philosophy|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.258

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

philosophy

哲学
紹介アーティスト
Protoje, Mos Def, Gang Starr
philosophy|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.258
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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.258の今回取り上げる英語は「philosophy(フィロソフィー)」。「哲学」という意味の単語だ。
今回は確固たる哲学をもったアーティストたちのリリックから「philosophy」の使い方を学んでみよう!

まず紹介するのは、ジャマイカ・レゲェシーンからProtoje(プロトジェイ)の「Who Knows」!

Protoje「Who Knows(2014)」

Every man to dem own a philosophy
I live the proper way and then mi read a chapter daily

どんなやつだって、自分の哲学を持ってるだろ
オレは正しい生き方をして、毎日聖書を読んでるぜ

レゲエ・リヴァヴァルのムーヴメントをリードするプロトジェイのリリック。
本来、レゲェという文化は、ジャマイカにおいて搾取され続けてきたアフリカ系の人々が中心になって作り上げた文化であり、そこには厳しい現実を生き抜き、希望を見出すための哲学を深く織り込まれている。プロトジェイは毎日聖書を読み、哲学を深め、人々に向けてのメッセージをレゲェミュージックに乗せて届けているんだ。

続いてはMos Def(モス・デフ:現 Yasiin Bey)の「Brooklyn(1999)」!

Mos Def「Brooklyn(1999)」

Philosophy redefine us, touch mines I touch back

哲学をオレたちを再定義する、オレのに触れたら、触れ返すぜ

ブルックリンをレペゼンし、ヒップホップカルチャーにおける哲学思想を常に大事にしているラッパー、モス・デフのパンチライン。“Philosophy redefine us(哲学をオレたちを再定義する)”のラインの通り、新しい思考、深淵な哲学を学ぶということは常に僕たちの価値観を再定義してくれる。モス・デフの哲学に触れたら、触れ返される。つまり、価値観の交換をするということだね。モス・デフならではの詩的で思想性溢れるリリックだ。

「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.258のラストを飾るのはGang Starr(ギャング・スター)の「Family and Loyalty(2019)」!

Gang Starr「Family and Loyalty ft. J.Cole(2019)」

Meant to be protected, mentally we let this
Poison of Western philosophy make us sloppy
We forgot we are the chosen
From hip-hop to astronomy, they copy what we showed ‘em

守られるべきものなのに、オレたちは許してしまったのさ
西洋哲学の毒がオレたちを怠惰にさせることをな
オレたちは選ばれた者であることを忘れてしまったのさ
ヒップホップから天文学まで、あいつらはオレたちが見せてきたものをコピーしてる

フィーチャリングで参加しているJ.Cole(J・コール)のリリック。
内容は西洋人によって破壊されてしまったアフリカ系の人々の文化についてだ。
近世以降、ヨーロッパ諸国のアフリカ侵略と奴隷制によって、アフリカでは古代から築きあげてきた伝統的社会が破壊され、現在に至るまでの貧困と混乱が生み出された。
さらに多くの人が強制的に奴隷としてアメリカに連れていかれ、長きに渡り搾取され、虐げられために、アメリカ社会におけるアフリカ系コミュニティの貧困率の高さという深刻な問題が今も続いている。

ただJ・コールがアフリカ系の人々のことを“the chosen(選ばれし人々)”と歌っているように元々古代世界においてアフリカの人々は世界的に見ても、非常に独自性の高い芸術感覚や先進的な科学の知識を持っていたと言われている。

もちろん現在ではアフリカ系の人々はヒップホップという文化を生み出し、芸術の分野で素晴らしい活躍をしているよね。

だからこそコールが歌っているのが “From hip-hop to astronomy, they copy what we showed ‘em(ヒップホップから天文学まで、あいつらはオレたちが見せてきたものをコピーしてる)”の部分。つまりアフリカ系の人々が作り上げた文化を他の人種の人々が安易に外側だけ真似をしているということ。

もちろんヒップホップは今やユニバーサルなものになっているのだけど、やっぱり元はアフリカ系の人々の苦難の歴史から生まれているもの。

だからこそ安易な真似でなく、きちんと文化に敬意を払って、表現しないといけない。
文化を表現する上で最も大事にしたい意識をJ・コールは伝えているんだ。

 

【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。

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