WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.197の今回取り上げる言葉は「cigar(シガー)」。
「葉巻」という意味だ。早速USラップでの使われ方をチェックしてみよう!
まずはNas(ナズ)の「Affirmative Acttion」!
Nas「Affirmative Acttion」
Life’s a bitch, but God forbid the bitch divorce me I’ll be flooded with ice, so Hell fire can’t scorch me Cuban cigars, meetin’ Foxy at Demars, movin’ cars Your top papi Señor Escobar
人生はビッチ、でも神様はそのビッチと離婚することを許してくれた アイスと共に流れ出る、だから地獄の炎はオレを焦がせない キューバ産のシガー、ディマーズでフォクシー・ブラウンと会って、車を動かす お前の最高のパパ、エスコバル様だぜ
ナズの名リリック。冒頭の“Life’s a bitch(人生はビッチ)”で出てくる“bitch”にはクソという意味があり、“Life’s a bitch(人生はビッチ)”は「人生はクソだ」という意味になる。 そしてその後に続くラインが秀逸。“God forbid the bitch divorce me(神様はそのビッチと離婚することを許してくれた)”ということで、そのクソみたいな人生から抜け出すことができたと言っているんだ。続いて“ice(アイス:ジュエリーのこと)”を身につけたナズは冷たすぎて、“Hell fire(地獄の炎)”でも焼くことができない。スラングのダブルミーニングを上手く使ったテクニカルかつリリカルなパンチラインだ。そしてキューバ産の葉巻を吸いって、フォクシー・ブラウンと待ち合わせをするナズ。その姿はまるで伝説的なコロンビアのギャング、パブロ・エスコバルのようて感じだね。
続いてはBeyoncé(ビヨンセ)の「Drunk in Love」!
Beyoncé「Drunk in Love」
Cigars on ice, cigars on ice Feelin’ like an animal with these cameras
アイスの上の葉巻、アイスの上の葉巻 たくさんのカメラ、まるで動物みたいな気分
ビヨンセのリリック。パーティーを楽しむビヨンはロックで割ったウィスキーのグラスの上に葉巻をのせてるてイメージだね。ただそのパーティーでも周囲の人々が彼女にカメラを向けてくる。まるで動物園の動物にでもなった気分てわけだ。ただ実はこの「cigars on ice」にはスラングで「男性の勃起を冷ます、オーラルセックスをする」などの意味があるという説もあって、ビヨンセがどちらの意味で言ったかは不明。ちなみに夫のJay-Zは大の葉巻好きで知られていて、葉巻雑誌でも取り上げられるほど。ビヨンセとジェイ・Zの夫婦で葉巻吸ってたらそら絵になるよね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.197のラストを飾るのは、Frank Ocean(フランク・オーシャン)の「Pyramids」!
Frank Ocean「Pyramids」
Bubbles in my champagne, let it be some jazz playing Top floor motel suite twisting my cigars
シャンパンの泡、ジャズを流そうぜ 最上階、モーテルのスイーツ 葉巻を巻くぜ
モーテルの最上階でジャズを流しながらシャンパンを飲むフランク・オーシャン。 そこで葉巻の巻紙を使って、ウィードを巻きながらチルってるて感じだね。フランク・オーシャンは最近本業のシンガー以外にも映画監督やラグジュアリーブランドのプロデュースにも活動の幅を広げていて、最新の情報では映画制作の準備をしており「mid90s」や「MOONLIGHT」などの制作で知られる映画プロダクション「A24」と配給の話しをしているとのこと。これまでの音楽の分野で感度の高い作品を作ってきたフランク・オーシャンだけに映画界での活躍も楽しみだね。