映画『ブラック・クランズマン』のパンチライン|ストリートヘッズのバイブル Vol.14

過激な白人至上主義団体に立ち向かう黒人警察官を描いた作品のパンチラインを紹介!

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きならマストチェックの映画や本から明日使える名言を紹介していくよ。

今回取り上げるのはアカデミー賞で脚本賞を受賞したスパイク・リーの『ブラック・クランズマン』。

周りは白人だらけという完全にアウェイの環境の中で、黒人警察官が人種差別団体に果敢に切り込んでいく姿を描いた映画だ。

監督であるスパイク・リーは、黒人がアメリカ社会で直面する人種差別や偏見を描き続けており、今作でもそのスタイルが存分に貫かれている。

今回は『ブラック・クランズマン』から、君のマインドをインスパイアする“パンチライン”を3つ紹介するよ!

『ブラック・クランズマン』ってどんな映画?

「この映画はマジでリアルな話がベースだ(DIS JOINT IS BASED UPON SOME FO’ REAL,FO’ REAL SHOT)」という導入からはじまるこの作品は、アメリカで実在する過激な白人至上主義団体である体KKK〈クー・クラックス・クラン〉に立ち向かう黒人警察官の姿を描いている。

1970年代、アメリカ・コロラド州コロラドスプリングズではじめての黒人警察官として採用された主人公のロン・ストールワース。

念願叶って潜入捜査官になったロンは、バディとなるフリップ・ジマーマンとともに、KKKへの潜入捜査をおこなうことに。黒人であるロンは電話担当、ユダヤ人だが見た目は白人であるフリップは対面担当となり、根深い人種差別の温床へと深く潜り込んでいく。

現在もなおアメリカで続く人種問題を描いた社会派痛快コメディだ。

『ブラック・クランズマン』のパンチライン

差別をものともせず、自分が正しいと思う価値観に従って突き進んでいくロンの姿には、おもわず応援したくなる魅力がたっぷり。

なかでも、黒人と白人の立場が逆転するような言葉のカウンターパンチは痛快そのもの。

そんなロンが人種問題に立ち向かった時のパンチラインを3つ紹介していく。

①差別用語に対する毅然とした態度

憧れの警察官となったロンは、捜査担当を希望していたものの、最初は新人だからと資料室に配属されることに。白人だらけの警察署内では黒人であるロンのことを快く思わない警察官も多く、ムカつく態度をとるヤツもちらほら。その中のひとりが、黒人の犯罪者の資料をロンに取り寄せる時に、「カエルのファイルをくれ」と、黒人を「カエル」呼びした時に返したパンチラインがこちら。

I said I don’t have any toads.I do have human beings.

カエルのファイルはない。人間のファイルならある。

よく言った!!
黒人を人間だとみていないような呼び方に対して、真っ向から反論したロンにおもわず拍手。

このロンの差別用語を認めない態度は、同じ黒人である黒人学生自治体の会長パトリスに対しても変わらない。

警官を「ピッグ(豚)」と呼ぶパトリスに対して「俺は使わない」ときちんと伝えたロン。

白人だから、黒人だからではなく、どんな人間に対しても差別をしないという信念を曲げない姿、めちゃくちゃかっこよくない?

②電話の心理戦でのかまし

黒人だと知られないように、KKKでの潜入捜査では電話担当になったロン。ある日、KKKのトップで白人至上主義者であるデュークとの電話にこぎつけた彼は、差別主義者の白人になりきり黒人を侮蔑するような言葉を並べ、巧みにデュークの自尊心をくすぐっていく。ロンのユーモラスで知的な切り返しに好感を持ったデュークは、電話越しでの会話を重ねるうちに、すっかり打ち解けていく。

黒人英語ではなく純正英語を使いこなすロンを白人だと信じ込み、微塵も疑わないデューク。そんな彼にロンが問いかけたパンチラインがこちら。

Aren’t you ever concerned of some smart-aleck nigger calling you, pretending to be white?

俺が白人のフリしたニガーだとは思いませんか?

ヒヤヒヤする〜!
これはまるで、人種差別の本質にスポットをあてたセリフ。
「ないね」と即答するデュークからは、差別する対象を肌の色や出自という情報でしか見ていないという底の浅さがあぶりだされる。「喋り方を聞いたら黒人だとわかる」と豪語するデュークの姿は滑稽そのものだ。

③虐げられてきた立場からのカウンターパンチ

ロンの代わりにKKKへと潜入していたフリップはいろんな試練をクリアし、正式な団員として迎えられることに。フリップの入団式が計画され、それに参加するデュークの警護を務めることになったのは、まさかのロン。

その場にいる全員が黒人を憎んでいる特殊な立場のなか任務にあたるロンだが、入団式の様子をみていくうちに、複雑な想いが募っていく。

式後の懇談会でロンは突然デュークに写真を撮ってくれと迫り、カメラを受け取ったフリップがシャッターを押した瞬間に、なんとデュークとその弟の肩を抱き寄せた。

KKKのトップが黒人と親しいような写真が撮れてしまったことに対して、「おい!何をする!!」と激怒し、ロンに詰めよるデュークに放ったパンチラインがこちら。

 

 

Sir. if you lay a finger on me. I’ll arrest your ass for assaulting a police officer.

指一本でも触れたら警官への暴行で逮捕

かっこいい〜!
映画の前半では、黒人であるパトリスたちの車が白人警察官たちに止められ、銃を向けられながらイチャモンをつけられている場面があった。ロンはいままで黒人たちが白人警察官に受けていた理不尽な職権乱用を、あろうことかKKKのトップにぶちかました。それも黒人警察官だというプライドを持って。こんなにも華麗なカウンターパンチは、なかなかお目にかかれない。映画のラストでも、デュークに対して盛大にかましているので、ぜひ観てみてほしい。

画像出典元:Focus Features

配信先:Amazon Prime

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