パンチラインで観る映画『ハッスル&フロウ』|ストリートヘッズのバイブル Vol.37

ラップで人生大逆転を目指す男を描くヒップホップムービー。

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を、作中に登場するセリフを通して紹介していくよ!

今回取り上げるのはラッパーを目指す男を描いた『ハッスル&フロウ』。ストリート育ちの男がドン底の生活から這い上がるために、一度は諦めたラッパーになる夢を叶える物語だ。時に仲間と衝突しながら、自分の言葉と魂を刻んで曲を作り上げていく姿には胸が熱くなる。

そんな『ハッスル&フロウ』から、パンチの効いたセリフを紹介していくよ!

『ハッスル&フロウ』ってどんな映画?

かつてはラッパーになる夢を抱いていたDジェイは、ストリートの客引きとドラッグディーラーをしながら、その日暮らしの夢も希望もないドン底の生活をしていた。しかし同じ街から有名になったラッパーのスキニー・ブラックが地元でパーティーを開くと知った彼は、自分を売り込むために、旧友や娼婦たちと一緒に再び夢を追い始める。

『ハッスル&フロウ』の名言

①「人間には“話す奴”と“歩く奴”の2種類がいる」

客引きの仕事の休憩中に入った店で、Dジェイは偶然、旧友のキーと再会する。学生の頃に一緒に曲を作っていた仲間で、Dジェイをビートの天才だったと言う彼は、サウンドエンジニアの仕事に就いていた。キーの仕事の見学についていったDジェイは、教会で女性が歌う讃美歌の美しい歌声に涙し、再び音楽の道を目指す決心をする。

ある夜、Dジェイは曲づくりの相談をするためにキーの自宅を訪ねる。しかし夕食中の突然の訪問にキーは憤慨。世の中は甘くないと、Dジェイに諭すように言った名言がこちら。

There are two types of people

人間には2種類のタイプがいる

Those that talk the talk and those that walk the walk.

“話す奴”と“歩く奴”だ

People who walk the walk,they sometimes talk the talk.

“歩く奴”もたまには“話”をする

But most of the time, they don’t talk at all, because they walking.
でも基本は“歩く”ことだ
Now, people who talk the talk,when it comes time for them to walk,

じゃあ“話す奴”が“歩く”となると、

you wanna know what they do?

何をするかわかるか?

They talk people like me into walking for them.

俺のような人間を説得して、自分のために歩かせるんだ。

口先だけでまるで行動をしようとしない奴を揶揄するようなセリフだ。いい年になるまで客引きでその日暮らしをしていたDジェイが、本気で音楽をするとは思えなかったのだ。

しかしDジェイがいざラップを披露するとキーはノリノリに。彼の才能に確信を得たキーは、二人で一緒に歩き始めることを決心する。

 

 

②「俺たちはいつの間にか欲張り過ぎてたんだ」

娼婦たちと暮らす自宅の狭い一室を改造して録音スタジオを作ったDジェイ。白人ながらヒップホップ音楽に精通するビートメーカーのシェルビーも仲間になり、キーと3人で曲作りに励んでいた。

何度か収録を重ねるも、ある日キーは「何か」が足りないと制作を中断する。抽象的なリクエストしかしないキーに腹を立てたDジェイは、彼と激しいケンカをはじめてしまう。

そこにやってきたのは、Dジェイと暮らす妊婦のジャグ。スキニーもテレビで持っていたからと、ピンクに光るランプをスタジオにプレゼントしてくれた。あっけに取られながらも、ランプを見ながらDジェイが言った名言がこちら。

I mean, we got everything we need right here.

必要なものはすべてここにあるんだ

And all this stuff in this…

これ(ランプ)を見ろ

This little-bitty space, man,

ちっぽけなスペースなのに

it just looks so much bigger now.

ちゃんと輝いてる

I’m here trying to squeeze a dollar out of a dime,and I ain’t even got a cent, man.

俺たちはいつの間にか欲張り過ぎてたんだ

狭苦しいスタジオの必要最低限の機材の中で、できることは限られている。だけどジャグが持ってきてくれた小さく光るランプは、ないものねだりをするのではなく、いまある武器で戦うべきだと気づかせてくれた。

機転をきかせたシェルビーは、ジャグにコーラスをお願いすることに。それがドンピシャにハマり、出来上がった曲がこれだ。

 

絶対にヒットすると確信したDジェイたちは、さらに曲作りに精を出していく。

 

③「同じ場所の人間だからさ」

それぞれが自分のやるべき100%を注ぎ、ついに渾身のデモテープが完成した。Dジェイはスキニーにデモテープを渡すべく、彼主催のパーティーへと赴いた。

しかし実際にスキニーを目の前にすると、全く相手にされない現実を突きつけられたDジェイ。しかしここで引いては終わりとばかりにスキニーに挑発を仕掛け、言い争いをするうちに意気投合することに成功。

昔話や街の話で盛り上がる中で、Dジェイはついにスキニーにデモテープを渡す。二人で話せただけで満足だと言いながらも、続けた名言がこちら。

And the only reason I give you that right there is because…

それでもこいつを渡しておきたいのは

…you know, you and me,

俺とお前が

we come from the same place,

同じ場所の人間だからさ

同じ街で暮らし、同じく裏稼業で稼ぎ、同じ音楽で救われたもの同士だからこそ、分かり合えるものがあると、Dジェイはスキニーに自分の血を注いだ音楽を託したんだ。そこには、仲間たちの想いもすべて乗っかっていた。

果たしてDジェイたちが作った音楽は世の中に届くのか。夢を叶えれるために足掻いた男たちの姿をぜひ観てほしい。

画像出典元:パラマウント・ピクチャーズ

配信先:AmazonPrime