映画 『オールド・ボーイ』を観るべき5つの理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.65

傑作韓国映画を、スパイク・リー監督が新解釈!

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を紹介していくよ。

今回取り上げるのは映画『オールド・ボーイ』。大ヒットした韓国映画を、10年の時を経てリメイクした作品だ。

『オールド・ボーイ』ってどんな映画?

 

アル中の広告マン・ジョーが泥酔して目覚めると、ある場所に監禁されていた。わけもわからず監禁生活を送る中で、唯一の楽しみはテレビ。しかしニュースで妻がレイプされて殺されたと知り、容疑者として追われていたのは自分だった。

娘に会うことだけを希望に監禁生活を乗り切っていたジョーは20年後、に突然解放される。なぜ自分は監禁されたのか、誰が自分に殺人の罪を着せたのか。理不尽な仕打ちを行った犯人に復讐するために、ジョーは動き出すが…。

『オールド・ボーイ』を観るべき5つの理由

①韓国映画の傑作をスパイク・リー監督がリメイク

本作は土屋ガロンと峯岸信明による漫画『ルーズ戦記 オールドボーイ』を原作にしたパク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ(2003)』を、リメイクした作品だ。韓国版の『オールド・ボーイ』はカンヌ国際映画祭で当時審査員長だったタランティーノ監督の絶賛を受けて、審査員特別グランプリを獲得。韓国映画のレベルの高さを世界に知らしめた作品だ。

そのリメイクに挑んだのがスパイク・リー監督。最初はスティーブン・スピルバーグ監督とウィル・スミスのタッグで話が勧められていたが、二転三転あったのちに、スパイク・リー監督とジョシュ・ブローリンによってリメイクが実現したんだ。

人種問題をはじめとする社会問題に鋭く切り込むスパイク・リー監督は、どう『オールド・ボーイ』と向き合ったのか?それが本作の見どころのひとつだ。

②アメリカナイズされた物語

スパイク・リー監督はこの作品を、ただのリメイクではなく新たな解釈を与えた作品だと語っている。

韓国からアメリカに舞台を移した本作は、アメリカの文化が反映されている。一番大きな役割を持つのは監禁生活での希望だったテレビだ。韓国版でもテレビがあったが、あくまで時の流れを伝えてくれる装置。アメリカ版では妻殺しのジョーを追いかける番組が毎年放映され、それが物語に説得力を与える役割を果たしている。テレビ文化のアメリカだからこそ生まれたアイデアだ。

さらに主人公が解放された後に腕試しに喧嘩をする相手は、街のチンピラからアメフト部の屈強な男たちへ。監禁された理由の元凶が息子から父親へ変わっているなど、よりアメリカ的なマッチョイズムを象徴する人物にスライドされている。

原作の漫画や韓国版の要素をうまく取り入れながらも、アメリカならではの映画に仕上がっているよ。

③体当たりな演技が光る俳優陣

演技に定評がある俳優たちの体当たりな芝居も、本作の見どころのひとつだ。主人公を演じたジョシュ・ブローリンは、劇中の体重の23kgにおよぶ増減を2週間でおこなったという。お腹ぽっこりの酒浸りクズ男から、バキバキの肉体を持った復讐に燃えた危険な男まで、体作りとともに演じ切った。

主人公の協力者として出会うマリーを演じたのは、エリザベス・オルセン。アベンジャーシリーズでヴィランを演じる実力派であり、濡れ場のシーンもトップレスで挑んでいた。また、スパイク・リーの初期作品の常連だったサミュエル・L・ジャクソンも、スパイク・リーの映画に出演。監禁ビジネスを取り仕切るボスとしての怪演が光っていた。

ちなみにスパイク・リーの弟のサンク・リーも監禁生活で象徴的に出演してるから、チェックしてみて。

④ハンマーアクションシーン健在!

『オールド・ボーイ』を象徴する武器がハンマーだ。ハンマーを持つ主人公が印象的な韓国版のポスターを観たことがある人も多いかもしれない。

その要素は本作でもしっかり踏襲されていて、格闘ゲームのような横スライドでハンマーで敵を倒す名シーンももちろん健在。しかもそこでのハンマーの使い方はひと味違う。韓国版のパク・チャヌク監督は、人を殺さないためにハンマーにしたというが、アメリカ版の主人公ジョーは、釘抜きの部分で敵の脳天に突き刺したり、喉を掻っ切ったりとハンマーで人を殺しまくってる。

人をバタバタ殺すパワープレイはアメリカっぽさもあり、韓国版に劣らない血やバイオレンス描写もふんだんにあるから、しっかり楽しめるよ。

⑤原作とも韓国版とも違う結末

韓国版とのもっとも大きな違いはラストの結末。なぜ監禁されたのか、なぜ20年目にして解放されたのか、衝撃的すぎる事実に直面した時にとった、主人公の行動が大きく異なる。

生み出されるたびに物語が変容していく『オールド・ボーイ』。韓国版もまだ観てない人は、ぜひどっちも観て、ディティールやラストの違いを楽しんでみてね!

画像出典元:ブロードメディア・ステジオ