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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.360の今回はラッパー、YZERR氏が手がけるヒップホップ・フェス『FORCE Festival』開催記念特集。日本ヒップホップ史に残る素晴らしいフェスティバルとなること間違いなしの『FORCE Festival』に出演する世界的なアーティストたちのリリックを紹介していくよ!
まず第一弾はフェスティバルの1日目、10月3日に出演予定のアーティスト、カナダ・トロント出身のNAV(ナヴ)。メロディアスなラップスタイルと、セルフボースティングしながらも時に内省的なリリックの世界観、そして楽曲制作も自身でこなす卓越した才能で現行シーンの最前線を走ってきたアーティストだ。
まずは2018年のデビューアルバム『RECKLESS』から「Faith」をチェック!
「Faith ft. Quavo(2018)」
I wish that I could have the money without fame
オレは願ってる、名声なんてなしに金だけ手にできたらってI would trade all my diamond rings and all my chains
ダイヤの指輪もチェーンも全部差し出すよJust so, just so me and you could be the same
そうすれば俺とお前は同じ立場になれるJust so I wouldn’t have to deal with all this pain
この痛みと付き合う必要もないんだ
メジャーデビュー前から一部の音楽ファンの間では注目を集めていたナヴ。2015年には同郷の Drake(ドレイク)のシングル「Back to Back」のプロデュースに携わり、2016年には自身の楽曲「Myself」が大きな話題を呼ぶなど、着実に人気アーティストの階段を登っていた彼が満を持してリリースしたのがLil Uzi Vert(リル・ウジ・ヴァート)やTravis Scott(トラヴィス・スコット)など豪華客演陣を迎えたデビューアルバム『RECKLESS』だ。Quavo(クエヴォ)をフィーチャリングで迎えた「Faith」では、売れていく自分と変わっていく周りの環境を少し冷めた目線で俯瞰的に観察している。
有名になるとプライベートの生活も注目されて自由がなくなってきたり、有名人と知り合いになりたいだけの人が近づいてきたり、面倒事も増えていく。それで心の健康を保てなくなってしまう人も多いよね。ナヴはそんな有名になることで生まれる様々な悩みをラップにすることで、自分と向き合っているってわけだね。
続いてはナヴのキャリア史上最大のヒットソング、4枚目のアルバム『Demons Protected by Angels』収録の「Lemonade」!
In my earlobe, got two karats, VVS
耳たぶには2カラットのVVSGot a penthouse near Rodeo off of stress
ペントハウスを買ったのはロデオドライブの近く。解放されるストレスAll this money, when I grew up, I had nothing
今持ってる大金、子供の頃は何もなかったFilled with backstabbers, my old life was disgusting
裏切り者ばかりで、昔の生活は最悪だったよCan’t believe it, gotta thank God that I’m livin’ comfortably
信じられないぜ、神に感謝だよな、こうやって快適に暮らせてることに
昔は貧乏だったけど、今はラッパーとして売れてVVS( Very Very Slightly Included:ベリー・スライトリー・インクルーデッド、最高級のダイヤ)のピアスを着けることができるようになったナヴ。カリフォルニア・ビバリーヒルズにある高級ブティックが並ぶストリート、ロデオ・ドライブの近くに家をペントハウス(ビルの最上階にある高級マンション)も買って超セレブな生活を楽しんでるって感じだね。
ラストを飾るのは最新アルバム『OMW2 REXDALE』からPlayboi Carti(プレイボーイ・カーティ)をフィーチャリングで迎えた「UNLIMITED」!
Gotta keep my fye, my whole life, I’ve been walkin’ through it
一生、自分の火は灯してく、ずっとそうやって歩いてきたSent a bitch through immigration, I need somethin’ foreign
ギャルにさせる入管通過、外国のが欲しいのさWake up to the moon, I go to sleep, the sun’s showin’
月が出る頃に起きて、眠りにつく頃には太陽が顔を出している
音楽業界で本格的に活動し始めてから約10年間シーンのトップを走ってきたナヴ。これからも彼にしか出せない“fye(fire のスラング:炎、灯火、かっこよさ)”はキープしながら、次のステージに向かっていく。今の彼の力は気に入った海外の女の子をアメリカに呼び寄せて“immigration(入国管理、入国審査)を”through(通過)”させちゃうほど。そして夜通しパーティーした後は、“the sun’s showing(太陽が出る頃)”に眠りにつくってわけだ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。
こんなスラングも知ってる?
be into
ハマってる

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現れる、立ち寄る

hater
人の成功や幸せを妬んで、粗探しをして悪口を言う人
