technique|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.240

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

technique

技術、技巧
紹介アーティスト
Eric B. & Rakim, Nas, MF DOOM
technique|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.240
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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.240。今回取り上げる英語は「technique(テクニック):技術、技巧」だ。

まず紹介するのはやはりテクニックと言えばこの曲、Eric B. & Rakim(エリック・B&ラキム)のクラシック 「Don’t Sweat the Technique」!

Eric B. & Rakim「Don’t Sweat the Technique(1992)」

Poem’s physique, never weak or obsolete
They never grow old, techniques become antiques

詩の体格、それは決して弱くならないし、時代遅れにもならない
決して年老いない、テクニックはアンティークになるんだ

「Don’t Sweat the Technique」からラキムのリリック。
まず注目すべきはその圧倒的語彙力。physique(フィジーク:男性の体格、体つき)、
obsolete(アブソリート:時代遅れ)という高難易度の単語を使い、自らの “ peom(詩)”の質の高さを見せつけた後に続くのが、”They never grow old, techniques become antiques(決して年老いない、テクニックはアンティークになるんだ)”のパンチラインだ。

ラップのテクニックにも流行り廃りはあるけど、ラキムのライミング・テクニックはどれだけ時代が変わろうと評価されるもの、つまりアンティーク(美術的価値の高い骨董品)になるということだね。

さすが “The God MC”​​、ラキム。思わず“sweat(汗)”をかいちゃうくらいの半端ないテクニックだぜ…!

続いて紹介するのは、Nas(ナズ)の「It Ain’t Hard to Tell」!

Nas「It Ain’t Hard to Tell(1994)」

Vocabulary spills, I’m Ill plus Matic
I freak beats, slam it, like Iron Sheik
Jam like a TEC with correct techniques

語彙が溢れ出す、オレはイル・プラス・マティック
ビートをビビらせて、叩きのめす。まるでアイアン・シーク
正しいテクニックで使ったTEC-9みたいに詰まってるぜ

Ill plus Matic(イル・プラス・マティック)はこの曲が収録されているアルバムのタイトルでもあるIllmatic(イルマティック)のこと。ナズの地元、Queensbridge(クイーンズ・ブリッジ)のスラングで「最高にイル」という意味だね。
そして「ビートをビビらせて、叩きのめす」とはナズのライムが激しすぎて、生半可なビートでは対応できないという事を表したものその半端ない激しさときたら、1970年代から80年代にかけて活躍した悪役プロレスラー、アイアン・シークのようってわけだ。
次のラインで出てくる「TEC」とは自動拳銃「TEC-9」なのだけど、実はこの「TEC-9」、弾倉に弾丸が詰まりやすいらしく、正しいやり方で引き金を引いても弾丸が詰まって撃てないことがあるんだって。つまり今回のリリックの場合はナズの語彙が溢れすぎて、コントール不能だぜっていうこと表現していると読み取ることができるね。
さすが、ナズ、まさにイルマティックです。

ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.240のラストを飾るのはMF DOOM(MF ドゥーム)の「Kon Queso」!

MF DOOM「Kon Queso(2004)」

We have the Supervillain in his own defense to speak
It’s all part of my mental techniques
Available to freaks and pencil neck geeks

オレたちは彼の弁護をするスーパー悪役を持ってる
それはすべてオレの精神的なテクニックの一部さ
フリークやガリ勉にも利用可能だぜ

稀代のリリシスト、MD ドゥームの激アツなライム。
まず「オレたちは彼の弁護をするスーパー悪役を持ってる」で出てくる「スーパー悪役」とはドゥーム自身のこと。ドゥームの本名はDaniel Dumile(ダニエル・デュミーレイ)であり、「MF ドゥーム」はダニエルのラッパーとしての別人格だ。つまりこのリリックはデゥミーレイが「MF DOOM」というキャラを使ってなら、自分が言いたいことを言えるということを表しているんだ。つまり彼は自分の中の精神をラッパーとしての自分と本来の自分で使いわけていると言うことだね。そしてそのテクニックはfreak(オタク、変人)や pencil neck geeks(ガリ勉)でも使うことができるって感じだね。
“my mental techniques”と“ pencil neck geeks”という超高度なライミングと内省的かつ文化系ヘッズに勇気を与える内容がたまらないぜ。

 

 

【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。

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