DJ Mustard 特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.284

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.284の今回は2010年代のヒップホップシーン最大のヒットメイカーの一人、DJ Mustard(マスタード)特集。

YG(ワイ・ジー)、Ty Dolla $ign(タイ・ダラ・サイン)、Tyga(タイガ)、Migos(ミーゴス)といったラッパーへの楽曲提供、そしてElla Mai(エラ・メイ)のプロデュースなど、2010年代から現在へ至るヒップホップ、R&Bシーンの拡大に多大な貢献をしたスーパー・プロデューサーのキャリアをヒットソングとともに振り返っていくよ!

名前の由来は調味料のマスタードから!?天才プロデューサーの生い立ちとは?

1990年、カリフォルニア州ロサンゼルスでジャマイカ人の両親のもとに生まれた “マスタード”ことディジョン・アイザイア・マクファーレン少年がDJを始めたのは11歳の頃。
家族のパーティーでDJをやっていた叔父さんが彼にDJをさせてくれたのが初めての経験だったんだって。DJネームである“Mustard(マスタード)”は本名のディジョンと調味料のマスタードの一種、Dijon mustard(ディジョン・マスタード)の表記が同じだったことからそこから取ったとのこと。DJマスタードとして地元のクラブでキャリアをスタートさせてディジョンは次第にビートメイカー、プロデューサーとしても頭角を表していく。同郷であるラッパー、YGへの楽曲提供などを通してシーンでプロップスを得ていったマスタードの初期キャリアの中で大きな転機となった一曲が2011年にリリースされたTygaの「Rack City」だ。

Tyga「Rack City(2011)」

Rack city, bitch, rack, rack city, bitch
Ten, ten, ten, twenty on yo titties, bitch

ラック・シティだぜ、ビッチども
10や20、お前のおっぱいに積み上がるぜ

「racks」は元々「棚」という意味だけど、スラングでは「札束、女性の胸」という意味になる言葉。架空の街「Rack City」で幅を利かせるTygaたちはストリップクラブでお金をばら撒き、女の子たちの胸の谷間にお札を積み上げているっていうって感じだね。
このシンプルながらも、ダーティー、そして中毒性の高いビートに、否が応にも身体が動いてしまうタイガのキャッチーなフックが乗った「Rack City」はクラブバンガーとなり、マスタードは一躍、スタープロデューサーの仲間入りを果たししたんだ。

その後マスタードの活躍は音楽好きのヘッズなら誰もが知るところ。
タイ・ダラ・サイン「Paranoid ft.B.o.B」、Tinashe(ティナーシェ)「2 On ft.ScHoolboy Q」、Kid Ink(キッド・インク)「Promise ft.Fetty Wap」、Omarion(オマリオン)「Post to Be ft. Chris Brown, Jhené Aiko」など曲名を挙げればキリがないほど。「なんでこんなにアガる曲ばっかり作れるの?」と言いたくなるぐらい、怒涛の勢いでクラブバンガーを量産し、世界のパーティーシーンで揺らしまくったんだ。
そんな彼の活動の中でも最も大きな功績の一つと言えば、やはりElla Mai(エラ・メイ)のプロデュースだ。

ロンドンで埋もれていた逸材、エラ・メイをインスタで発見。一躍トップ・シンガーへとプロデュース

今では世界的な歌姫となったエラ・メイだけど、元々マスタードが彼女を見出すまでは全くの無名の存在。歌手志望だった彼女は、2014年にはArizeというガールズグループのシンガーとして、ワン・ダイレクションなどを輩出したイギリスのオーディション番組「Xファクター」​​に出場するなどしていたのだけど、全く結果は残せず、グループは解散。
ソロ活動していた時に、インスタグラムにアップしていた歌動画をマスタードの彼女がたまたま発見。マスタードにおすすめしたところ、彼が気に入り、なんとDMを送ってスカウトしたというスーパー・シンデレラガールだ。マスタードはエラのデビューを全面的にサポート。数年の制作、コラボレーション期間を経て、彼女のキャリアを決定的に変える一曲を世に送り出す。それが全米シングル・チャート(Billboard Hot 100 Singles)で5位を獲得し、61回グラミー賞では、主要部門の年間最優秀楽曲賞(Song Of The Year)を含む計2部門にノミネート、最優秀R&B楽曲賞(Best R&B Song)を受賞した大ヒットソング「Boo’d Up」だ。

Ella Mai「Boo’d Up(2018)」

Listen to my heart go ba-do, boo’d up
Biddy-da-do, boo’d up
Hear my heart go ba-do, boo’d up
Biddy-da-do, it just won’t stop, it go

私の心臓に耳を傾けてよ。バクバクしてる。恋してるの
ドキドキしてる。恋してるから
私の鼓動を聞いてよ、恋しちゃってるの
ドキドキしてる。もう止まらないわ

“boo’d up” は「恋に落ちる」という意味のスラング。エラ・メイの美しい歌声にみんなが恋に落ちちゃった曲だよね。普段はハードなクラブバンガーや、大人なR&Bを作ることが多いマスタードが、こんなにも優しくて甘い曲をプロデュースするなんて。そのプロデュース力の幅の広さもすごいよね。

豪華スターを迎えた至高のアルバム「Perfect Ten​​」

エラ・メイの成功でプロデューサーとして地位を改めて確固たるものにしたマスタードはその後もヒットを連発。2019年にはミーゴスやYG、ASAP Ferg(エイサップ・ファーグ)や ASAP Rocky(エイサップ・ロッキー)、Future(フューチャー)など豪華スターを客演に迎えたアルバム「Perfect Ten」をリリース。RIAA(アメリカレコード協会​​)のゴールド・ディスク認定を受ける大ヒットを記録する。今回は「Perfect Ten」からRoddy Ricch(ロディ・リッチ​​)を客演に迎えた大ヒットソング「Ballin’」のリリックを紹介!

Mustard & Roddy Ricch 「Ballin’(2019)」

I keep a hundred racks inside my jeans
I remember hittin’ the mall with the whole team
Now a nigga can’t answer calls ‘cause I’m ballin’
I was wakin’ up, gettin’ racks in the morning I was broke,
now I’m rich, these niggas salty

ジーンズの中に常に入ってる1000万
連れ立ち全員でモールに乗り込んだのを覚えてる
今はあいつは電話に出ない。オレがボーリンしてるから
昔は朝起きて金を集めてた、文無しだったあの頃
今はリッチ、だから連中はイラつているのさ

ロディ・リッチの最高にヒップホップドリームなリリック。 昔は文無しだったロディは今じゃジーンズの中に常に1000万円を入れてるレベルの大金持ちだ。昔つるんでた連中が彼に嫉妬して、電話も返さないくらいに“ボーリン”してるてわけだ。マスタードの代名詞とも言えるシンプルながらもキャッチーで、エネルギッシュなビートにロディ・リッチのスムースかつメロディアスなラップが乗った2010年代のヒップホップを代表する一曲だ。

【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。

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