ(唾)だけど、彼がスピットするのはラーバ(溶岩)。 レベルが違いすぎるぜ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.88のラストを飾るのはWu-Tang Clanの「Triumph」!
③Wu-Tang Clan 「Triumph(1997)」
The saga continues Wu-Tang, Wu-Tang.
「サーガは続いていくぜ。 ウータン、ウータン!」
Ol’ Dirty Bastard(オール・ダーティ・バスタード)のパンチラインだ。 ヒップホップ・ヒストリーに残るサーガを築き上げたウータン。この曲「Triumph」が収録されたアルバム「Wu-Tang Forever」のリリースから20年後の2017年にリリースされたウータンのアルバムのタイトルが「The Saga Continues」だ。 時代を超えてもラップゲームの中でサーガを築き続けるウータン。
そんなウータンなんだけど、この度驚きのニュースが。 なんとこの度ウータンの硬派な楽曲たちが赤ちゃん用の子守唄としてカバーされること決まったんだ。「赤ちゃんにあんなハーコーな曲聞かせていいの!?」てなるかもだけど、そこはご安心。リミックスを担当する「Rockabye Baby! 」はこれまでも、ドレイクやスヌープ・ドッグなどの歌をベイビーフレンドリーな楽曲に変えてきたレーベル。現状の予定で4月リリース予定ということだ。ウータンの子守唄を聞かせながら、赤ちゃんを育ててみるのもありかも!?