WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.320の今回取り上げる英単語は「punchline(パンチライン)」。「話のオチ、インパクトの強いフレーズ」といった意味で使われる言葉だ。今回も間違いないパンチラインをかます、USラッパーたちのリリックから“punchline”の使い方をチェックしていこう!
まず取り上げるのは、Eminem(エミネム)の「Rap God」!
Eminem「Rap God(2013)」
But I gotta keep a few punchlines
Just in case ‘cause even you unsigned
Rappers are hungry lookin’ at me like it’s lunchtimeいくつかパンチラインを残しておかなきゃな
念のため、まだ契約のないお前にもな
ラッパーたちは腹を空かせてる、ランチタイムみたくオレを見つめてるよ
ラップ神、エミネムからのパンチライン。トップスターであるエミネムは当然ヘイターも多い。
まだ契約をしていない若手ラッパーも、エミネムをディスることで注目を得ようとしてる。そんな連中を黙らすためにエミネムはパンチラインをストックしてるってことだね。
続いて紹介するのはNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)の「Feeling Myself(2015)」!
Nicki Minaj「Feeling Myself(2015)」
Bitches ain’t got punchlines or flow
I have both and an empire also
Keep gettin’ gifts from Santa Claus at the North Pole
Today I’m icy, but I’m prayin’ for some more snowビッチたちは持ってない、パンチラインとフロー
私は両方と帝国も持ってる
北極のサンタクロースからもらい続けるギフト
今日は私はアイシーだけど、もっと雪が欲しいって祈ってるの
「冬」というテーマで、様々な言葉を散りばめたニッキーのパンチライン。
まず“Santa Claus at the North Pole(北極のサンタクロース)”という言葉で冬を連想させたニッキーが、続けて繰り出すのが“I’m icy(私はアイシー)”という言葉。
「冬だから寒い」という意味と「ジュエリーをたくさん身につけている」というダブルミーニングってわけだね。そして“ I’m prayin’ for some more snow(もっと雪が欲しいって祈ってるの)”の“snow”は実は「コカイン」を意味するスラング。
“雪”がたくさんあるところと言えば、そう、「北極」だよね。つまりこのリリックの前半部分「北極のサンタクロースからもらい続けるギフト」が意味するのは、ドラッグの売人がたくさんコカインを運んでくれるという事を意味してるわけだ。マジでテクニカルなリリックだよね。
ちなみにニッキー本人はコカインなどは一切やらない主義なので、あくまでラップの中での表現としてドラッグのスラングを上手く使ってるって感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.320のラストを飾るのはJoey Bada$$(ジョーイ・バッダス)の「Survival Tactics」!
Joey Bada$$「Survival Tactics(2012)」
Everybody claim they used to rap
But these ain’t even punchlines no more, I’m abusing tracks
Leaving instrumentals blue and black
I’m in Marty McFly mode, so tell ‘em that the future’s backみんな「昔はラップやってた」って言うけど
パンチラインをかましてねぇよな、オレならトラックを痛めつける
インストを青と黒に染め上げる
今はマーティ・マクフライ・モード。あいつらに言ってやるのさ、「未来が戻ってきたぜ」って。
フィーチャリングで参加してるCapital STEEZ(キャピタル・スティーズ)のこれぞパンチラインというリリック。「パンチライン」という言葉に含まれる「パンチ」というワードから、言葉を紡ぐキャピタル・スティーズは、まさにハードパンチのような強烈なリリックで、“トラックを痛めつけ”、“インストを青と黒に染め上げる(青と黒はアザのこと)”。
マーティ・マクフライは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公だ。
圧倒的なライミングをかますキャピタル・スティーズのパンチラインは時間を超越するものであり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』になぞらえて、流行に流される他のラッパーをディスってるわけだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。