パンチラインで観る映画『カリートの道』|ストリートヘッズのバイブル Vol.36

アル・パチーノが演じる元麻薬王の悲しくも愛しき生き様。

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を、作中に登場するセリフを通して紹介していくよ!

今回取り上げるのは、アル・パチーノ主演の『カリートの道』。裏社会から足を洗い、堅気にもどろうともがく元麻薬王の、切なくも悲しい物語を描いている。仁義を通す美学に痺れる一方で、夢をみることの儚さに胸を締め付けられる映画だ。

そんな『カリートの道』から、パンチの効いたセリフを紹介していくよ!

『カリートの道』ってどんな映画?

かつて麻薬王として君臨していたカリート(アル・パチーノ)は、刑務所から出所後に裏社会からはキッパリ足を洗おうと決心する。しかし元麻薬王を周りがほっとくわけがなく、過去のしがらみやトラブルに巻き込まれ、抜け出そうともがくほど裏社会は彼を離してくれない。

過去に恋人関係だったゲイルとも復縁し、ふたりで再出発をしようと誓うが、ある事件をきっかけにイタリアン・マフィアから追われる身に。カリートは過去を全て精算して、平穏な暮らしを手に入れることができるのか。

『カリートの道』の名言

①「このクソみたいなビジネスに友達はいない」

出所して自分の街に戻ったカリートは、もう裏社会とは関わらないと宣言するも、従兄弟に麻薬取引の現場についてきて欲しいと頼まれることに。曰く、麻薬王だったカリートを友達に見せつけたいらしい。カリートはしぶしぶついていくも、現場に漂う不穏な空気を察知する。

その勘は的中し、従兄弟は取引中に相手から奇襲を受け、現場は銃撃戦と化した。修羅場を何度も潜り抜けているカリートは、敵全員に銃弾を浴びせなんとか逃げることに成功するが、従兄弟は亡くなってしまう。

死んだ従兄弟を見下ろしながら、彼が心中で語った名言がこちら。

You said they were friends, Guajiro,

but there ain’t no friends

in this shit business.

こいつらがダチ公?

このクソみたいなビジネスに友達はいない

裏社会で何十年も生き残ってきたカリートが言う言葉には重みがある。食うか食われるかの世界で、一瞬でも隙を見せてしまうと、あっけなくやられてしまうのだ。

この言葉は後に壮大なブーメランとしてカリートを襲うことになる。

 

②「それが俺って男だ」

カリートは懲役30年を食らっていたが、友人であり裏社会専門の弁護士であるデイヴのおかげで5年という短さで出所していた。そんな彼に恩義があると、デイブが頼まれた服役中のマフィアのボスの脱獄を、カリートは一緒に手伝うことに。

恋人のゲイルは、カリートがデイヴのために危険な橋を渡ろうとすることに反対し、足を洗う宣言は嘘だったのかと非難する。そんな彼女に対して、カリートが反論した名言がこちら。

Dave is my friend, Gail.

I owe him.

That’s who I am.

That’s what I am, right or wrong.

I can’t change that!

デイヴは俺の親友だゲイル

借りは返す

それが俺って男だ

どう言われようと変えられない 

どこまでも仁義を果たそうとする男、カリート。

デイヴはいけすかない男で、マフィアのボスから弁護士への根回しのために預かっていた金をネコババするクズだった。

カリートも、デイヴがヤバい奴で、関わるほどに悪い事態に巻き込まれる事は予想していたはず。それでも、自分を救ってくれたと、彼を見離さずに助けることを決めたカリートは、漢気に溢れている。

そういう男だから裏社会で成り上がってこれたんだ。しかし、その漢気が彼を破滅に向かわせることになる。

③「夢は向こうから近づいてこない」

カリートとゲイルはお互いに夢を持っていた。カリートは南国でレンタルサイクル店を開き、平穏な日々を暮らすこと。ゲイルはブロードウェイのダンサーとして踊ること。しかしゲイルは現在ストリッパーとして生計を立てていて、夢は諦めたと嘆いていた。

マフィアのボスの脱獄は最悪な形で幕を閉じ、追われる身となったカリート。さらにデイヴの裏切りを知った彼は、ゲイルと南国に逃げることを決意する。夜中に出発する列車のチケットをゲイルに渡しながら言った名言がこちら。

The dream don’t come no closer by itself.

We gotta run after it now.

夢は向こうから近づいてこない

追うんだよ

いつまで待っていても、夢はやってこない。行動に移さなければ、夢はずっと夢のままだ。自分に言い聞かせるように吐いたセリフのあとで、カリートは列車に乗る前にすべての決着をつけようと動き出した。

最後まで仁義を果たそうとしたカリートが歩いた道を、ぜひ見届けて欲しい。

画像出典元:ユニバーサル・ピクチャーズ

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