dig|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.48

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

dig

ディグる(~を探す)
紹介アーティスト
Eric B. & Rakim, A Tribe Called Quest, Mobb Deep
dig|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.48
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WHAT’S UP,  GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャーTAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.48の今回取り上げる単語は「dig」。
「ディグる(~を探す)」という意味で日本でもお馴染みのスラングだね。さっそくチェックしていこう!

まず紹介するのはEric B. & Rakim、「Paid in Full」!

Eric B. & Rakim「Paid in Full(1987)」

Thinkin’ of a master plan. ‘Cause ain’t nothin’ but sweat inside my hand. So I dig into my pocket, all my money spent. So I dig deeper, but still coming up with lint. So I start my mission, leave my residence. Thinkin’, “How could I get some dead presidents?”
「マスター・プランを考えてるんだ。なぜって、オレの手には汗以外なにも握られてないから。だからポケットをディグる。金は使い果たしちまった。だからもっとディグる。でも出てくるのは糸くずだけ。だからオレはオレの任務に取りかかる。家を出て、考える。どうやったら”死んだ大統領”を手に入れることができるかって。」 

ラキムが赤裸々な気持ちをさらけだしたパンチライン中のパンチラインだ。持ち金は全て使い果たし、どれだけポケットをディグってもでてくるのは糸くずだけ。だから彼は「dead presidents(死んだ大統領)」を手に入れるための「mission(任務)」を開始する。「dead presidents(死んだ大統領)」とは「ドル紙幣」のこと。米ドル紙幣にはアメリカの歴史の初期に活躍した大統領の肖像が印刷されている。

1ドル紙幣はジョージ・ワシントン、2ドル紙幣はトーマス・ジェファーソン、5ドル紙幣はエイブラハム・リンカーンだ。そんな「dead presidents」を手に入れるためのラキムのマスター・プランが、このヴァースの後半で出てくるこのリリック。

Cause I don’t like to dream about gettin’ paid. So I dig into the books of the rhymes that I made. So now’s a test to see if I got pull. Hit the studio, ‘cause I’m paid in full.
「金を稼ぐ事をただ夢見てるのは嫌いなんだよ。だからオレはオレが作ったライム・ブックをディグって、オレが持ってるかどうか試してみたいんだ。スタジオに向かう。支払いは満額で頂くぜ。」

かっこいい。。。「ライム・ブックをディグる」て表現がマジでイケてるね。そして全体を通して完璧なライミング。。まさに” The God Mc ” だぜ!

続いてはA Tribe Called Questの名曲「Scenario」のBusta Rhymesのリリックから「dig」の使い方をチェキ!

A Tribe Called Quest 「Scenario(1992)」

Not bragging, tryna read my mind, just imagine. Vo-cab-u-lary’s necessary. When diggin’ into my library. Oh, my gosh! Oh, my gosh! Eating Ital Stew like the one Peter Tosh.
「威張ってるわけじゃねぇよ。オレの心読んで、想像してみな。ヴォ・キャブ・ラリーが必須なのさ。オレのライブラリーをディグる時はな。オー・マイ・ガッシュ!オー・マイ・ガッシュ!アイタル・シチューを食べるぜ。まるでピーター・トッシュさ」

バスタは別に威張ってるわけじゃない。ただヴォ・キャブ・ラリーが半端ないって話。その証拠が、

Eating Ital Stew like the one Peter Tosh
「アイタル・シチューを食べるぜ。まるでピーター・トッシュさ」

のリリック。
アイタル・シチューはラスタファリアンが食べる「アイタル・フード」の一つで、野菜と豆をベースとしたシチューだ。

ラスタファリとはジャマイカから起こったアフリカ回帰思想で、ラスタファリ思想に基づいた生活を送る人々のことをラスタファリアンと呼ぶんだ。彼らには自然由来のものだけを食べて生きるという考え方があり、肉食を避け、野菜をメインとした「アイタル・フード」という料理を食べることが多いんだ。「Ital(アイタル)」の語源は、英語の「vital(活気ある, 生き生きした, エネルギッシュな)」。ラスタファリアンにとって、僕たちが普段食べている食肉は ”死んだ動物の肉”となり、体の中に溢れている生命力と相反するものとして好まれないんだ。

そんなラスタファリ思想を世界的に広めたのがレゲ・ミュージックのレジェンド、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズだ。(ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズについては「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.44 ~ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ特集」で詳しく書いているので、気になる人をそちらをチェキ!)ピーター・トッシュはザ・ウェイラーズのオリジナル・メンバーであり、有名なラスタファリアン。そんな知識をしっかりリリックに落とし込んでくるバスタのヴォキャブラリー、半端ないぜ!!

ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.48 のラストを飾るのは、ニューヨーク、クイーンズ・レペゼン、ProdigyとHavocから成るレジェンド・デュオMobb Deepの「Shook Ones Part II」!

Mobb Deep 「Shook Ones Part II(1995)」

Criminal minds thirsty for recognition. I’m sippin’, E&J got my mind flippin’. I’m buggin’, diggin’ my ways out of holes by hustlin’.
「犯罪者の心理てやつさ。承認欲求でノドがカラカラなんだ。だからちびちびやってんだよ、E&Jを。おかげで心変わりしちまうぜ。オレはクレイジーにディグってる、オレなりのやり方。ハスリンして、この穴ん中から抜け出すんだよ。」

「Shook Ones Part II」からハヴォックのリリックだ。
犯罪者レベルの承認欲求があると。だからノドが乾いて、E&J(1933年創業のアメリカの老舗ワイナリー、E.&J. ガロ社のブランデー)を飲むと。このハードボイルドかつ詩的なリリックの繋げ方よ。北方謙三もびっくりだぜ。しかもこの曲の元曲「Shook Ones」を作った当時、プロディジーは18歳、ハヴォックは19歳だっというから驚きだぜ。

RESPECT FOR ALL RAPPERS!
SEE YA!

TARO 

訳は全て意訳です。(索引:Genius https://genius.com/ )

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日本のストリートレペゼンしよう。

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