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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.213の今回取り上げる単語は「hood(フッド)」。日本でも「地元」という意味で知られているけど、USラップでは特に「貧困が原因で犯罪やドラッグなど多くの問題が起きてしまう地域」を指すことが多いんだ。今回はUSラップでの「hood」の使われ方をチェックしてみよう!
まずチェックするのは50 Cent(50セント)要する最強ギャングスタ・トリオ、G-Unit(Gユニット)の「I’m So Hood」!
G-Unit 「I’m So Hood(2003)」
I’m so hood, I can’t help it
Love me for bein’ me, ‘cause I can’t change itオレはマジでフッド、仕方ないだろ
オレがオレであることを愛してくれよ、変えれないんだ
「I’m So Hood」からフックの部分のリリック。
この場合の“ hood ”は「フッド出身の振る舞いをする人」という意味だ。
Gユニットの3人はみんな本物のフッド出身。だから皆かなりヤンチャなスタイルだけど、それはなかなか変えれない。女の子からすると、ちょっと落ち着いてよって感じだけど、彼らからすると、“Love me for bein’ me(オレがオレであることを愛してくれよ)”ってわけ。2000年代のハーコー・ラップの男臭さを感じるイケてるリリックだね。
続いて紹介するのはJay-Z(ジェイ・Z)の名曲「Empire State of Mind」!
Jay-Z 「Empire State of Mind ft. Alicia Keys(2009)」
Yeah, I’m out that Brooklyn, now I’m down in Tribeca
Right next to De Niro, but I’ll be hood foreverオレはブルックリン出身、今はトライベッカ住みだぜ
デ・ニーロの隣さ、でもオレは一生フッドを貫くぜ
カッコいいぜ…
NYで最も危険とされたブルックリン・マーシー団地から全米屈指の高級住宅街、トライベッカで、ロバート・デ・ニーロの隣に住むまでになったジェイ・Z。でも彼は絶対にフッド出身のアティチュードを崩さない。“I’ll be hood forever(オレは一生フッドを貫くぜ)”ってわけだね。まさにヒップホップ・マインドが凝縮された熱いリリックだぜ。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.213のラストを飾るのは、Dr. Dre(ドクター・ドレー)とEminem(エミネム)のドープ・シット、「Forgot About Dre」!
Dr. Dre 「Forgot About Dre ft. Eminem(1999)」
Gave you a tape full of dope beats
To bump when you stroll through in your hoodドープなビートで一杯のテープをやったろ
お前がフッドを流すのにぴったりのな
ドクター・ドレーが作ってきたビートは全てキャデラックでフッドを流すのにぴったりなものばかり。1992年のファースト・アルバム「The Chronic」でシーンに衝撃を与えた後、当時の所属レーベルだったDeath Row Records(デス・ロー・レコーズ)から脱退、約7年の時を経てリリースしたのがこの「Forgot About Dre」が収録されているアルバム「2001」だ。「Forgot About Dre」は“ドレーなんて忘れちまったぜ ”という連中に送る痛烈なメッセージ。エミネムという新しいパートナーを得て、再びフッドを揺らしにきたぜというドレーのゴリゴリに気合いの入ったラップが聴く度にアガる一曲だ。