WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.83の今回は “ Luv(sic) ” 特集。
類稀なるビートメイクセンスでヒップホップ・ヒストリーに残る数々の名曲を生み出した日本人プロデューサー、 Nujabes。そんな彼の名曲の中でも最も知られているのはやはりラッパー、Shing02との合作である「Luv Sic」シリーズだ。今回はその中のPart1からPart3を取り上げ、リリックをチェックしていくぜ!
まずはLuv(sic)伝説の幕開けとなった「Luv(sic) Part1」のリリックをチェキ!
「Luv(sic) Part 1(2001)」
Breathe life into dead space blow away your clouds of doubt. New territory we determine to be. Everything a safe haven it’s supposed to be. Now it might seem distant but the time is near. When our thoughts take off and split the atmosphere. Pure sound wave travel semi-infinitely. Plus I’ll see you there utmost definitely. Cause the beat plus the melody. Makes me speak of L.O.V.E eloquently so evidently.
「朽ち果てた場所に生命を吹き込んで、吹き飛ばす疑念の雲。僕たちが向かうと決意した新たな土地。全てがそう定められてたかのような安息の場所。今はまだ距離があるように感じるかもしれない。でも時は近い。僕たちの想いが飛び立って、大気を突き抜ける時。純粋な音の波が半永久的に旅を続ける。そして僕はそこで君に会うんだ。きっと必ず。なぜならこのビートとメロディが、僕にL.O.V.Eを雄弁に、そして確かに語らせるから」
もはや英文学ではないか。
Shing02のまるで文学作品を読んでるようなポエティックな言葉選びとライミング。そんなリリックがNujabesのLOVEを雄弁に語りたくなるようなビートとメロディに乗ったのが、誰が聞いても純粋な音の波が頭の中を半球的にトラベルする至高の名曲シリーズ、Luv(sic)なのだ。
続いてはShing02が、2001年の9.11 アメリカ同時多発テロから受けた衝撃を元に書き起こしたPart2のリリックをチェキ!
「Luv(sic) Part 2(2002)」
I’m a believer, firm with the first words, lyrical transceiver of our ancient roots. Science plus arts multiplied by faith, then divided by the number of our ethnic race. Let me mention what I’ve been thinking. How to save the children, when the ship is sinking. So I’m singing, no lip syncing to slogans. Political hooligans with tanks, missiles and guns. Everything is relative when it’s all in the family of man. Understand the time has finally come to realize the great power of one. All formulas equalize under the sun, amen.
「僕は信仰者、第一声から確かさ。僕たちの古きルーツのリリカルなトランシーバー。科学にアートを足して信仰を掛ける。そして僕たちの民族の数で割る。言わせてくれ、僕が考えてきた事を。船が沈みかけてる時に、どうやって子供達を救うかを。僕は歌う。スローガンは口パクじゃない。銃とミサイルと戦車を構えたポリティカル・フーリガン達。全てのことは関連していて、人間と言う家族の中のことさ。偉大なる力に気づく時がついに来た事を理解しな。全ての方程式は太陽の下に平等になるのさ、アーメン」
全てがパンチラインのリリック。
Shing02が学ぶのは自分達の音楽や文化の “ ancient roots(古きルーツ)”。そしてそこから受けたインスピレーションを元に彼が発信するのがリリックだ。つまりはShing02というラッパーは学んだものを自分の中で変換して、リリックという形で発信する “ lyrical transceiver ”(リリカルなトランシーバー:トランシーバーは受信機と送信機が一体になった無線機。)だということ。
そんなリリカル・トランシーバーが弾き出すのが次の方程式。
Science plus arts multiplied by faith, then divided by the number of our ethnic race.
「科学にアートを足して信仰を掛ける。そして僕たちの民族の数で割る。」
この方程式が導き出すのは僕たちの未来。世界の多くの地域で国同士の利権争いや信仰の違いによる紛争や異なる民族間での対立などの様々な争いが起きているけど、本当は僕たちは人間という1つの大きな “ family(家族)”だよね。もし世界中の戦争や紛争を終結させ、人間が人種や宗教といった違いを乗り越えて1つの家族として協力しあうことができたら?そこにはきっとすごくポジティブなエネルギー、“the great power(偉大な力) ” が生まれるはず。例えば、科学技術の進歩や音楽や絵画など人間が生み出した素晴らしい芸術の発展にもつながる。
つまり、「科学にアートを足して信仰を掛ける。そして僕たちの民族の数で割る。」という方程式が完成され、太陽の下で皆が平等に暮らすことができる世界が訪れるんだ。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.83 “ Luv(sic) ” 特集のラストはPart3をチェキ!
「Luv(sic) Part 3(2005)」
It’s funny how the music put times in perspective. Add a soundtrack to your life and perfect it. Whenever you are feeling blue keep walking and we can get far. Wherever you are. Like a movie that you can’t predict. Like a book that you can’t resist. I sing along a song that’s oh so sensual. Bring along a sip to make it all so sexual. Verbally that is, making love to the music means vibing to the beat at night. With the whole city fast asleep, out cold. True words seem to rise to the lips.
「音楽が時の感じ方を広げてくれるのて面白いよね。君の人生にあのサウンドトラックを加えて、人生を完璧なものにしよう。ブルーな時も歩き続けよう。僕たちはきっと遠くに行ける。そう、いつだって。まるで予測できない映画みたいに。まるで抗えない本みたいに。僕は歌を歌う。ちょっと官能的に。一杯やるのさ。全てをセクシャルにするために。言葉で説明するなら、つまりこの音楽と愛を交わすてことは、夜通しこのビートにアガるてこと。この街の全てがぐっすりと寝静まれば、真実の言葉たちが唇に上ってくるのさ。 」
Part3では改めて音楽への愛を歌うShing02。
誰にでも思い出の曲、忘れられない曲、そして落ち込んでくれる時に勇気をくれる曲てあるよね。そんな “ a soundtrack to your life(人生のサウンドトラック) ” は君の人生をより良いものにするために、とても大事なもの。このLuv(sic) シリーズも多くの人にとって、人生のサウンドトラックとなっている名曲。トラックはもちろん最高なんだけど、それをさらに名曲たらしめているのがShing02の “ true words(真実の言葉) ”てわけだ。