WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.347の今回取り上げる表現は「Zion(ザイオン)」。レゲェ文化やラスタファリ思想で使われる言葉で「約束の地」を意味する単語だ。今回もアーティストたちのリリックから「Zion」の意味をチェックしていこう!
まず紹介するのは、Bob Marley & The Wailers(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ)「Iron Lion Zion」!
Bob Marley & The Wailers「Iron Lion Zion(1992)」
I’m going to be Iron like a Lion in Zion
オレは鋼鉄のように強くなる、まるでザイオンのライオンみたくね
ボブ・マーリーのリリック。
ラスタファリ思想は、奴隷としてアフリカから無理やり連れてこられた黒人の人々が、アフリカに回帰するという考えがベースとなってできあがった思想。
その中で、アフリカの国、エチオピアに約束の地である“ザイオン”があると言われているんだ。そして、ライオンは旧エチオピア国旗に描かれていたシンボルであり、「勇敢さ」や「リーダーシップ」を表しているもの。
つまりボブ・マーリーは鉄のように強く、ライオンのように勇敢に、約束の地“ザイオン”を目指すということを、ラスタファリ思想に関連したワードを出しながら、歌っているわけだね。
続いてMac Miller(マック・ミラー)の「S.D.S.」!
Mac Miller「S.D.S.(2013)」
Search the world for Zion or a shoulder I can cry on
世界を巡って探すザイオン、もしくは涙を流せる誰かの肩
Flying Lotus(フライング・ロータス)が参加したビートが心地良い一曲で、マックが歌うのは、自分の心の中の葛藤。彼は世界中を回って約束の地、ザイオンを探している。しかし彼が本当に欲しているのは、“a shoulder I can cry on(涙を流せる誰かの肩)ってわけだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.347のラストは、Fugees(フージーズ)のクラシック「Fu-Gee-La」!
Fugees「Fu-Gee-La(1995)」
A boy on the side of Babylon
Tryin’ to front like you’re down with Mount Zionあいつはいるのはバビロン側
でも表面だけ取り繕ってる、まるでザイオン山
フージーズからWyclef(ワイクリフ)のリリック。
“Babylon(バビロン)”はラスタファリ思想において弱い人々を抑圧する権力側、体制側を意味する言葉。 そして“front(フロント)”は「嘘をつく、リアルじゃない振る舞いをする」といった意味のスラングだ。
つまりワイクリフは、実はバビロン側にいるくせに、弱い立場の人々の味方ぶってる偽善者をディスってるってわけだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。
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