WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.208。今回取り上げる単語は「freak(フリーク)」。
“freak”は元々「オタク、マニア、変人」といった意味だけど、スラングでは主に「変態」という意味で使われている言葉だ。早速USラップでの使われ方をチェックしてみよう!
まず紹介するのはRick James(リック・ジェームス)の「Super Freak」をサンプリングしたNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)のアゲアゲな新曲、「Super Freaky Girl」!
Nicki Minaj「Super Freaky Girl(2022)」
You can smack it, you can grip it, you can go down and kiss it
And every time he leave me ‘lone, he always tell me he miss it
He want a F-R-E-A-K (Freaky girl)
F-R-E-A-K (Freaky girl)
ぶっ叩いて、握りしめて、下げて、キスするの。
彼は出かけるとき、いつも寂しいって言ってくれる。
F-R-E-A-Kを求めているの。(フリーキー·ガール)
F-R-E-A-Kをね。(フリーキー·ガール)
彼氏のdickをアップサイドダウンするニッキー。そのテクニックに彼氏はもう夢中。出かけるときにも名残惜しそうだ。
なぜならニッキーはラップのスキルはもちろん夜のスキルもヤバい“フリーク”だから。
フックの“F-R-E-A-K”の部分の心地良さに、体が勝手に踊り出してしまうグッドなパーティーチューンだぜ。
続いてはそのニッキーと過去にビーフがあったとされるCardi·B(カーディ・B)の「Press」!
Cardi B 「Press(2019)」
Bitch I’m a freak like Greek (Like Greek)
Got the biggest house on my street (My street)
All you little hoes look cheap (Look cheap)
They suckin’ on my dick with no teeth
ビッチ、私はグリークみたくフリーク
ストリートで一番でかい家を買った
お前らしょうもないヤリマンどもは安っぽく見えるな
私のディックを歯無しでしゃぶりな
さすがカーディ、もはやほぼ全てが放送禁止レベルのスラングでゴリゴリに攻めてくるリリックだぜ。“ I’m a freak like Greek(私はグリークみたくフリーク)”で登場する“Greeak”(グリーク)”はNBA、ミルウォーキー·バックスに所属するギリシャ出身のバスケ選手ヤニス·アデトクンボのこと。ヤニスは2メートル11センチの身長と驚異的なバスケセンスで、NBA史上初めて通算得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックでリーグトップ20位にランクした選手だ。
そんな彼の愛称が出身国であるギリシャの英語名、Greekとヤバすぎるやつという意味での“freak”をくっつけた、The “Greek Freak”だ。
そんなヤニスと同レベルでフリーキーなラッパーであるカーディのリリックのぶっ飛び具合はUSラップシーンでもトップレベル。“All you little hoes look cheap(お前らしょうもないヤリマンどもは安っぽく見えるな)”でその辺のビッチたちをディスった後は、「私のディックを歯無しでしゃぶりな」という女性ラッパーではなかなかお目にかからないハードなパンチラインでトドメの一撃を与えているんだ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.208のラストは90年代、フィメールR&Bの名曲、Adina Howard(アディナ・ハワード)、「Freak like Me」。
Adina Howard「Freak like Me(1995)」
I want a freak in the mornin’
A freak in the evenin’, just like me
I need a roughneck nigga
That can satisfy me, just for me
If you are that kind of man, ‘cause I’m that kind of girl
I got a freaky secret, everybody sing
‘Cause we don’t give a damn about a thing朝にフリークが欲しくて
夜にも欲しいの、私みたいなフリークがね
ヤンチャな男が必要ね
私を満足させてくれる、私だけの
もしあなたがそんな感じの男なら、私はそんな感じの女だから
私はフリーキーな秘密を持ってるの、みんな歌いな
だって私たちは何も気にしないんだから
カッコよすぎでしょ。“I want a freak in the mornin’ A freak in the evenin’, just like me(朝にフリークが欲しくて、夜にも欲しいの、私みたいなフリークがね)”の部分で歌われているフリークとはアディナの中の激しい部分のこと。そんな”フリーク”を自分の中に持つアディナは自分を満足させてくれるヤンチャな男を求めているって感じだね。
実はこの「Freak like Me」のリリース以前はこのような女性がリリックの中で性のことに触れることは比較的少なかったんだ。この「Freak like Me」があって、その後、Lil Kim(リル・キム)やMissy Elliot(ミッシー・エリオット)が、より女性目線でのオープンなリリックな書けるようになったと言われているんだ。現在、ニッキー・ミナージュやカーディ・Bがかなり自由にリリックを書けているのも、このアディナ·ハワードの「Freak like Me」の影響が大きいってわけだね。ラップのリリックをディグるとこういった言葉使いの発展を知れるから改めて面白いぜ。