WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.351の今回取り上げるスラングは「underdog(アンダードッグ)」。「期待されていない者、弱者、負け犬」という意味だ。今回もUSラッパーたちのリリックから使い方をチェックしていこう!
まずチェックするのはRoddy Ricch(ロディ・リッチ)の「Underdog」!
Roddy Ricch「Underdog(2025)」
Slide out the garage
I got a hundred cars
This for the underdogs滑り出るガレージ
持ってる車は100台
これはアンダードッグたちのためのものさ
ロサンゼルスで生まれ、幼少期にはサウスセントラルに住む母と祖父母の住むコンプトンを行き来して育ったロディ。16歳の時には家族と揉め、家を追い出されてしまい、全米で最も危険とされるコンプトンのストリートでサバイブしていたという経歴を持つラッパーだ。
そんなストリート育ちのロディは2019年、ニプシー・ハッスルの楽曲「Racks in the Middle」に客演で参加し、グラミー賞最優秀ラップ・パフォーマンス賞を受賞、その後リリースしたデビュー・アルバム『Please Excuse Me for Being Antisocial』ではBillboard 200で1位を獲得するなど一躍人気ラッパーに。今ではなんと100台も車を持つスーパーセレブにまで成り上がったんだ。
「Underdog」はそんなロディから全ての“アンダードッグ”たちに向けたアンセム。困難を乗り越え、上を目指す力をもらえるリリックだね。
続いてはKanye West(カニエ・ウェスト)、名盤『Graduation』収録の一曲「Barry Bonds」!
Kanye West「Barry Bonds(2007)」
I done played the underdog my whole career
I’ve been a very good sport, haven’t I, this year?キャリアを通して散々、アンダードッグを演じてきた
今年は良い子だっただろ?
元々Jay-Z(ジェイ・Z)やCommon(コモン)などメジャーアーティストのビートメイカーとして頭角を表したカニエ。特にジェイ・Zの作品をプロデュースしていた頃は、トラックメイカーとしては認識されていたが、なかなかラッパーとしては認められない日々が続いていた。ラッパーとして、ある意味では“アンダードッグ”だったカニエが、現在に至る絶大な支持を得たのがデビューアルバム『The College Dropout』。プロデューサーとしてはもちろんだが、リリック的にも非常に完成度の高い作品で一気に世界中の音楽ファンの心を掴んだんだ。『The College Dropout』に続くサード・アルバムである『Graduation』はまさにカニエが“アンダードッグ”としての役割を“graduation(卒業)”したアルバム。これからは好き勝手やっていくぜってということを高らかに宣言してるってわけだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.351のラストは今年「SUMMER SONIC 2025」のヘッドライナーとして約12年ぶりに来日する、Alicia Keys(アリシア・キーズ)の「Underdog」!
Alicia Keys「Underdog(2020)」
This goes out to the underdog
Keep on keeping at what you love
You’ll find that someday soon enough
You will rise up, rise upこれはアンダードッグへのメッセージ
好きなことを続けることを続けなさい
いつか必ず見つかるから
必ず上がれるから
アリシアからアンダードッグたちに向けたメッセージ。“Keep on keeping at what you love(好きなことを続けることを続けなさい)”のリリックが激アツだぜ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。
こんなスラングも知ってる?
rowdy
〈人・行動などが〉乱暴な、がさつな、ぶっ飛んでる、〈場所などが〉騒がしい

beef
喧嘩、口論

dough
お金、現ナマ
