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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.140の今回取り上げる単語は「loot(ルーツ)」。
スラングで「お金」とい意味だ。早速USラップでの使われ方をチェックしてみよう!
まずチェックするのは、Snoop Dogg(スヌープ・ドッグ)、Xzibit(イグジビット)、Nate Dogg(ネイト・ドッグ)の「Bitch Please」!
Snoop Dogg「Bitch Please ft. Xzibit & Nate Dogg(1999)」
Drunk drivin’, tryna stack my loot While other rappers gettin’ Treated Like a Prostitute So check the SoundScan
「酔っ払ってドライブ、積み重ねる金。 他のラッパーたちが売春婦みたいに扱われてる横で、 サウンドスキャンをチェックする。」
「Bitch Please」からイグジビットのヴァースだ。サウンドスキャンとはアメリカの音楽分野専門の市場調査会社ニールセン・サウンドスキャンのこと。売れっ子ラッパーであるイグジビットは、他のラッパーたちのことなんて眼中にない。酒を飲んで、ドライブを楽しみ、自分のCDの売り上げをチェックしてるてわけ。ちなみに“ While other rappers gettin’ Treated Like a Prostitute(他のラッパーたちが売春婦みたいに扱われてる横で)”のリリックは、ヒップホップ草創期のレジェンド・ラッパー、Slick Rick(スリック・リック)の曲、「Treat Her Like A Prostitute」からのサンプリング。イグジビットのオールドスクールのラップへの敬意を感じるぜ。
続いては、Nas(ナズ)の「Life’s a Bitch」!
Nas 「Life’s a Bitch(1994)」
Once I stood on the block, loose cracks produce stacks I cooked up and cut small pieces to get my loot back Time is illmatic, keep static like wool fabric Pack a 4-matic to crack your whole cabbage
「あの頃立ってた街角。クラックを捌き、作り出す札束。 調理して、細かく刻む。オレの金を取り戻すために。 時はイルマティック。キープするスタティック。まるでウールのファブリック。 4マチックを忍ばせる。お前のキャベツをぶっ飛ばすためさ。」
ナズが青年時代を過ごした80年代後半から90年代初頭のニューヨークはCrack epidemic(クラック・エピデミック)と呼ばれるコカインの大流行の真っ只中。若者達は皆コカインの売買に手を染め、街は中毒者で溢れかえり、ドラッグのディールによるトラブルでギャング同士が抗争を繰り広げるという荒れた時代だったんだ。そんな“イルマティック”な時代で、ナズがキープしていたのは“static(静電気)”。実はstaticにはスラングで「喧嘩」と言う意味がある。そして静電気を起こしやすい素材としてよく知られているのが、ウールだ。つまり“keep static like wool fabric(キープするスタティック。まるでウールのファブリック)”のリリックは、ナズが若い頃は、周りで喧嘩が絶えなかったこと表しているんだ。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.140のラストは、The Notorious B.I.G. の「Gimme the Loot」!
The Notorious B.I.G. 「Gimme the Loot(1994)」
So lace up your boots, ‘cause I’m about to shoot A true motherfucker going out for the loot
「お前のブーツを締め上げな。なぜならオレがぶっ放しに行くからな。 リアルなマザーファッカーは金のために出かけるぜ。」
lootというワードを使った曲といえば、やはりこの曲「Gimme the Loot」。 サビ部分の“Gimme the loot, gimme the loot”のリリックは、Travis Scott(トラビス・スコット)の「Sicko Mode」や、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)の「7 rings」などでもサンプリングされているよ。