番外編 B-Boy Anthem特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.77

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

番外編

B-Boy Anthem特集
紹介アーティスト
Arthur Baker, The Jimmy Castor Bunch, RHYMESTER
番外編 B-Boy Anthem特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.77
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WHAT’S UP,  GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.77の今回は「B-Boy Anthem特集」。

“ B-Boy ” という言葉の本当の意味

皆さんご存知だろうか? “ B-Boy ” という言葉の本当の意味を。
ヒップホップ黎明期から現在に至るまで “ 譲れない美学 ” を “ ナニモノにも媚びず” 磨き続けている  “ 素晴らしきロクデナシ” 達のことを。

1970年代後半、ヒップホップ・カルチャーのオリジネーターの1人であるDJ Kool Herc(DJクール・ハーク)がサウス・ブロンクスの街角で2台のレコードプレイヤーを使い、ブロック・パーティーをしていたあの頃。ハーク達DJが回すブースの前にはいつも歌と歌の間の “ breaks(ブレークス)”と呼ばれる部分でダンスをする連中がいた。リズムに乗ったケンカごしのステップと地面を使ったトリッキーなムーヴ。そのダンスはそれまでにあったどんなダンスとも違っていた。

サウス・ブロンクスの街角で生まれたばかりだったヒップホップという文化の荒削りな感覚と、なんだかわからないけど心の奥底から魂を揺さぶられるような、今まで感じたことのないカッコ良さが詰まったそのダンスをストリートの人々は”Breakin”と呼んだ。
そしてそのダンスを踊るダンサー達は Break Boy、”B-Boy”と呼ばれることになる。
そう、B-BoyのBとは” bad “でも “ big “でもなく、“ Breakin’ ”、つまりブレイク・ダンスの事なんだ。

今回はそんな ”決して屈せざる奴らの国歌” の特集。B-Boyアンセム特集、チェックしときな!

まず紹介するのはB-Boyなら一度は必ず見た事があるだろう、レジェンド・ヒップホップ映画「Beat Street(1984)」からの1曲。「Beat Street」は1980年初頭のヒップホップ・カルチャーをフューチャーした映画。DJ、MC、グラフィティ、ブレイクダンスといったヒップホップの要素に欠かせないエレメントが劇中で出てくるヒップホップ・ファンならマスト・ウォッチの映画だ。
そんな映画「Beat Street」で特に有名なのがニューヨークのクラブ、「Roxy」でのブレイクダンス・バトルのシーン。「B-Boy アンセム特集」の1曲目はArther Baker(アーサー・ベイカー)、「Breakers Revenge」を伝説のブレイクダンス・バトル、「Roxy Battle」のシーンと共にチェキ!

Arthur Baker 「Breakers Revenge(1984)」

Say where it’s at, say where it’s at. Say, breakdancing’s where it’s at. New York City, Atlanta GA. San Francisco, Zimbabwe, Chicago, Philli and kiss the town. Kansas City all getting down, getting down. Arthur Baker, New Orleans. This is Miami and how ‘bout Queens.
「さぁ声あげな!最高にイカしてるぜ!声あげな!ブレイクダンスは最高にイカしてる!ニューヨーク、アトランタ、サンフランシスコ、ジンバブエ、シカゴ、フィラデルフィア、あの街にキスを。カンザスのみんなもゲッダウン。アーサー・ベイカー、ニューオーリンズ。こいつはマイアミ、調子はどうだ、クイーンズ?」

カッコ良すぎやろ。何回見ても鳥肌もののロキシー・バトル。出演しているのはニューヨークを代表する2つのブレイクダンス・クルー、「New York City Breakers」と「Rock Steady Crew」だ。こんなの見せられたら、そらアディダスのセットアップとカンゴール・ハットで決めて、とりあえずウィンドミルの練習始めちゃうよね。

続いて紹介するのはこちらもB-Boyなら何千回と踊った事あるでしょう、The Jimmy Castor Bunch「It’s Just Begun」。こちらは1983年公開の映画「Flashdance」の1シーンと共にチェキ!

The Jimmy Castor Bunch「It’s Just Begun(1972)」

Watch me now. Feel the groove. Into something. Gonna make you move.
「さぁ注意して見ときな。グルーヴを感じて。何かに夢中になるんだ。君を動かす何かにね。」

映画「Flashdance」はプロダンサーになる事を夢見る女の子、アレックスの青春ロマンティック映画。プロダンサーを目指すアレックスの奮闘ぶりや恋物語も十分に面白い映画なのだけど、それ以上に全世界のキッズ達に衝撃を与えたのがこのシーン。アレックスが友人とストリートを歩いていると現れるのが、ロボットのような不思議な動きをしたり、道路に手をついた状態で足を激しく使ったステップを踏んだり、あげくの果てには背中でクルクル回ったりする連中、そう、”B-Boys” だ。

このシーンの影響でストリートダンスが世界的に広まったとも言われているくらいストリートダンスの歴史において重要なシーンなんだ。そしてこの場面で使われている曲「It’s Just Begun」もB-Boyのアンセム・ソングとして世界に広まっていくことになる。日本ではこのシーンを見て、ブレイク・ダンスを始める人も多くいたし、またこの曲をサンプリングして新たなB-Boyアンセムを作るラッパー達もいた。そう、ジャパニーズ・ヒップホップ黎明期からシーンのトップを走り続けるあのグループだ。

「B-Boy Anthem特集」、ラストを飾るのはやはりこの人達、そしてこの曲しかないでしょう。何万回聞いたかわかりません、「It’s Just Begun」をサンプリングしたB-Boyアンセムであり、ジャパニーズ・ヒップホップの金字塔、“キング・オブ・ステージ ” RHYMESTERの「B-BOYイズム」!

RHYMESTER「B-BOYイズム(1999)」

決して譲れないぜこの美学。ナニモノにも媚びず己を磨く。素晴らしきロクデナシたちだけに届く、轟く、ベースの果てに。見た。揺るぎない俺の美学。ナニモノにも媚びず己を磨く。素晴らしきロクデナシたちだけに届く、轟く、ベースの如く。

いかにも俺がB-BOYの中のB-BOY。ただのB-BOY。自分が自分であることを誇る。ただそれだけ命懸けで守る。イビツにひずむ俺イズムのイビツこそ自らと気づく。奴らのカラー分かつこのプリズム。奴らに共通なこのリズム。

心を込めて描く繊細なタッチ。栄光なき天才たちに捧ぐ。僕からの鎮魂歌。または決して屈せざる奴らの国歌。生まれ育ち国籍は違え、この旗のもと忠誠を誓え。ドロにまみれつつ生きてく技術と知恵身につけ約束の土地へ。

泣きそうや。何度聴いてもめちゃめちゃええ歌やで。

この国のB-Boy、そしてヒップホップに関わる全ての人の魂に突き刺さるこのメッセージ。これからも譲れない美学を胸にナニモノに媚びず己を磨いて行きます。ありがとう、ライムスター。そしてありがとう、ヒップホップ・カルチャー。

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