WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.311の今回取り上げる英単語は「hood rich(フッドリッチ)」。「フッドの金持ち」という意味だ。今回もUSラッパーたちのリリックから「フッドリッチ」の使い方をチェックしていこう!
まず取り上げるのは、Lil Baby(リル・ベイビー)の「All In」!
Lil Baby「All In(2020)」
Swear to God, since I was seventeen, I been hood rich
神に誓うよ、オレは17歳の時からずっとフッドリッチ
現行アトランタのトラップシーンを背負って立つラッパー、リル・ベイビー。
実はこの17歳という年齢は、彼にとって大きな転機となった時期。当時ドラッグの売人だったリル・ベイビーがラッパーとしてのキャリアを歩み始めたのがこの時期なんだ。
『Rolling Stone』のインタビューによると、アトランタに拠点を置く音楽レーベル、Quality Control Musicの創設者であるケヴィン・リー氏はリル・ベイビーのラッパーとしての才能と、地域で一目置かれているそのカリスマ性に惚れ、彼にラップをすることをアドバイス。次第にラッパーとしてスキルを身につけたリル・ベイビーは2017年に同レーベルからミックステープ「Perfect Timing」をリリース。シーンの大きな話題を集め、その翌年にはデビューアルバム「Harder Than Ever」で一気にUSのトップラッパーの一人になったんだ。
つまりこの17歳という歳は彼が音楽のキャリアをスタートした時期であり、そこからずっと売れ続けてるぜってことを歌ってるわけだね。
続いてチェックするのはこちらもアトランタ・ヒップホップシーンを代表するラッパー、Gucci Mane(グッチ・メイン)の「Trap House」!
Gucci Mane「Trap House(2005)」
Choppa on the floor pistol on the couch
Hood rich so I never had a bank account床の上のチョッパ、 ソファの上のピストル
オレはマジでフッドリッチ、だから銀行口座を持ったことはないぜ
アラバマで生まれ、幼い時にアトランタに引っ越したグッチ・メインは10代からドラッグ・ディーラーとして活動。ハードなストリート・ビジネスの現場を生き抜いてきたラッパーだ。
ストリートライフから抜け出すために始めたラッパーとしてのキャリアの中で、2005年にリリースしたのがデビューアルバム『Trap House』。同名シングルであるこの曲で歌われてるのは、ギャングの抗争をくぐり抜けてきグッチのリアル過ぎるライフスタイルだ。彼の家の床に無造作に転がるチョッパ(AK-47)に、ソファの上のピストル。
ハードなストリートライフを描写しながら、フッドリッチであるグッチがラップするのは銀行口座を持ったことがないということ。イリーガルなお金だから銀行に入金できないのか、単純に全て現金で金庫に保管するタイプなのか… どちらにせよ、イカつ過ぎるぜ…
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.311のラストを飾るのは、同じくアトランタ出身、お母さんがグッチ・メインのマネージャーを務めていたこともあるラッパー、Waka Flocka Flame(ワカ・フロッカ・フレイム)の「Hard in Da Paint」!
Waka Flocka Flame「Hard in Da Paint(2009)」
A couple girlfriends, I’m so hood-rich
何人かいるガールフレンド、オレはマジでフッドリッチだぜ
「O Let’s Do It」や「No Hands」のヒットで人気ラッパーの仲間入りを果たしたワカ。
売れてお金持ちになったワカは、まさにフッドリッチ。ガールフレンドがたくさんできちゃうぐらい女の子にもモテモテって感じだね。
現在はラッパーとしての活動はあまりしていないワカなんだけど、実はここ数年、彼が力を入れているのが政治活動だ。2015年には大統領選に立候補しようとしたんだけど、2016年の大統領選挙時点で30歳であったため、憲法上必要な35歳未満になり、出馬できず。現在もソーシャルメディアで積極的に政治に関する発言をしているんだ。
近い将来、ワカがアトランタの議員になる日が来るかも?
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。