これを観なきゃマフィア映画は語れない。マフィア映画の金字塔『ゴッドファーザー』とは？

みんな文化ディグってる？
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を紹介していくよ。

今回取り上げるのは映画『ゴッドファーザー』。公開当時に歴代世界興行収入ランキング1位を記録した、マフィア映画を語るうえでは欠かせない名作だ。

『ゴッドファーザー』ってどんな映画？

ニューヨークで絶大な権力を持つマフィアのドン、ヴィドー・コルレネオーネ。人々のいろんな問題を解決し信頼も厚かったヴィトーは、ある日麻薬取引を持ちかけられる。しかし、麻薬は扱わない信条だと拒絶したところ、敵対勢力に襲撃されてしまい、重症を負ってしまう。その一報を受け、ファミリーの中でも唯一の堅気だった末息子のマイケルは父の復讐を決意し、マフィア同士の血生臭い戦争へと突入していくが…。

 

『ゴッドファーザー』を観るべき５つの理由

①後世に影響を与えたマフィア映画の金字塔

マフィア映画といえば真っ先に思い浮かぶほど、人々に影響を与えた『ゴッドファーザー』。マフィアの苦悩する内面をリアルに描き、それまでのマフィアのイメージを覆すものになった。これ以降のマフィアが出てくる映画作品は、間違いなく『ゴッドファーザー』の影響を受けており、映画史の一つの転換点となった、紛れもない名作だ。

映画だけではなく、音楽シーンにも影響を及ぼしている。ラッパーのDrake（ドレイク）もMeek Mill（ミーク・ミル）との楽曲『Going Bad』でも、マフィアのボスであるヴィトー・コルレネオーネを引き合いに出したリリックで、トップに君臨する苦悩を歌っている。

Don Corleone

ドン・コルレオーネ

Trust me, at the top it isn’t lonely (Strapped)

信じてくれ、トップに君臨するのも孤独じゃない

Everybody actin’ like they know me, dawg

みんな俺を知ってるフリをしている

Don’t just say you’re down, you gotta show me (What you gotta do?)

口だけじゃなくて、実際に見せてくれよ

 

ドレイクは自身が手がけるストリートブランド「Octobers Very Own」でも『ゴッドファーザー』とコラボしたコレクションを発表しており、その世界観にシンパシーを感じているよう。

さらに『ゴッドファーザー』といえばの曲「ゴッドファーザー 愛のテーマ」をトラックに使った曲Psycho Realm（サイコ・リアルム）の『Street Platoons』があるから一度聞いてみてね。

③コッポラ監督の大出世作

マフィアの栄光と苦悩を描いた『ゴットファーザー』だが、監督のフランシス・フォード・コッポラは当時なんと32歳。その若さで人生の酸いも甘いも知り尽くしたマフィアのボスの栄光と衰退を描いているからすごいよね。

そんな『ゴッドファーザー』には、コッポラの美学が至るところに光る。映画の冒頭でヴィトー猫を静かに撫でながら友人たちの相談に乗っている印象深いシーンは、現場にたまたまいた野良猫をコッポラが捕まえた即興で出来上がったものだった。他にもそれまでの映画ではありえないくらい照明を少なくしたり、緊張のあまりめちゃくちゃになった俳優のセリフをそのまま使ったりと、コッポラ節が炸裂している。

のちに『地獄の黙示録』などの名作を世に放ち、稀代の映画監督となるコッポラの地位を確固たるものにした『ゴッドファーザー』は一見の価値ありだ。

③父と子の継承の物語

この映画では、ファミリーを背負うボスの重圧もたっぷり描かれている。ヴィトーの跡を継ぐことになった末っ子のマイケルは、第二次世界大戦で活躍した英雄で、ファミリーの仕事と距離を置いていた。しかしヴィトーが襲撃されたことにより、父とファミリーを守らなければいけないという意志が芽生える。

はじめは恋も楽しむ初々しい青年だったマイケルだったが、ファミリーの運命を背負うことになってから、顔から徐々に笑顔は消えていき、マフィアのドンにあるべき威厳と冷徹さを獲得していく。物語が進むにつれてマイケルの顔つきがどんどん変わっていく様は圧巻だよ。

そんなマイケルを演じたアル・パチーノは、当時演劇界で期待の新星と期待されていたが、映画出演は1本のみだった。しかしコッポラ監督がマイケル役は彼しかいないと熱望し、周囲の反対を押し切って役を勝ち取ったんだ。「宝くじが当たったようなものだ」と晩年語るアル・パチーノの俳優人生にも、凄まじい影響を与えている作品だ。

 

④重厚な演技が光る俳優たち

アル・パチーノ以外の俳優たちの演技も見どころたっぷりだ。

圧倒的な存在感を放っていたマフィアのボス、ヴィトー・コルレオーネを演じたのはマーロン・ブランド。演じた当時は40代後半だったが、老いてもなお精神的な柱としてファミリーを支えるヴィトーを貫禄たっぷりに演じた。オーディションでは口にティッシュを詰めて、靴磨きのクリームの髪に塗りつけて挑んだそう。演技力を評価されてアカデミー賞では最優秀主演男優賞を受賞。

ヴィトーの長男で、次期ボス候補だったソニーを演じたのは、ジェームズ・カーン。周りからの信頼も厚くボスとしての器もあったが、短気で暴力的なソニーの危うい魅力が輝いていた。ヴィトーの養子であり、弁護士としてファミリーの相談役だったトムを演じたのはロバート・デュヴァル。冷静沈着で理論で敵を追い詰めていく知的なトムは、ファミリーの中でも異彩を放っていた。

さらにヴィトーの長女のコニー役として、コッポラの妹であるタリア・シャイアも出演しているよ。

⑤さらに続くゴッドファーザーの物語

ゴッドファーザーの物語は本作だけでは終わらない。ヴィトー・コルレオーネの幼少期と、マイケル・コルレオーネの2代目としての苦悩を描いた『ゴッドファーザー PART Ⅱ』は、一作目と拮抗する人気を誇っている。さらに完結編である『ゴッドファーザー PART Ⅱ』へと物語は続いていく。

また、映画史に残る傑作となった『ゴッドファーザー』の誕生までを描いたドラマ『ジ・オファー』を見れば、より楽しめること間違いなし。

マフィア映画の金字塔として君臨し続ける『ゴッドファーザー』は、人生で一度は観てほしい作品だ。

 

画像出典元：パラマウント・ピクチャーズ

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