祝300回記念!エミネム、ジェイ・Z、ナズのパンチライン特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.300

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

紹介アーティスト
Eminem, JAY-Z, Nas
祝300回記念!エミネム、ジェイ・Z、ナズのパンチライン特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.300
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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。

今回は記念すべき300回目。ここまで続けてこれたのも編集部、そして読者のヘッズのみんなのおかげだ。いつも読んでくれている皆さん本当にありがとう!

感謝の気持ちを込めて送る第300回はレジェンド・ラッパーのパンチライン特集。
Eminem(エミネム)、JAY-Z(ジェイ・Z)、そしてNas(ナズ)というレジェンド・ラッパーたちのリリックから君の気持ちを熱くする名パンチラインを取り上げるよ!

まず紹介するのはエミネムの「Who Knew」から世界のヒップホップヘッズに送る名ライン!

Eminem「Who Knew(2000)」

I don’t do black music, I don’t do white music
I make fight music for high school kids

黒人音楽もやってねぇし、白人音楽もやってねぇ  
高校生のキッズたちのために、戦う音楽を作ってんだよ​​

黒人のアーティストが大半を占めるUSラップシーンで、白人のエミネムはとかく白人であることで色眼鏡で見られがち。だけど当の本人は、そもそも黒人だとか白人だとか、人種で音楽のジャンルを分けていない。そもそも彼はキッズのための“ファイト・ミュージック(闘いの音楽)”を作っているということ。めちゃめちゃかっこいいよね。

続いて紹介するのはJAY-Zの「99 Problems」からヒップホップバイブス溢れる名パンチライン!

JAY-Z「99 Problems(2003)」

If you grew up with holes in your zapatos
You’d celebrate the minute you was havin’ dough

もしお前が穴の空いた ”ザパトス” を履いて育ったとしたら
お前だって現ナマを持ってる瞬間を祝うだろ?

ジェイ・Zからラップ批評家やヘイターたちに向けた強烈なメッセージ。
彼が育ったのはニューヨークでも有数の “ hood(フッド)”として知られるMarcy Houses(マーシー公営団地)。ジェイ・Zはそんな団地で、穴の空いた“ zapatos(ザパトス:スペイン語で「靴」の意味)”を履いて育ったラッパーだ。よくラップ批評家やヘイターたちはジェイがお金の話ばかりし過ぎだって言うけど、新しい靴を買えなかった少年時代を過ごしたジェイからすれば、“ dough(現ナマ)” を持っている瞬間を祝って、何が悪いんだよて感じだよね。

ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。 Vol.300のラストを飾るのは、ナズの「The World Is Yours」!

Nas「The World Is Yours(1994)」

Wipe the sweat off my dome, spit the phlegm on the streets
Suede Timbs on my feets makes my cipher complete

坊主頭から汗を拭い、ストリートに痰を吐く
足元のスウェードのティンバーがオレのサイファーを完成させる

ナズ屈指のパンチライン。注目したいのは“足元のスウェードのティンバーがオレのサイファーを完成させる”というリリック。

ストリートでは「ラッパーやダンサーが円になって自分のスキルをフリースタイルで見せ合う」という意味で使われている単語「cypher(サイファー)」(cipherとも表記)は元々は「暗号文、数字のゼロ」といった意味の言葉。

元々は円になって技を見せ合うといった意味ではなかったんだ。

実はこの「cypher」という言葉に今のストリートでの使い方に繋がる新たな意味合いを足したのが、1960年代にニューヨークのハーレムで始まったアフリカン・アメリカンを中心とする思想団体、ファイヴ・パーセント・ネーション。

サイファーは数字のゼロを意味し、ゼロは切れ目のない円であることから、サイファーという言葉は切れ目のないパワーの循環、完全なエネルギーのサイクルを意味すると定義づけしたんだ。

それが次第にストリートに広まっていき、ヒップホップカルチャーで円になって、技を見せ合う時に使われるようになったとされているんだ。

このナズのリリックでのサイファーはまさにファイヴ・パーセント・ネーションが定義した切れ目のない“完璧な状態”を意味している。

つまりナズのファッション、そしてヒップホップバイブスは90年代NYファッションには欠かせないアイテム、スウェードのティンバーランドを履くこと完成するということを歌っているわけだね。

いやはや、さすが史上最高のリリシスト、ナズ。半端ないっす。

 

【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。

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