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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.130の今回取り上げる単語は「vinyl(ヴァイナル)」。
「レコード」という意味で日本のヒップホップ・シーンでもお馴染みの単語だね。 元々「vinyl」は「ビニール」という意味で、アナログ・レコードの盤がビニール樹脂でできている事から、レコードの事をヴァイナルと呼ぶようになったと言われているだ。 今回はヒップホップ史上に残る名盤収録のリリックからヴァイナルの使われ方をチェックしていくぜ!
まずはThe Notorious B.I.G.(ザ・ノトーリアス・B.I.G.)の名盤「Life After Death」収録の1曲「I Love the Dough」のリリックをチェキ!
The Notorious B.I.G.「I Love the Dough ft. JAY-Z & Angela Winbush(1997)」
Make the best CDs and the best tapes Don’t forget the vinyl, take girls break spinals
「最高なCDとベストなテープを作る。 ヴァイナルも忘れんなよ。女の子たちの脊髄をぶっ壊しちまうぜ。」
ビギーが作るのは、間違いない名曲が収録されたCDとテープ、そしてヴァイナルだ。 そのヴァイナルに収録された曲がクラブで流れれば、ダンスフロアの女の子たちは大盛り上がり。テンションがぶち上がりすぎて、脊髄を壊しちゃうくらい踊り狂っちゃうてわけ。
続いて紹介するのは、The Pharcyde(ファーサイド)のデビューアルバム「Bizarre Ride II the Pharcyde」から「I’m That Type of Nigga」のリリックをチェキ!
The Pharcyde「I’m That Type of Nigga ft. Buc Fifty(1992)」
Never been a bitch so I don’t act bitchy Smooth on the vinyl like Lionel Richie
「ビッチにはなったことねぇから、ビッチーな動き方はしねぇよ。 ヴァイナルの上じゃスムーズ。まるでライオネル・リッチーみたいな感じさ。」
ファーサイドからFatlip(ファットリップ)のリリック。ファットリップはbitch(クソ野郎)みたいな動き方は決してしない。ヴァイナルの上じゃ常にスムーズ。そのスムーズさときたら70年代から80年代にかけて世界的なヒットを飛ばしたレジェンド・アーティスト、ライオネル・リッチーの歌声みたいだぜて感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.130のラストは、Public Enemy(パブリック・エネミー)の名盤「It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back」から「Rebel Without a Pause」!
Public Enemy「Rebel Without a Pause(1988)」
From a rebel, it’s final on black vinyl Soul, rock and roll coming like a rhino
「反逆者からのメッセージが、とうとうブラック・ヴァイナルに乗ったぜ。 ソウル、ロックンロール。サイみたいにやってきてるぜ。」
rebel(反逆者)としてメッセージを発信するパブリック・エネミーの曲が乗るのは、ブラック・ヴァイナル。このブラック・ヴァイナルという言葉は、レコードの盤という意味と、黒人の音楽というダブル・ミーニングととらえることができるね。50年代や60年代にソウル、ロックンロール、といった黒人音楽が音楽シーンを席巻していったのと同じように、当時のヒップホップもまるでサイのように怒涛の勢いで世の中を席巻していた真っ最中。そんな当時の熱気を感じるイケてるリリックだぜ。