『ナルコス』を観るべき理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.146

麻薬王パブロ・エスコバルとの攻防を描いたNetflixドラマ

ライター:TARO

「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはNetflixドラマ『ナルコス』!

『ナルコス』とは?

舞台は1980年代。当時アメリカ国内で大きな問題となっていたコカインの蔓延を食い止めるため、アメリカ麻薬取締局 (DEA)は最大の供給源であったコロンビアに捜査官、スティーブ・マーフィーを送り込む。しかしそこはキング・オブ・コカイン、パブロ・エスコバルの組織「メデジン・カルテル」が警察、政府、そして市民までを支配する「麻薬王国」だった。

①史上最大の麻薬王
パブロ・エスコバルを倒せるのか?

物語の舞台である1980年代は近代史における最大のギャングスタ、パブロ・エスコバルが麻薬王としてコロンビアに君臨していた時代。賄賂や脅しで警察や行政にまで影響力を及ぼしていたパブロは事実上コロンビアの帝王として君臨、麻薬よる利益で推定 300億ドル(2021年の時点で640億ドルに相当)を稼ぎ、“史上最も富裕な犯罪者”と言われていたんだ。そんな強敵を果たしてDEAは倒せるのか?捜査官たちと「メデジン・カルテル」の手に汗握る攻防戦をぜひチェックして欲しい。

②パブロを演じるヴァグネル・モウラの
圧倒的存在感

物語の中心であるパブロ・エスコバルを演じるのはブラジル出身の俳優、ヴァグネル・モウラ。10代の頃から役者を志していたヴァグネルは、大学卒業後ローカルテレビ局のリポーターとして勤務後、舞台からキャリアをスタート、徐々にブラジル国内での映画でも認知度を得て、この『ナルコス』でのパブロ役で一気に世界的知名度を獲得した俳優だ。

史上最大の麻薬カルテルのボスでありながら、同時に家族思いの人間でもあったパブロの二面性を圧倒的な存在感で演じている。その演技が評価され、2016年の第73回ゴールデングローブ賞でも主演男優賞 (ドラマ部門) にノミネートされているんだ。

③英語とスペイン語が同時に学べる!?
多言語の世界観

普段僕たちが観る映画はキャストが英語で話していることが多いけど、『ナルコス』は舞台が南米ということもあって、会話のほとんどがスペイン語。ある意味この映画を観ることでスペイン語の勉強にもなるのだ。実はスペイン語話者の人口は中国語に続いて世界第2位。少しでも知ってれば、南米を旅行する時にはもしかしたら役に立つかも!?

④ヒップホップシーンとの繋がり

史上最も有名なギャングであるパブロ・エスコバル。彼の全盛期である1970年代〜1990年代はヒップホップがアメリカで盛り上げっていった時代でもあり、ラッパーたちのリリックの中にもパブロは既存の体制や権力に対抗する”ダーク・ヒーロー”的な存在としてよく登場する。例えばナズは、1996年リリースの「Affirmative Acttion」の中で、

Life’s a bitch, but God forbid the bitch divorce me
I’ll be flooded with ice, so Hell fire can’t scorch me
Cuban cigars, meetin’ Foxy at Demars, movin’ cars
Your top papi Señor Escobar

人生はビッチ、でも神様はそのビッチと離婚することを許してくれた  
アイスと共に流れ出る、だから地獄の炎はオレを焦がせない  
キューバ産のシガー、ディマーズでフォクシー・ブラウンと会って、車を動かす  
お前の最高のパパ、エスコバル様だぜ

という形でパブロ・エスコバルについて言及していたりするんだ。

90年代ヒップホップシーンに
大きな影響を与えたコカイン問題

90年代のラップのリリックに特に多く出てくるのが、Crack epidemic(クラック・エピデミック)というコカインの大流行。1980年代に南米からコカインが大量に流入したしたことで、最も深刻な影響を受けたのが、アメリカの貧困地区で暮らしていた人々、特に黒人の人々なんだ。当時のクラック・エピデミックを経験したのがナズやジェイ・Zといったラッパーたちであり、彼らの多くが荒廃したゲットーの様子を楽曲で歌っている。『ナルコス』を観れば、90年代USラップで歌われているバックグラウンドより深く理解できること間違いなしだ。

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