WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.76の今回紹介する単語は「dough(ドウ)」。「お金、現ナマ」という意味だ。
ヒップホップ・ドリームの象徴としてUSラッパーのMVで度々登場する大量の“ dough ”。プールサイドで仲間達とパーティーをして、“ dough ” をバラまくというヒップホップ・ドリームに憧れている人も多いんじゃないかな?
バラまくまではいかなくとも、生きていくためには何かと必要な “ dough”。今回はUSのラッパー達が “ dough” についてラップしているリリックをチェックしていくぜ!まず紹介するのはJAY-Zの「99 Problems」!
JAY-Z「99 Problems(2003)」
I’ve got the Rap Patrol on the gat patrol. Foes that wanna make sure my casket’s closed. Rap critics that say he’s Money, Cash, Hoes. I’m from the hood, stupid! What type of facts are those? If you grew up with holes in your zapatos. You’d celebrate the minute you was havin’ dough.
「オレのチャカにはラップ・パトロールが張り付いてる。敵たちはオレの棺が閉まってるか確認したがってる。好き勝手言ってるラップ批評家。”あいつは金、現金、ビッチの話ばかり”だって?オレはフッド出身なんだよ。馬鹿野郎。なにが言いたいんだって?もしお前が穴の空いた ”ザパトス” を履いて育ったとしたら、お前だって現ナマを持ってる瞬間を祝うだろ?」
ジェイ-Zが育ったのはニューヨークでも有数の “ hood(フッド)”として知られるMarcy Houses(マーシー公営団地)。そんな団地で育ったジェイからすると、彼に対して、“ あいつのリリックは金と女の話ばかり”と言ってくるラップ批評家達は何もわかってないて話。なぜなら、彼はフッド出身。穴の空いた“ zapatos(ザパトス:スペイン語で「靴」の意味)”を履いて育ったラッパーだ。新しい靴を買えなかった少年時代を過ごしたジェイからすれば、“ dough(ドウ)” を持っている瞬間を祝って、何が悪いんだよて感じだよね。
続いて紹介するのは50 Centの大ヒット曲「In Da Club」!
50 Cent 「In Da Club(2003)」
My flow, my show brought me the dough. That bought me all my fancy things. My crib, my cars, my clothes, my jewels. Look, nigga, I done came up and I ain’t changed (Yeah!).
「オレのフロー、オレのショーは現ナマを運んできてくる。現ナマはオレにファンシーなグッズを運んできてくれる。オレの家、車、服、ジュエリー。見なよ。オレは成り上がっても、変わっちゃいないぜ。」
アガるわ~。
USラップシーンの中でも抜きん出てドープなフローをかます、50セント。そんな50が世界的なラップ・スターになったきっかけとなったとのがこの曲、「In Da Club」だ。今のアラサー世代はこの曲でフィフティーを知ったという人も多いはず。曲はもちろんカッコイイんだけど、敵対するギャングに9発撃たれて生き残ったという彼のウルトラマッチョな肉体も衝撃的だったよね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.76のラストを飾るのはお金について歌った名曲といえばやはりこの曲。Wu-Tang Clan 「Enter the Wu-Tang (36 Chambers)」から 「C.R.E.A.M.」“ Cash rules everything around me(金はオレの周りの全てを支配する)”をチェキ。
Wu-Tang Clan 「C.R.E.A.M.(1993)」
But it was just a dream for the teen who was a fiend. Started smokin’ woolies at 16. And runnin’ up in gates and doin’ hits for high stakes. Makin’ my way on fire escapes. No question I would speed for cracks and weed. The combination made my eyes bleed. No question I would flow off and try to get the dough all.
「ただの夢だったんだよ、10代のヤク中には。16でWooliesを吸い始めた。ゲートを走り抜け、一か八かぶっ込んでみる。非常階段に逃げ道を作り出す。間違いねぇよ。オレはクラックやウィードを攻めた。その組み合わせはオレの目を血走らせた。 間違いねぇよ。オレは現ナマをゲットするために飛び回ってたんだ。」
Wu-Tang Clan からRaekwon(レイクォン)のヴァース。貧困の中で育った彼の少年時代の回想が聴く者の心を揺さぶるリリックだ。
ちなみに現在USのHuluではウータンの自伝的ドラマ「An American Saga」が絶賛公開中。制作にはウータンのリーダーであるRZA(レザ)が参加しており、なんとInspectah Deck(インスペクタ・デック)を演じるのはNYレペゼンの人気ラッパー、Joey Bada$$ (ジョーイ・バッダス)だ。こちらがそのトレーラー。
アツすぎる…!!
ヒップホップ・ヘッズなら今すぐに見たい「An American Saga」なのだが、残念ながら日本版のHuluではまだ配信されてない模様。Huluさん、早く日本でも配信してくれ…。