未来のDJはこうなる!? 驚愕の最新音楽スタイル、AI × DJプロジェクトとは?AIジョッキー・徳井直生を深堀り!

Nujabes氏と共に音楽制作を行っていたAI研究者であり、音楽と最新テクノロジーを融合させた活動を行うクリエイター・徳井直生に迫る!

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、AIを使ってアートや音楽の可能性を広げる株式会社Qosmo(コズモ)代表取締役であり、メディアアーティストの徳井直生(とくい・なお)さん。VOl.4の今回は徳井さんのAIを使ったDJ活動についてお伺いしました。

Vol.3の記事はこちら→音楽をこよなく愛するAI研究者・徳井直生の原点とは?

未来のDJはこうなる!? 驚愕の最新音楽スタイル、AI × DJプロジェクトとは?

レペゼン:
徳井さんはAIと音楽を組み合わせた活動をされている中で、最近、AI×DJプロジェクトというものをされているとお伺いしました。AI × DJプロジェクトと聞くと、僕なんかは完全Daft Punk(ダフト・パンク)のライブみたいなイメージが出てきちゃうんですが、一体どんなプロジェクトなんですか?

【ライター・TAROのAI × DJのイメージ】


徳井直生:

まぁちょっと違ってて笑
ロボットがDJするわけではなくて、AIがリアルタイムで音楽を生み出して、僕がそれをミックスするんです。

【徳井さんのAI × DJの様子】

レペゼン:
いや、ごめんなさい、ヤバすぎじゃないですか!?
この瞬間にAIがリアルタイムで音楽を作ってるってことですか?

徳井直生:
そうですね。AIが6チャンネルぐらい同時に音を生み出しているので、それを聴きながら僕が即興でミックスしています。

レペゼン:
未来のDJすぎる!!

徳井直生:
だから僕「AIジョッキー」って言ってるんですよ。
Discじゃなくて、AIを乗りこなすっていう笑

レペゼン:
こんなことやってる人、他にいなくないですか?

徳井直生:
多分世界で僕しかいないです笑
なのでこのAIジョッキーで、今年だけで4回ぐらい海外に呼ばれてます笑
先月パリでルイ・ヴィトンのイベントに出さしてもらって、先週はスイスに行ってました。なので一応まだ現役のDJなんです笑
あんまり普通のDJはやってないけど笑

レペゼン:
おもしろすぎる笑
完全にSFの世界ですね。
でもこれ、今は4つ打ちっぽい感じですけど、例えばファンクとかヒップホップ的なこともできるわけですよね?

徳井直生:
できますね。
あと、このバックの映像もリアルタイムではないですけど、AIが生成してるものですね。

レペゼン:
すごい。
徳井さんは今後、AIの進歩によって音楽界がどうなっていくと思いますか?

徳井直生:
単純にテキストを入れて、AIが自動で曲を生成するって技術的には面白いんですけど、AIで曲を丸ごと生成するだけでは、新しいものに繋がってないと思ってて。過去にあったものを、簡単に再生産するんじゃなくて、AIを使って新しい音楽を生み出す方向にどんどんいって欲しいなって。

レペゼン:
なるほど。

徳井直生:
例えばこういう感じのビートが欲しいってAIに伝えて、ビートを出させるのは良いと思うんです。じゃあそれに合わせるリフって何だろうという風に考えて、それは自分で打ち込んでも面白いだろうし。やっぱり最終的に組み合わせて、それを音楽にするのは人間だと思うんです。そうしないと本当に新しいものは生まれない。

レペゼン:
結局は使い手である人間次第だと?

徳井直生:
そうです。だから僕も、AIに音楽を生成させるけど、それをミックスして、新しいライブパフォーマンスを作っているという感じですね。あと最近はやっぱりその分野でもっと色々とチャレンジしたいなと思って、この7月にAIを用いた新しいシンセやエフェクタをつくる会社Neutoneを立ち上げたんです。近々新製品の発表もあるので楽しみにしてください。

多忙な会社経営の日々の中で、勇気をもらったヒップホップ・ソング

レペゼン:
会社を経営される中で、勇気をもらったヒップソングとかありますか?

徳井直生:
やっぱりJ Dillaですね。本格的に聴き出したのは彼が亡くなった後なんですけど。ディラってジュンさん(Nujabes)と誕生日が全く同じなんですよね。1973年の2月9日生まれで。そこもすごく不思議な感じなんですが。

Nujabesと共に楽曲制作!?異色のキャリアを持つAI研究者、徳井直生とは?

レペゼン:
それすごいですよね。
二人の素晴らしいアーティストの誕生日が同じって。

徳井直生:
ディラは、D’Angelo『Voodoo』とかA Tribe Called Questの最後の方の音もすごく好きなんですが、やっぱり『Donuts』がすごい好きなんですよね。

レペゼン:
音好きの人はやっぱりそうですよね。

徳井直生:
『Donuts』は音も好きなんですけど、コンセプトが好きで。亡くなる直前の、入院しているベッドの上で作られたという状況も含めて、いろいろなメッセージが込められているというか。
特にアルバムのラスト「Welcome To The Show」がすごく好きで。最後の曲なのに、なぜか「Welcome To The Show」なんですよね。そして最初の曲が「Outro」。アルバムの構成自体もドーナッツのように循環してるんですよね。

レペゼン:
命の循環ですね。

徳井直生:
しかも「Welcome To The Show」で、「自分が死んだ後に、自分がどういう人になりたかったか、みんなが知ってくれたら良いな」という歌詞の曲をサンプリングしていて。「自分は一生懸命努力して生きたけど、なりたい人になれなかった。でも死んだ後にそういう風に頑張ってたのを知ってほしい」みたいな感じなのかなと。そこがすごくグッときますね。だから『Donuts』をしっかり聴き始めてから、自分が死んだ後に何が残るかとかも結構考えるようになって。特にジュンさん(Nujabes)が亡くなった後だったので。

レペゼン:

音楽ってずっと残りますもんね。

徳井直生:
ジュンさんも若い世代にすごい影響を与えてて。僕、今大学でも講義してるんですけど、今の若い子もジュンさんのこと知ってるんですよね。その点、自分は何ができるんだろうと思って、すごく考えさせられました。『Donuts』を聴き出した頃は、会社はうまく回ってたんですけど、自分はやっぱりテクノロジーと音楽の未来に関わることがやりたいなって。それが今やってるAI x DJのプロジェクトにもつながってますね。そんなに儲かってはないですが 笑

レペゼン:
素晴らしいですね。
改めて今回はNujabesさんとのエピソードやAI×DJのプロジェクトなど非常に興味深い内容をたくさんお話し頂き、ありがとうございました!今後の活動も楽しみにしております。ありがとうございました!

徳井直生:
ありがとうございました!

 

プロフィール

  • 徳井 直生

    徳井 直生

    アーティスト/研究者。AIを用いた人間の創造性の拡張を研究と作品制作の両面から模索。アーティスト、デザイナー、AI研究者/エンジニアなどから構成されるコレクティブ、Qosmo(コズモ)を率いて作品制作や技術開発に取り組むほか、23年7月設立のNeutone(ニュートーン)では、AIを用いた新しい「楽器」の開発を手がける。2021年1月には、これまでの活動をまとめた『創るためのAI — 機械と創造性のはてしない物語』(BNN)を出版し、2021年度の大川出版賞を受賞した。慶應義塾大学SFC特別招聘准教授。博士(工学)。

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