番外編 ジャパニーズ・アメリカン・アーティスト特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.65

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

番外編

ジャパニーズ・アメリカン・アーティスト特集
紹介アーティスト
Towkio, Mila J, Mike Shinoda
番外編 ジャパニーズ・アメリカン・アーティスト特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.65
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WHAT’S UP,  GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.65の今回は「ジャパニーズ・アメリカン・アーティスト特集」。

「ジャパニーズ・アメリカン」とは日本とアメリカの両方にルーツを持つ人々のこと。著名なジャパニーズ・アメリカンとしては彫刻家、庭園家、インテリアデザイナーなど多岐にわたる活動で知られる世界的アーティスト、「Isamu Noguchi(イサム・ノグチ)」や、第二次世界大戦の英雄であり、戦後はハワイ選出の上院議員として活躍、オバマ政権下においてアジア系アメリカ人として初めて大統領継承順位3位の役職である上院仮議長を勤めた「Daniel Ken Inouye(ダニエル・ケン・イノウエ)」などがいるよ。

現代では音楽シーンでも多くのジャパニーズ・アメリカンの人々が活躍しており、世界的なDJである「Steve Aoki(スティーヴ・アオキ)」はその代表格だね。今回はそんなUSの音楽シーンで活躍するジャパニーズ・アメリカン達を紹介するぜ!

トップバッターはシカゴ出身の26歳、Towkio(トーキオ)。父方の家系が日本にルーツを持つアーティストであり、レジェンド・プロデューサー、Rick Rubin(リック・ルービン)が約20年ぶりにマネジメント契約した今注目のラッパーだ。今回紹介するのは2015年のミックステープ、「.Wav Theory」からの1曲、「Heaven Only Knows」!

①Towkio「Heaven Only Knows(2015)」

Mind in the right field like I’m Ichiro. I shed light, they need to grow, fuck ‘em all, fuck they friends, fuck they car. Fuck your brand, fuck your blog, it’s SaveMoney. We a army full of generals here to push the envelope.
「ライト・フィールドのマインド、まるでイチロー。光を注ぐ。みんな成長しろよ。くそくらえ、あいつらの連れ、車、ブランド、ブログ。これが ” SaveMoney “ だ。オレらが限界を超えていく将軍たちの軍隊さ。」

ご存知、日本が世界に誇る野球界のスーパースター、イチロー・鈴木。シアトル・マリナーズでのMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)デビューから10年連続シーズン200安打、MLB最多安打記録である262安打など打ち立てた記録は数知れず。

日米通算安打記録である4367安打はギネス世界記録にも認定されているレジェンド・バッターだ。打者だけでも十分にすごいイチローだけど、もちろんその魅力は打撃だけじゃない。その圧倒的な守備力も彼の大きな魅力の一つ。そんなイチローが守るポジションと言えば、やっぱり「the right field (ライト)」だ。普通ならヒットになる深さのライトへの安打がレーザービームのような速度で返ってきて、気づいたらホームでアウトになる彼の守備はもはや超常現象レベル。いつしかイチローが守るライトは、イチローの背番号である「51」とアメリカのUFO話で必ずと言って出てくる超常現象のメッカ「エリア51」とかけて、人々の想像を超える超絶プレーが生まれる場所 ”エリア51 “ と名付けられた話は有名だね。

そして「right」は英語で「正しい」という意味もある。つまりトーキオは自分の「mind(精神)」を正しい場所において、音楽にストイックに取り組んで行くという決意をアメリカ中を熱狂させた偉大な日本人であるイチローにリスペクトを込めながら歌っているんだ。
「SaveMoney」はトーキオと同じくシカゴ出身のラッパーであるVic Mensa(ヴィック・メンサ)やChance The Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)などが所属する「SaveMoney」クルーのこと。自分たちのクルーをレップしてラップゲームを勝ち残って行くという強いメッセージを感じるね。

次に紹介するのはMila J(ミラ・J)。

母方のお祖父さんが日本人の日系3世だ。お祖父さんはハワイに移住した後、カリフォルニア・ロサンゼルスに移り住んだとの事で、彼女自身もロサンゼルスで生まれ育っている。小さい頃はアメリカの伝統と日本の伝統のミックス・カルチャーの中で育ったようだね。ちなみに妹はR&Bシンガー、Jhené Aiko(ジェネイ・アイコ)だ。

ミラは元々3人組ガールズグループ「Gyrl 」のメンバーとして90年代に活躍した後、ソロとしての活動を開始。Omarion(オマリオン)のアルバム「O」へのフューチャリング参加などを経て、2006年にファースト・ソロ・アルバム「Split Personality」をリリース。

最近の楽曲では特にBay Area(サンフランシスコの湾岸地域)のラッパーであるBobby Brackins(ボビー・ブラッキンズ)、G-Eazy(G・イージー)とのコラボ「Hot Box(2014)」や、Timbaland (ティンバーランド)との「Don’t Get No Betta(2016) 」などが激アツだ。

今回はそんなミラの2015年の曲「Kickin’ Back」を紹介!

②Mila J 「 Kickin’ Back(2015)」

I’m kickin’ back and I’m lightin’ up. Doin’ what the fuck I want. Just rolled a wood, I’m feelin’ good. Just me, myself and this blunt. Everything I do is way up, man. If anybody good, I swear it’s us, man. I’m vibin’, I’m chillin’, I’m good.
「キッキン・バックして。火を点けて。好きなことなんでもやって。”ウッド”を巻いて、気分はグッド。私と、私自身と、このブラント。全部マジでアガってる。もし誰かグッドな奴がいるなら、それは私達で間違いなでしょ。ヴァイブスかまして、チルってる。良い感じよ。」

  Kickin’ Back ”は”仲の良い友達だけで集まってチルする ”という意味。

リリックに出てくる” wood(ウッド)” とはウィードのラッパーの良質ブランド「Backwood(バックウッド)」の事。ミラ姐さん御一行はバックウッドで巻いたブラントを吸って、曲のタイトル通り仲の良い友達とチルってるて事だね。

ちなみにMVの冒頭で登場する超絶美人の” Miyoko “は ”Gyrl ” の元メンバーでミラの実の姉。つまりミヨコとミラ・J、そしてジェネイ・アイコは姉妹なんです。絶対近所でも評判の美人姉妹だっただろうな…。

トリを飾るのはMike Shinoda(マイク・シノダ)。
言わずと知れたレジェンド・ロック・バンド「Linkin Park(リンキン・パーク)」のヴォーカリストだ。今回紹介するのは昨年リリースされたアルバム「Post Traumatic」からの1曲、「Running From My Shadow ft. grandson」!

③Mike Shinoda「Running From My Shadow ft. grandson(2018)」

I’m running from my shadow. Running from my shadow, but it’s still there chasing me down. I’ll never win the battle. Never win the battle and I should have known it by now. Just when I think I’ve found the end (Oh whoa, whoa, whoa). I’m going back around again (Oh whoa, whoa, whoa).
「僕は自分の影から逃げてる。自分の影から逃げて、でもまだそいつは僕を追いかけてくる。この戦いには絶対に勝てないんだ。絶対に勝てない。知っておくべきだったんだ。せっかく終わりを見つけたと思ったても。また同じとこに戻っているだけなんだ。」

2017年にリンキン・パークのフロントマンだったチェスター・ベニントンが亡くなり、悲しみに暮れていたマイク。そこから1年間かけて、チェスターを失った悲しみを音楽に向かう事で少しずつ乗り越えようとし、作り上げたのアルバムが「Post Traumatic」だ。このリリックからは、心の暗闇に囚われそうになりながらも、必死にもがき、なんとか前を向こうとするマイクの強い気持ちを感じることができるね。

今回紹介したジャパニーズ・アメリカンのラッパーやシンガーはみんな世界レベルで活躍するアーティスト達。今までなんとなく聴いていたアーティストもルーツが日本にもあると知ると、少し親近感を感じたり、応援したくなったりするよね。

多民族国家であるアメリカで活躍するアーティストはそれぞれ多様な民族、文化的背景を持つ人々が多い。特にヒップホップやR&Bはアーティスト一人一人のバックグラウンドがそのまま作品に出やすいジャンルだ。

みんなのお気に入りのラッパーやシンガーもルーツを知れば、よりその人達の音楽を楽しむことができるかもね。

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