WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.257の今回取り上げる英語は「vision(ヴィジョン)」。「視野、未来像」といった意味の単語だね。
今回も人気ラッパーたちのリリックから“ vision ” の使い方を学んでみよう!
まず紹介するのは、Joey Bada$$(ジョーイ・バッドアス)の「Paper Trail$」!
Joey Bada$$「Paper Trail$(2015)」
My visions is macrocosmic, pass the chronic
The mastered sonics is light years above your consciousオレのヴィジョンは大宇宙的、クロニックをよこしな
完成された音は君の意識を何光年も超えていくよ
今の東海岸ヒップホップを代表するラッパー、ジョーイ・バッドアスのパンチライン。
“macrocosmic(宇宙のように大きい)”ヴィジョンを持つジョーイ・バッドアスがさらにそのヴィジョンをクリアにするために求めるのが、“the chronic(クロニック)”。クロニックは「最高級のマリファナ」という意味のスラングであり、Dr. Dre(ドクター・ドレー)のファースト・アルバム「The Chronic」で有名になった言葉だね。クロニックで意識を高めたジョーイ・バッドアスが作る音楽はまるで光の速さで人々の想像の先を行くって感じだね。
続いてはA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)の「A$AP Forever」!
A$AP Rocky「A$AP Forever(2018)」
I still had the vision when I was broke
文無しの頃もヴィジョンを持ってたぜ
ニューヨーク・ハーレムに生まれ、小さい頃はホームレス・シェルターを転々としていた
という過去を持つ、エイサップ・ロッキー。まったく金がない時から、自分のヴィジョンをしっかり持って行動していたからこそ、A$AP(エイサップ)クルーとして、ヒップホップシーンを背負った立つ存在になれたんだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.257のラスト飾るのは、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)のデビュー・アルバム「Section.80」収録の一曲「HiiiPoWeR」!
Kendrick Lamar「HiiiPoWeR(2011)」
Visions of Martin Luther staring at me
Malcolm X put a hex on my future, someone catch me
I’m falling victim to a revolutionary songマーティン・ルーサーのヴィジョンがオレを見つめる
マルコム・Xはオレの未来に呪いをかけた、誰かさんがオレを捕らえる
オレは革命の歌の犠牲者になるのさ
「HiiiPoWeR」の冒頭のリリック。ケンドリックが描くのは二人の偉大な黒人活動家からインスパイアされたヴィジョン。一人はマーティン・ルーサー・キング牧師、もう一人はマルコム・Xだ。ケンドリックは14歳の時にマルコムXの自伝を読んでその生き方にかなり影響を受けたそう。この冒頭の部分はマルコムXに影響を受けて音楽制作をしていくという意志を込めたものなんだ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。