『POWER / パワー』を観るべき理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.162

ラッパー、50セントが描くストリート叙事詩

ライター:TARO

「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回はラッパー、50 Cent(フィフティ・セント)がプロデュースに携わったクライム・ドラマ『POWER / パワー』。

『POWER / パワー』とは?

ニューヨークの大箱クラブ “トゥルース” を経営する実業家、ジェームズ・セントパトリック(オマリ・ハードウィック)。マンハッタンの豪華なペントハウスに家族と暮らし、運転手付きの高級車で出勤する全てを手にした完璧な男だ。ただ実はそんな彼の裏の顔はニューヨークの裏社会を仕切る凄腕のドラッグ・ディーラー“ゴースト”。長年の連れであるトミー(ジョセフ・シコラ)とともに、“ハスリング”で貧困から成り上がってきたギャングスタだ。表の顔であるクラブ・オーナーとしてなんとか堅気の道で生きていこうとするゴーストだが、裏社会のしがらみ、そして長年関わってきたドラッグ・ビジネスからはなかなか抜け出せず…

①50セントが描く
“リアル・ストリート”

なんといってもこのドラマの最大の魅力はレジェンド・ラッパー、フィフティ・セントがプロデュースに携わっているところ。ニューヨーク・クイーンズの貧しい家庭に生まれたフィフティは十代前半からドラッグディーラーとしてストリートライフに身を置きながらも、その類稀なる才覚と努力で全米トップのラッパーに成り上がった正真正銘の“ハスラー”だ。

そんな彼だからこそ描けるリアルなアメリカの”ストリート”の風景、そして成り上がりの物語が『POWER / パワー』を唯一無二のクライム・ドラマたらしめているんだ。

② まるでエミネム×50セント?
トミーとゴーストの熱すぎるバディ関係

物語の主人公であるゴーストとタッグを組むのが白人の地元の連れ、トミー。ゴーストとは長年の友人であり、苦楽をともにしてきた家族同然のパートナーだ。そんなゴーストとトミーの関係性が彷彿とさせるのが、フィフティと彼の恩人でもあるラッパー、EMINEM(エミネム)の関係。

今では誰もが知るヒップホップ・スターのフィフティだけど、そのデビューまでの道のりは本当に壮絶なもの。ドラッグディールの傍ら、ラッパーとしてデビューすることを夢見ていたフィフティは努力の末に、名門コロンビアレコードとの契約を掴むのだけど、もうすぐデビューというタイミングで敵対するギャングから9発の銃弾を浴びて瀕死の重傷を負うことに。奇跡的に命は取り留めたのだけど、ギャングとのつながりを問題視したコロンビアはフィフティとの契約を解除。デビュー直前でフリー状態となってしまったんだ。

そんな彼に救いの手を差し伸べたのが当時時代を席巻していたスーパースター、エミネム。フィフティのラップを聞いて衝撃を受けたエミネムは、自身のレーベルShady Records(シェイディ・レコーズ)に彼をスカウト。その後フィフティはファースト・アルバム『Get Rich or Die Tryin’』をリリースし、大ヒットを記録。アメリカを代表するアーティストになっていくんだ。フィフティ自身あるごとにエミネムへのリスペクトや感謝を表しており、その繋がりの強さはヒップホップシーン随一。『POWER / パワー』でのゴーストとトミーの関係性は、そんなフィフティとエミネムの関係が投影されているとも言えるね。

③ 銃撃戦やアクションだけではない
重厚な人間ドラマ

クライムドラマ、ギャング映画と聞くと、派手な撃ち合いやアクションを期待する人も多いかもだけど、『POWER / パワー』の見どころはどちらかというと、アクションよりも重厚な人間ドラマ。俳優たちの会話劇や内面的な心情の描写が物語の中心だ。特に主人公のゴーストの内面の葛藤は物語の核となる部分。ゴーストは若い頃からずっと裏稼業で稼いできたが、本当は真っ当な仕事で生きていきたいと思っている。ただ実際には裏社会のしがらみからなかなか抜け出せない。まさにこの葛藤はプロデュースに携わるフィフティ自身が経験してきたことであり、彼にしか描けない部分でもあるよね。

④50セント、ケンドリック・ラマーも参戦!
ヒップホップ愛あふれる豪華キャスト

『POWER / パワー』は脇を固めるキャストたちも個性豊かなメンバーが揃ってる。ゴーストの妻“ターシャ”を演じるナトゥーリ・ノートンは元々シンガーであり、2000年代初頭に活躍したガール・グループ、3LWのメンバーだ。またプロデューサーであるフィフティ・セント自身も麻薬王カナンとして登場。さらにカメオ出演しているのが、ケンドリック・ラマー。ホームレス役で出演し、素晴らしいパフォーマンスを見せている。ヘッズならヒップホップ、R&Bスターたちの演技はマストチェックだね。

⑤ Money, Power, Respect
フッドを抜け出すためのパワーゲーム

ヒップホップシーンで成り上がるために大事な要素とされる “Money, Power, Respect”。
街のハスラーから、ニューヨークの一等地でクラブをオープンするまでに成り上がったゴーストとトミーは果たしてニューヨーク裏社会のパワーゲームを制し、フッドのしがらみから抜け出すことができるのか?フィフティが描くまさに “Get Rich or Die Tryin”なストリートストーリーをぜひチェックしてみて欲しい。

画像出展元:STARZ

配信先:Amazon Prime

タグ一覧