パンチラインで見る映画『フリーダム・ライターズ』|ストリートヘッズのバイブル Vol.15

「昨日までの涙が、インクになる。」 実話が原作の感動ヒップホップ映画!

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きならマストチェックの映画や本を、作中に登場するパンチラインを通して見ていくよ!
今回取り上げるのは『Freedom Writers(フリーダム・ライターズ)(2007)』。
アメリカの高校での実話を基に、人種問題の現実と、理想を追い求めることの大切さを描いた映画だ。今回は『フリーダム・ライターズ』を君のマインドをインスパイアするパンチラインを通して見ていくよ!

「昨日までの涙が、インクになる。」
『フリーダム・ライターズ』てどんな映画?

舞台はアフリカン・アメリカンの男性が白人警官4人に暴行されるという事件がきっかけで起きたロス暴動の2年後、1994年のロサンゼルス・ロングビーチ。

街中に人種対立の火種がくすぶっている中で、主人公の白人英語教師はエリン(ヒラリー・スワンク)はウィルソン高校に初任の教員として赴任することになる。晴れて憧れの高校教師となったエリンは希望を胸に教壇に立つのだが、担当することになったのは学校一番の“問題クラス”。

アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系など様々なルーツを持つ生徒が混在する彼女のクラスは多くが貧困家庭の出身であり、親の代から続く人種対立によってお互いを敵視し合っていた。

初めは教科書通り英語を教えようとするエリンだが、生徒は全く話を聞かず、授業中の乱闘はしょっちゅう。並みの教師ならすぐに音を上げるところだが、エリンは持ち前のガッツと教育に対する信念で生徒と対話することを絶対に諦めない。

そんなエリンの嘘偽りのない姿勢に、初めは全く心を開かなかった生徒達も次第に自分たちが抱えている痛みを打ち明けていき、やがて憎しみ合っていた生徒たちは、人種の壁を超え、お互いの痛みを理解するようになっていく。

『フリーダム・ライターズ』のパンチライン

アメリカという国で生きる若者たちの苦しさ、そしてそこに自分の心をさらけ出して、本気で向き合う一人の教師の関わりが観る者の心を揺さぶる『Freedom Writers』には多くの名言が登場する。今回はその中から三つを選んで、紹介していくよ。

①「何も知らないくせに。あんた、私たちの痛みなんて何も知らないよね」

ある日の授業、クラスの中でアフリカ系の生徒を差別する絵を回しあっていることを発見したエリンは大激怒。授業をストップし、生徒に差別がどれだけ愚かなことを説明するのだけど、そこでヒスパニック系の生徒、エヴァが発言したのがこちら。

You don’t know nothing. You don’t know the pain we feel.

「何も知らないくせに。あんた、私たちの痛みなんて何も知らないよね」

父親がヒスパニック系のギャングであり、小さい頃からギャング同士の殺し合いを見てきたエヴァ。

何も知らない白人教師が知ったかぶりで話してんじゃねぇよってわけだ。ただそれでも「絶対に差別は許さない」と一歩も引かないエリンは生徒たちの痛みと向き合うため、ある方法を取り入れる。それが生徒たちにノートを配り、そこに自分の物語を書いてもらうということ。

エリンの真摯な姿勢に少しづつ心を許し始めた生徒たちはノートに自分の物語を綴り始める。

それは彼らがこれまで抱えていた痛みを吐き出す作業であり、そこからクラスの雰囲気が少しづつ変わっていくんだ。

②「教室に入ったら今までのつらいことが全部小さなことに思えた。ここが僕の家だ。」

エリンの授業で、少しづつ打ち解け始めたクラスの生徒たち。そんなある日、エリンはクラスでイベントを開く。イベント名前は“TOAST for CHANGE(変化のための祝杯)”。

「変化というのは、“君たちにはムリだ”と言う声が永遠に消えてなくなるという変化。“社会は変わらない”とする理屈が消滅する変化。 “今までのあなたたちが変わる”という変化。新しい自分になるの。わかった?」

と話すエリンに生徒たちは一人一人、自分が変わったこと祝うスピーチをしていく。
そんな中最後に話し出した生徒が、過酷な少年時代の話を打ち明ける。家庭の事情から高校生で家を追われ、ホームレスとなった彼は、家もお金もなく、学校へ行く意味も見い出せなかった。
それでも彼を暖かく迎えてくれたのはエリンと彼女のクラス、203室のメンバーだった。
彼がエリンとクラスの皆への感謝を込めて、スピーチの最後を締めくくった言葉がこちらだ。

I walk into the room and I feel as though.
All the problems in life are not so important anymore. I am home.

「教室に入ったら今までのつらいことが全部小さなことに思えた。ここが僕の家だ。」

バラバラだった生徒たちが痛みを共感することで、一つになった瞬間だ。

③「夢の欠片を繋ぎ合わせた。まだ、オレには夢があるんだ。」

胸が熱くなる台詞が多い『フリーダム・ライターズ』。

その後エリンと彼女のクラスの生徒たちがどうなったかは映画を見てからのお楽しみとして、ここでは映画の主題歌である will.i.am(ウィル・アイ・アム)とCommon(コモン)の「A Dream」の一節を紹介したい。この曲は映画のために書き下ろされたもので、ウィル・アイ・アムがトラックを作り、コモンがリリックを歌っている。

リリックの内容はアフリカ系の人々への人種差別、そして貧困から引き起こされるギャングの暴力やドラッグへの依存。そんなアメリカ社会で過酷な生活を強いられてきたアフリカン・アメリカンの人々の生活を歌いながらも、コモンがヴァースの最後を締めるパンチラインとして持ってきたのがこちらだ。

I put together pieces of a dream, I still have one

夢の欠片を繋ぎ合わせた。まだ、オレには夢があるんだ。

公民権運動の指導者、キング牧師の「I Have A Dream」のスピーチを引用した一節。

今なお人種間の対立や格差で多くの人々が苦しんでいるアメリカで、コモンは必死に夢の欠片(pieces of a dream)を繋ぎ合わせる。絶望の中で彼が繋ぎ合わせた欠片は再び一つの“dream(夢)”になる。どれだけ過酷な状況であろうとも、絶対に希望を見出すことを諦めてはいけない。

『フリーダム・ライターズ』とコモンのパンチラインが教えてくれる大切なマインドだ。

画像出典元:Paramount Pictures

配信先:Amazon Prime

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