WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.353の今回取り上げる英語表現は「bite(バイト)」。通常は「噛み付く」という意味の言葉だけど、スラングでは「(技などを)パクる」という意味で使われるんだ。今回もUSラッパーたちのリリックから「bite」の使い方をチェックしていこう!
まずチェックするのは、JAY-Z(ジェイ・Z)とBeyoncé(ビヨンセ)の最強夫婦コンビ、THE CARTERSの「BLACK EFFECT」!
THE CARTERS「BLACK EFFECT(2018)」
They even biting cornrows, put your scarecrows up
I come from the finest cropコーンロウでさえパクりやがって、カカシでも立てときな
オレは最高の作物から生まれたんだぜ
ジェイ・Zのテクニカルなリリック。“They even biting cornrows(コーンロウでさえパクりやがって)”のラインで歌われているのは、黒人以外のルーツを持つ人で、コーンロウをファッションとして取り入れている人へ向けたメッセージ。 “cultural appropriation(文化の盗用)”の観点から、黒人以外の人種が安易にファッションとしてコーンロウを取り入れることを非難してるって感じだね。そんなに外見だけ真似したいなら君の“scarecrows(カカシ)”でも立てといてくれってわけだ。
さらにジェイが言い放つのは、 “I come from the finest crop(オレは最高の作物から生まれたんだぜ)のライン。実はこれは最初の cornrows(コーンロウ) を起点としたワードプレイ。元々、cornrow は編み上げた髪がとうもろこしの表面に似ていることから名付けられた呼び方と言われており、このリリックでは、cornrows(コーンロウ)→scarecrows(カカシ)、the finest crop(最高の作物)というように畑に関連した言葉でまとめてるんだ。さすがジェイ・Z、半端ないぜ。
続いて紹介するのは、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)からGZA(ジザ)の「Liquid Swords」!
GZA「Liquid Swords(1995)」
I swing swords and cut clowns
Shit is too swift to bite, you record and write it downオレは剣を振って斬る道化師
このシットは速すぎてパクれねぇ、お前は録音して、書き留めるだけ
まさに刀のように切れ味鋭く、そして速く動くジザのフローはそんじょそこらのラッパーにはパクることは不可能。ただただ録音して、書き留めるのが精一杯ってわけだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.355のラストは2000年代サウス・ヒップホップのヒットメイカー、Outkast(アウトキャスト)の「Spaghetti Junction」!
Outkast「Spaghetti Junction(2000)」
Yeah, they can bite, but cannot be us
They can come and pick up little slang but cannot see us
You ought to be ashamed, trying to fit in my Adidasパクっていいぜ。どうせオレたちにはなれない
やってきて、少しのスラングをつまむだけ。オレたちを見ることすらできない
恥ずかしく思いな。オレのアディダスに足を合わせようとするのを
“ Yeah, they can bite, but cannot be us(パクっていいぜ。どうせオレたちにはなれない。)” で歌われているように、アウト・キャストのオリジナルなスキルと方向性をパクったって彼らにはなれない。“ You ought to be ashamed, trying to fit in my Adidas(恥ずかしく思いな。マイ・アディダスに足を合わせようとするのを。)” で出てくる “ my Adidas ” はRun-D.M.C.の大ヒット曲「My Adidas」からの引用であり、この場合は「自分のスタイル」を意味するメタファーととらえることができる。他人のスタイルをパクってパフォーマンスをすることは、ヒップホップシーンではとても恥ずかしい事だと歌ってるんだ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。
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