WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.158の今回は2000年代名盤(2000年上半期)特集。取り上げるのは、 Jurassic 5(ジュラシック・ファイヴ)の「Quality Control」。
Jurassic 5(ジュラシック・5)はChali 2na(チャリ・ツナ)、Akil(アキル)、Soup aka Zaakir(スープ aka ザキール)、Marc 7(マーク・セヴン)、DJ Nu-Mark(DJ ヌ・マーク)、Cut Chemist(カット・ケミスト)からなる6人組のヒップホップ・グループ。 6人はロサンゼルスにあるライブハウス「グッド・ライフ・カフェ」で出会い、1993年にグループを結成。80年代から90年代かけて活躍したNative Tongues(ネイティヴ・タン)のアフロセントリックでポジティブなスタイルに影響を受けた音楽性で、LAのアンダーグラウンド・シーンで確固たるプロップスを得ていったんだ。 そんな彼らが2000年6月にリリースした「Quality Control」はそのタイトルの通りヒップホップのクオリティをしっかりコントロールする間違いない1作。オールドスクールへのリスペクト、気取らないレイドバックしたスタンスと巧みな言葉遊び、そして彼らが発信するポジティブなバイブスが詰まったこのアルバムは、ヒップホップを聴いたことがない人から硬派なヘッズまで幅広い層の人々が楽しむことができる作品だ。
そんな名作「Quality Control」からまずチェックするのは「The Influence」!
「The Influence」
Since I pick up the microphone I’m hotter than brimstone The razor sharp crossbow accurate We drop the multiverbal milligram supplement Plus in bed, theological word advance Been Too Legit To Quit before the Hammer pants
「マイクを取ったら、硫黄よりもアツいぜ 鋭いボーガンを正確にぶっ放すぜ オレらがドロップする、多言語ミリグラムのサプリメント 就寝時には、神学的な言葉の進歩 ハマー・パンツの以前から、レジットすぎてやめられない」
ザキールとアキルによるハイスキルなリリック。 まず“brimstone(硫黄)”は聖書において、地獄の業火とセットで出てくる単語。 つまり硫黄よりもアツいということは、地獄よりもアツいということであり、地球上で一番アツいという意味なんだ。そんな彼らがドロップするのは、圧倒的語彙センスのテクニカル・ライミング。それはまるでヘッズたちにとっての“spupplement(サプリメント、栄養補助食材)”てわけ。彼らのドープなヒップホップ・スタイルはMCハマーが流行る前から、ずっと “ Too Legit To Quit(イケイケすぎて、やめられない)” て感じだね。
続いてはヒップホップ・ゲームにおける彼らのスタンスを歌った曲「The Game」!
「The Game」
I put my foot in the pavement With the brothers I’m raised with Play with and break dance back in the days with
「オレの足はあの路上を踏みしめてる。 一緒に育ったブラザーたちと共にな。 一緒に遊んだり、ブレイクダンスをした日々を共に過ごしたやつらさ。」
「The Game」からチャリ・ツナのリリック。 彼はラッパーとして売れた後もしっかり“ pavement(車道、歩道、ストリート)”に足をつけている。仲間達とブレイクダンスを楽しんだ自分のルーツであるストリートを今でも大切にしているて感じだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 2000年代名盤(2000年上半期)特集、Jurassic 5「Quality Control」のラストは、アルバムと同名タイトルの「Quality Control」!
「Quality Control」
Whether platinum or gold, we use breath control So let the beat unfold, intro on drum roll We be the Lik like E, Tash, and J-Ro We harass niggas like we was the po-po We can rule the world without Kurtis and still Blow
「プラチナムでもゴールドでも、オレらが使うのはブレス・コントロール。 だからビートを広げて、ドラム・ロールに乗ってく。 オレ達はまるでTha Alkaholiks、E、Tash、そしてJ-ROみたく。 おまわりみたく黒人を攻撃する。 カーティスといまだにブローしなくても、世界を支配するぜ。」
ジュラシック・ファイヴのメンバー全員で歌い上げるヒップホップへの愛が詰まったヴァース。まず彼らはプラチナやゴールド・レコードを獲得しようが、自分たちのスタイルを貫き続ける。周りの評価に流されずに、自分たちの“ breath(呼吸)” をコントールし、変わらずにビートに乗ってくてわけだ。 その硬派な姿勢は、ロサンゼルスのアンダーグラウンド・シーンで絶大なプロップスを得るヒップホップ・グループ、Tha Alkaholiks(現 The Liks)みたいだろって感じだね。 そして“ We can rule the world without Kurtis and still Blow(カーティスといまだにブローしなくても、世界を支配するぜ。)”で歌っているのは、ヒップホップ草創期のレジェンド、カーティス・ブローに対するリスペクト。“We can rule the world (世界を支配するぜ。)”の部分は、カーティスのヒット曲である “ If I Ruled The World ”のサンプリングだ。オールド・スクール・ラップに対する最大限のリスペクトと自分たちが次のシーンを担っていくぜというアツいメッセージを感じることができるリリックだぜ。