ヒップホップ好きイングリッシュティーチャーTAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 。
今回は、先日26歳という若さでこの世を去ったMac Miller(マック・ミラー)追悼特集。彼の死は世界の音楽ファンにとって本当に悲しい出来事だ。本特集ではマックのキャリアを前編、後編に分け、マックの音楽、そしてリリックと共に、彼の人生を辿る。マック・ミラーというアーティストの軌跡を一ファンとして掘り下げていきたい。
ピッツバーグが生んだ偉大なアーティストと、彼が生んだ素晴らしい音楽に敬意を込めて。
目 次
生い立ち
マックは1992年、ペンシルバニア州ピッツバーグで生まれた。お父さんはキリスト教徒、お母さんはユダヤ教徒という家庭。マック自身は伝統的なユダヤ教の慣習の中で育った。
ちなみにマックのフェイバリットのユダヤ料理はNoodle Kugel(ヌードル・クーグル、ユダヤの伝統的なデザートの一つで、茹でた乾麺に砂糖やチーズ、果物、シナモンなどを混ぜてオーブンで焼くプディングのようなもの。美味しそう!)。マックはおばあちゃんが作るヌードル・クーグルがお気に入りだったらしい。
そんなユダヤの伝統的な家庭で育ったマックは、彼は自身の価値観について、アルバム「Watching Movies With The Sound Off (2013)」収録の「S.D.S.」の中で、「Jewish Buddhist consuming the views of Christianity(クリスチャンの視点を持ったユダヤ系仏教徒」と述べている。ユダヤ教の価値観をベースにしつつ、仏教やキリスト教の価値観も吸収するという意味だ。いろんなジャンルの要素を取り入れた音楽を作るマックらしい考え方だね。
ラッパーとして
さて、一体何歳頃からラップを始めたかというと、なんと8~9歳頃からラップに興味を持ち始めて、リリックを書いてたんだって。(8~9歳…小学校3,4年やん…)本格的にラップにのめり込み始めたのは14歳頃から。「やっぱオレにはこれしかない!」となり、普通のスクールライフにはおさらばして、毎日ラップしてたようだね。
そして15歳頃からEZ Mac名義でミックステープを作り始め(15歳て…どんなクリエイティブな中学生やねん…)18歳の時には地元ピッツバーグのレーベル Rostrum Recordsと契約する。ちなみにRostrum Recordsにはピッツバーグ出身の先輩Wiz Khalifa(ウィズ・カリファ)も所属している。地元が同じということもあって、マックの良き兄貴のような存在だったんだ。
メジャーシーンへ 〜①「Nikes On My Feet (2010)」〜
ラッパーとして本格的なキャリアを歩み始めたマック。まず紹介するリリックは、そんな彼が2010年にリリースしたミックステープ「K.I.D.S.(KICKIN INCREDIBLY DOPE SHIT)(2010)」からの1曲。Nasの「The World Is Yours(1994)」をサンプリングした、フック部分の「And the Nikes on my feet keep my cypher complete.」がクソかっこいい1曲だ。
Blue suede shoes stay crispy like bacon. Nikes on my feet make my cypher complete.
Uh, I stay shining like the lights on the street in the night.
青のスウェードの靴はベーコンみたいにパッキパッキ。オレのナイキがオレのスタイルを完成させる。夜のストリートの街灯みたく輝いてるぜ。
「Blue suede shoes(青のスウェードの靴) 」とはつまり「良い靴」のこと。この「Blue suede shoes」、元ネタは1950年代のバンド、Carl Perkinsにさかのぼる。エルビス・プレスリーもカバーしている曲「Blue suede shoes」聞いたことある人も多いんじゃないかな?その一説に「Blue suede shoes」は出てくる。
そんな青のスウェードの靴(マックの場合はナイキのスウェードのことだね)はまるでベーコンみたいに「Crispy(パリパリ) 」。パリパリなのは新鮮な証拠だから、「crispy=いつでも新鮮=fesh」ていう事。つまり「青のスウェードの靴はいつでも綺麗な、フレッシュな状態を保ってる」という意味なんだ。まぁ簡単に言ったら、「良え靴、大事にしぃや~」てとこだね!
そんなナイキのシューズがマックの「Cypher 」を「 Complete 」させる?「なんのこっちゃやねん!」て感じだけど、実は「Cypher」は「数字のゼロ」の意味。数字のゼロって楕円の形をしてるよね。ナイキのシューズがないと、その「円」が完成しない。
さて、靴がイケてないと、完成しないものてなんだろう?Represent(レペゼン)読者の皆ならわかるはず。そう。ファッションのコーディネートだね。つまりここでは「Cypher = 0 = ファッションのコーディネート」のこと表すんだ。
つまりナイキの靴ってのは、マックのファッション(円)を完成させる大切なファッションアイテムてこと。そんな完璧なファッションだからこそ、夜のストリートでも街灯みたく輝いてるってわけ。まさに INCREDIBLY DOPE SHIT だぜ。
Best Day Ever 〜②Party on 5th Ave.(2011)〜
さて「K.I.D.S.」のスマッシュヒットで一躍時の人となったマックは、翌年の2011年、ミックステープ「Best Day Ever」をリリース。そして満を持してのファーストアルバム、「Blue Slide Park(2011)」の登場だ。
Said this that old school shit soundin’ good in the ride. So let’s head out to the party, I’ll drive.
オレの車じゃ、オールドスクールシットが鳴り響く。さぁパーティへ向かおうぜ!車に乗りな!
「Party on 5th Ave.」は「Blue Slide Park(2011)」収録の1曲。この曲の最高なところ何といっても、DJ Mark the 45 King 「The 900 Number (1987)」のサンプリング。オールドスクーラーなら思わず踊り出してしまうパーティチューンだ。そして元ネタは Marva Whitney 「Unwind Yourself (1968)」だ。
コラボにも注目 〜③「America ft. Casey Veggies & Joey Bada$$( 2012)」〜
さぁそんな感じで、音楽ファンを虜にしていったマック・ミラー。2012年にはミックステープ「Macadelic」をリリースする。前編の締めくくりとして「Macadelic」から紹介する1曲はCasey Veggies と Joey Bada$$をフューチャリングしたDope Shit「America」。
I’m, in a room filled with holographic images. Path is limitless, death, well that’s ridiculous.
I’m a live forever, cause a legend never die. See the world as simple, but complex in the design.
ホログラムに包まれた部屋にいる。道は際限なく続くし、肉体の死なんて、まぁそんなのくだらないな。
オレは永遠に生き続けるよ。レジェンドは死なないからね。世界は単純だけど、複雑なものなのさ。
「Macadelic」をリリースした頃からマックのリリックは、キャリア初期のパーティーチューン的なものから自分の内面世界を投影するようなものに変わっていく。そしてマックの作品の中でも名盤と言われる「Watching Movies With The Sound Off(2013)」に繋がっていくんだ。
~後編へ続く~
RIP Mac Miller
TARO
訳は全て意訳です。
索引:Genius https://genius.com/
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