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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのは大人気カー・アクション映画、ワイルドスピードの3作目、2006年公開の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』!
『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』とは?
2001年の第1作から20年以上続く人気カー・アクション・シリーズの3作目。第1作目ではロサンゼルスを、続編の『ワイルド・スピード 2』ではフロリダ・マイアミのストリート・レースシーンを描いてきた”ワイスピ”が2作目に舞台に選んだのは、日本の東京。
アメリカ出身の車好きの高校生、ショーンが転向してきた先の東京でドリフトカルチャーと出会い、のめり込んでいく様子を描いた作品だ。
①これが 2000年代のNEO TOKYO!
アメリカ×日本が生み出す唯一無二の世界観
地元のアリゾナで問題行動を起こし、母親から愛想をつかされた高校生のショーンは、東京の米軍基地で軍人として暮らす父の元に引っ越すことに。そこでショーンが目にするものはアメリカとは全く異なる東京カルチャー。
そこで映し出されるのは、渋谷のスクランブル交差点、人でいっぱいのエスカレーター、満員電車などいわゆる定番の東京の風景に加えて、立体駐車場(マニアックなところだが自転車版も)、狭い住宅環境、そして日本で育った人からするとツッコミ所満載のアメリカナイズドされた高校生活など、よくも悪くもリアル、もしくは誇張された”ネオ・トーキョー”だ。
ある意味ツッコミながら楽しめる映画でもあるのだが、そんな中でも本作メインテーマは
日本で独自の進化を遂げたカーカルチャー、ドリフトだ。
②世界に日本のドリフトカルチャーを知らしめた映像美
「ドリフト」とは、意図的に車を滑らせて、スピンさせずにコントロールする技術のこと。 英語で「漂う、流れる」といった意味を持つ「drift」が由来のテクニックだ。
実はドリフトは1970年代から1980年代の日本で峠道を攻める走り屋たちが発展させた文化であり、日本発祥のカー・カルチャーと言われているんだ。
白煙とタイヤ音を響かせながら、車体をスピンさせないギリギリの体勢でコントロールするドリフト走行。90年代には次第に日本各地でコンテストが開かれるようになり、2000年には全国大会である、全日本プロドリフト選手権が開催される。そしてその3年後にはアメリカにも進出し、ロシアや中国、韓国にもドリフト文化が広まっていったんだ。
この『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』はそんなドリフト文化の盛り上がりを受けて作られた映画。
ドリフトシーンは日本のドリフト界レジェンド、“ドリフトキング”こと土屋圭市氏が監修を務めたことで、ハリウッドの映像技術と日本の技が組み合わさり、疾走感のある大迫力のドリフト映像が仕上がっているんだ。ちなみ土屋圭市氏自身、映画内にカメオ出演してるので、ぜひチェックしてみてね。
③北川景子、妻夫木聡、千葉真一…この人も出てたの!?豪華なキャストたち
ド派手なドリフトシーン、カーアクションが見所の『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』だけど、実は日本を代表する俳優たちも多く出演している。超若手時代の北川景子、当時『ウォーターボーイズ(2001)』や『ジョゼと虎と魚たち(2003)』で日本映画界を席巻していた妻夫木聡、お笑い芸人の柴田理恵、ヤクザのボス役で登場する日本が誇る名俳優“JJサニー千葉”こと、千葉真一。また超若手時代の北川景子、さらに真木よう子、中川翔子、そして元大相撲の力士である、KONISHIKIなど日本の著名人が多く出演しているんだ。えっ、この人がこんなシーンで!?なんてのも観ていて楽しい部分だね。
④TERIYAKI BOYZが担当したアイコニックなテーマソング
映画のテーマソングは「TERIYAKI BOYZ」が担当。「TERIYAKI BOYZ」は「RIP SLYME」のILMARIとRYO-Z、そして「m-flo」のVERBAL、さらに名古屋をレペゼンするWISE、そして当時「A BATHING APE®」でUSのヒップホップファッションシーンを席巻しまくっていたファッションデザイナーのNIGOがDJとして参加した4MC+1DJのスーパーグループだ。
そんなTERIYAKI BOYZと当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったファレル・ウイリアムスとチャド・ヒューゴによるプロデューサー・コンビ「The Neptunes」が楽曲制作を担当、アジアンなバイブスを感じる上音とシンプルだが中毒性の高いループビートが重なり、一度聴いたら忘れられないラップソング「TOKYO DRIFT」ができあがったんだ。
リリース当初も音楽業界に大きなインパクトを与えた「TOKYO DRIFT」なんだけど、その後2020年にはインドネシアのラッパー、Rich Brianがビートジャックしたことがきっかけで、再び注目されることに。日本でもタレントの重盛さと美がビートジャックするなどし、大きな話題になったよね。まさに時代を超えるヴァイラル・ヒットソングなんだ。
⑤トンデモ映画からサブカルファンに愛される人気映画に!?
公開当初はアメリカンカルチャーをミックスさせたハリウッドverの東京の描き方で賛否両論だったのだけど、時代を超えてその描き方や楽曲なども含めてサブカルファンや日本文化ファンから愛される映画になった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』。最近では日本発信のガールズ・グループ「XG」が楽曲「WOKE UP 」で
Find me in Tokyo, rappin’ in a skirt
Are you catchin’ my drift tho?
私を東京で見つけてみな、スカートでラップしてる
私のドリフトに追いつけるって?
と「TOKYO DRIFT」に関するワードをリリックの中で取り入れるなど、ポップカルチャーにおけるアイコニックな映画になっているんだ。
時代を超えるカルチャー映画となった『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』。
まだ観たことがない人はぜひ配信サービスなどでチェックしてみてね!