henny|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.313

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

henny

ヘネシー
紹介アーティスト
Nas, Nicki Minaj, Joey Bada$$
henny|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.313
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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.313の今回取り上げる英単語は「henny」。フランスで作られるコニャックのブランド、Hennessy(ヘネシー)のスラングだ。USラップでは昔からよく使われているスラングであり、最近では日本語ラップでも取り入れられていることも多いよね。今回もUSラッパーたちのリリックから「henny」の使い方をチェックしていこう!

まず取り上げるのはhennyといえばこの人、先日の日本公演も大盛況だったNas(ナズ)の「Take It in Blood」!

Nas「Take It in Blood(1996)」

I don’t stunt, I regulate
Henny and Sprite I separate, watchin’ crab niggas marinate

オレは見せびらかさない、ただ統制するのさ
へニーとスプライトは別々で飲む、カニ野郎どもがマリネイトするのを眺めながらな

ヘネシーをスプライトで割る飲み方もあるけど、ナズは別々で飲むタイプ。
そして特に秀逸なのは次のライミング“watchin’ crab niggas marinate(カニ野郎どもがマリネイトするのを眺めながらな)”だ。

“crab niggas(カニ野郎ども)”とは、ナズに敵対する人たちやヘイターたちのこと。例えば、カニをバケツの中に入れると、何匹かはすぐに脱出しようとするのだけど、他のカニが逃げようとしたカニの足を引っ張って抜け出せなくなり、勝手に“マリネ(ソースに漬ける)”にされてしまうってこと。つまりナズは何もしなくても、ヘイターたちは勝手に自滅するってわけだね。

続いてチェックするのは今年1月にリリースされたNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)からMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)への痛烈ディス ​​「Big Foot」!

続いてチェックするのは今年1月にリリースされたNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)からMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)への痛烈ディス ​​「Big Foot」!

Nicki Minaj「Big Foot(2024)」

Your flow is such a bore
Drinkin’ a bottle of Henny through a straw

あんたのフローはマジで退屈
へニーをストローで飲んじゃって

2019年にはミーガンのヒットシングルとなった「Hot Girl Summer」で共演し、関係良好だったニッキーとミーガンだが、徐々に関係が悪化、今年1月にミーガンがニッキーへのディスソング「HISS」をリリースし、そのわずか三日後にニッキーがこの「Big Foot」をリリースするというディス合戦になっていたんだ。ここでディスられているのはミーガンのフローとヘネシーの飲み方。ミーガンがヘネシーをストローで飲んでいることをダサいってディスってるってわけだね。

ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.313のラストを飾るのは、Joey Bada$$ (ジョーイ・バッダス)の「Paper Trail$」!

Joey Bada$$ 「Paper Trail$(2015)」

But they still planting plantations,
we keep buying in, closed-minded men
Pride is higher than the prices on your Pradas and Balenciagas
Balance my saga with the Henny agua

でもあいつらは未だにプランティーションをやってる
買いに走ってる。閉ざされた心の男達
オレ達の誇りはお前のプラダやバレンシアガの値段よりも高い
オレのサーガを保ち続ける。このヘニーの水と共にな

現代USラップシーンを代表するリリシスト、ジョーイ・バッダスならではの知的でコンシャスなリリック。まず彼が取り上げるのは「プランテーション」。 アメリカ合衆国の負の歴史である、奴隷を使った大規模農園のことだ。 現代社会ではもちろんそんな状況はなくなっているように見えるわけだけど、ジョーイは少し違った見方をしているんだ。
ジョーイから見ると、今、若くしてお金を手にしたアフリカン・アメリカンの人々はプラダやバレンシアガといった白人の人々が作ったブランドを買い漁っていると。 つまりそれは新たな搾取の形であり、プランテーションの時代と何も変わっていないというメッセージを伝えてるんだ。 ただそんな中、ジョーイは1人、自分のサーガを作り上げていく。ヘネシーを一杯あおりながらって感じだ。超カッコいいぜ。

 

【歌詞出典元】Genius

*訳は全て意訳です。

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