WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.117の今回取り上げる単語は「stanza(スタンザ)」。
「(詩の) 連、節」を意味する単語だ。
音楽の世界では、4拍を1つのまとまりとして、1小節、「bar(バー)」と表現するけど、詩の世界では、意味のまとまりを「stanza」と言うんだ。ラップは一つ一つの“スタンザ”に込められたラッパーの人生を、ビートに乗せて届ける音楽。今回はアラバマ州をレペゼンする女性ラッパー、CHIKAが今年3月にリリースされた『Indusry Games』収録の曲である「CROWN」のリリックから“スタンザ”の使い方をチェキ!
CHIKA「CROWN(2020)」
Cold hand, sharp pencil I scribbled a stanza As my hands are trembling Grade seven, made Heaven, out of words I began to build a world that only I inhabit I got a habit of rapping ‘bout tragic sh- I think I’m just passionate Tryna steer the way while in the dark Hope I ain’t crashin’ it (Woah) Now my little hobby turned to cashin’ out Thinking ‘bout who I’d be if I listened to doubt Said I’d never do it, well look at me now
「冷たい手、鋭い鉛筆。 殴り書くスタンザ。 両手が震えている。 7年生。言葉で作り出す理想の国。 自分だけが住める世界を作り始めた。 悲劇をラップするくせがついちまった。 私はただ夢中なだけ。 暗闇の中で、舵をとろうとしてた。 壊れないように。 今じゃ私のささやかな趣味が金になった。 もし疑いに耳を傾けてたら、どんな人間になったんだろうて考えてる。 言ったよね、私は絶対にそんなことしない。今の私を見てみな。」
アラバマ出身、現在23歳のチカは今USで最も注目されている女性ラッパーの一人。2018年にインスタグラムにアップしたトランプ大統領を支持するカニエ・ウェストを皮肉るフリースタイル・ラップが話題を呼び、一躍シーンの注目ラッパーになったアーティストだ。
そんな彼女の魅力はなんといってもそのポエティックなリリック。「CROWN」はそんなチカのラップに対する熱い想いが込められた至極の1曲だ。リリックの中で彼女が歌うのは、ラップを書き始めた頃の自分。7年生の時に、一人、紙にスタンザを殴り書いていた少女の言葉は、今では世界中の多くの人々の心を動かすものになった。彼女が趣味だったラップでお金を稼げるようになったのは、何よりも自分を疑わなかったから。自分を信じることで、自分を誇ることができる。それが自分と同じ痛みを抱えている人の背中を押す力になる。チカのラップからはそんなメッセージを感じることができるね。