The Alchemist 特集|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.287

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」今月はプロデューサー特集。

今回取り上げるのはファンク、ソウルなど様々な音楽から拾い上げた幾つもの音の破片を丁寧に重ね合わせて作り上げるザラついた中毒性の高いループと洗練されたメロディラインを自由に行き来する至極のビートを産み出すUSヒップホップ界の”錬金術師”、The Alchemist(ジ・アルケミスト)。ヒップホップシーン屈指の職人肌プロデューサーのキャリアをヒット曲と共に紹介するよ!

ヒップホップシーンの“錬金術師”、ジ・アルケミストのキャリアとは?

1977年、カリフォルニア州ビバリーヒルズで生まれた“ アルケミスト” ことアラン・ダニエル・ママン。お家は比較的裕福な家庭で、周りの家もお金持ちが多かったようなのだけど、アラン少年はセレブなライフスタイルよりもヒップホップカルチャーに夢中になっていく。

14歳で友人のScott Caan​​(スコット・カーン)とラップデュオ、The Whooliganz(ザ・フーリガンズ)を結成。次第に認知度を得ていった彼らはなんと西海岸のトップラップグループ、Cypress Hill(サイプレス・ヒル)のB-Real(B・リアル)に気に入られ、トラック制作に参加。アラン少年はいきなりヒップホップ業界のど真ん中で活動していくことになる。

その後ザ・フーリガンズはいまいち売れず、デュオは解散。相方のスコットは俳優の道へ、アランはビートメイカーの道へ進んでいく。

ヒップホップ・プロデューサー、“ジ・アルケミスト”として活動を始めたアランは
友人Evidence​​(エヴィデンス)が所属していたDilated Peoples(ディレイティッド・ピープルズ)のプロデュースを担当。その圧倒的センスで、音職人としてシーンの注目を集めていくことになる。アルケミスト特集、一曲目は若きアルケミストがプロデュースしたディレイティッド・ピープルズのヒット曲「Worst Comes to Worst」!

Dilated Peoples「Worst Comes to Worst(2001)」

I’m from the group where friction leads to fire
Stack your bricks, the time is take your pick
Do or don’t, the track? Alchemist​​

摩擦が炎を生み出す場所からやってきたグループ
レンガを積み上げな、時間もお前の選択次第
やるか、やらないか。このトラック?アルケミストだよ

 “friction(摩擦)”とは「切磋琢磨」のメタファー。
つまり、彼のグループ、ディレイティッド・ピープルズはメンバー同士で切磋琢磨して、まるで炎を出すくらい熱くなるってことだね。しかしただ熱くなるだけではなく、きちんとスキルの積み上げもやる。人生は自分の決断次第だし、やるか、やらないかってことがすごく大事だよね。

Mobb Deep、Nas、Snoop Dogg…名だたるラッパーたちへの楽曲提供、そしてEminemのDJへ

90年代後半から2000年代にかけて、アルケミストはその制作能力の高さから多くのラッパーたちの楽曲制作に参加。モブ・ディープ、ナズ、ジェイダキス、スヌープ・ドッグなどまさに時代を築いてきたラッパーたちと新たな音楽を生み出していく。

またエミネムの Anger Management 3 ツアーにDJとして参加、エミネムのコンピレーションアルバム「The Re-Up(2006)」を手がけるなど、まさにシーンの第一線で活躍の場を広げていったんだ。

アルケミスト特集、2つ目の楽曲は、彼のファーストアルバムである「Chemical Warfare」からEminemをゲストに迎えた一曲「Chemical Warfare​​」!

「Chemical Warfare(2009)」

It’s chemical warfare, drop bombs like Saddam
I’m bringing the drama, like Barack Obama

化学戦争、爆弾を落とす、まるでサダム
ドラマをもたらす、まるでバラク・オバマ

エミネムのリリック。
2003年から2011年まで続いたイラク戦争で話題になっていた化学兵器、サダム・フセインなどのワードを持ってきて、その戦争を終結させることを宣言していたオバマ元大統領でライミングするという内容だ。エミネムらしい時事ネタをうまく取り入れたリリックだね。

変化の激しいシーンで常に求められるビート職人

90年代から活動し、今も多くのトップアーティストから仕事のオファーが絶えないアルケミスト。ナズやエミネムなど多くのリリシストとコラボしてきた彼がタッグを組んだのが現代ラップシーン最高峰のリリシスト、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)だ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」のラストを飾るのは、ケンドリックとアルケミストの一曲「FEAR.」!

「FEAR.(2017)」

At 27 years old, my biggest fear was bein’ judged
How they look at me reflect on myself, my family, my city

27歳、オレの一番の恐怖はジャッジされること
みんながオレをどう見ているのか、オレ自身、オレの家族、私の街を反映してるんだ

27歳になったケンドリックが一番恐れているのは、ジャッジされること。
つまり有名になったことで世間やヘイター、そしてメディアなどにジャッジされることが恐怖だってことだね。ただ彼の音楽というのは、彼自身や家族、そして彼の地元であるLA・コンプトンを反映してるもの。それがしっかり伝われば、ファンたちは必ずついてきてくれるって感じだね。

【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。

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