映画『8 Mile』のパンチライン|ストリートヘッズのバイブル Vol.11

エミネム主演の伝説的ヒップホップ映画から明日使える名言をチェキ!

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きならマストチェックの映画や本から明日使える名言を紹介していくよ。今回取り上げるのはエミネム主演『8 Mile(2002)』。ご存知ヒップホップ界のスーパー・スター、エミネムの自伝的映画であり、フリースタイル・ラップバトルというものを世界に知らしめた映画だ。今回は『8 Mile』から君のマインドをインスパイアする“パンチライン”を3つ紹介するよ!

『8 Mile』てどんな映画?

舞台は1995年のデトロイト。都市と郊外の間に走る道路である“8マイルロード”は、そのまま中産階級の白人と貧困層のアフリカ・アメリカンが住む境界線となっていた。

そんな街で暮らすラッパーの“B・ラビット”(エミネム)は無職でアル中の母と幼い妹の3人でトレイラー・ハウスに暮らしていた。
彼は昼間は自動車のプレス工場で働き、夜はヒップホップ・クラブ“シェルター”で行われるラップ・バトルでの優勝を目指しているラッパーだ。
才能がありながら、なかなかその実力を発揮出来ないB・ラビットは、果たしてラップバトルに勝ってヒップホップ・ドリームを掴むことができるのか?

『8 Mile』のパンチライン

社会の底辺でくすぶっていたB・ラビットがラップでヒーローになる様子が何度見ても激アツな「8 Mile」。ストーリー自体もおもしろいのだけど、やはりこの映画の見せ場はなんと言ってもラップ・バトル。特にクライマックスで、B・ラビットがライバルグループである“フリー・ワールド”の3人を続け様に倒していく様はまさに圧巻。今回は映画史に残る伝説のシーンである「8 Mile」のラップ・バトルからパンチラインを3つ紹介していくぜ。

①Lyckety Splyt(リケティ・スプリット)戦

物語のクライマックス。B・ラビットのラップバトルの相手は地元のラップシーンでその名を轟かすギャングスタ系ラッパー、Papa Doc(パパ・ドック)が率いるクルー、“フリー・ワールド”の面々だ。その一番手として登場したのはパパ・ドックの右腕、リケティ・スプリット。先攻を取ったリケティはB・ラビットが白人であることをディスった後に、 “You need to take your white ass back across 8 Mile to the trailer park(お前のその白いケツをぶら下げて、8マイルの向こうのトレーラーパークに帰りな)”のパンチラインをかましてくる。かなりキツいことを言われてしまったB・ラビットが、返すのが次のラインだ。

“So I’ma turn around with a great smile
And walk my white ass back across 8 Mile”
じゃあ帰るぜ、オレの顔には最高のスマイル
白いケツ振り越えるぜ、8マイル

ぐうぉぉぉ!!
これこれー!!
まさに『8 Mile』といえばこのシーンと言える最強のパンチラインの一つ。
リケティからの白人ディスに対してしっかりアンサーを返した上で、最後にこのパンチラインで絞めながら、パンツを下げて白いケツを振って見せるこのパフォーマンス。
絶対できないけど、いつかラップバトルで勝ったらお尻を出したくなるくらいのカッコイイ勝ち方だぜ。

②Lotto(ロト)戦

二番手に対戦するのは“フリー・ワールド”随一のマッチョ、ロト。今回も先攻がロト、後攻がB・ラビットだ。ムキムキの体そのままの男臭さ満点シャウト系ラップスタイルで、リケティよりもさらに過激な白人ディスをかましてくるロト。豊富なメタファーや安定したライミング、そしてウィットに富んだラインで、観客を沸かせまくる。さすがにこれはB・ラビットもやられちゃうかもと思いきや、B・ラビットはロトのディスの一つ一つに対して、圧倒的なアンサーを返していき、観客は大盛り上がりに。そして盛り上がりが最高潮に達したビート終わりにB・ラビットがアカペラでかましたのが次のラインだ。

“ My motto: Fuck Lotto!
I get the seven digits from your mother for a dollar tomorrow”
オレのモットー:ファック、ロト!
明日お前の母ちゃんの7桁、一ドルでもらってやるよ

YEAAAAAH!!
決まったぜ、B・ラビット!!
Motto、lotto、tomorrowの3単語でしっかり韻を踏みながら言っている内容は超ドープ。まず“seven digits(7桁)”とは アメリカの電話番号のこと。電話番号を女性からもらうというのは、つまりその子をナンパするということだね。ただここでは、B・ラビットは“for a dollar (一ドルで)”と電話番号をもらうと言っている。つまりここでB・ラビットが言っているのは「お前の母ちゃんなんて、一ドルで抱ける安い女なんだよ」という意味なんだ。こんなパンチライン食らったら、立ち直れないよね。

③Papa Doc(パパ・ドック)戦

さぁやってまいりました。大将戦。フリー・ワールドのボス、パパ・ドックとの戦いだ。1戦目、2戦目とB・ラビットの戦い方を見ていたパパ・ドックはB・ラビットが相手のディスを的確に返すスキルを持っている事を見抜き、逆にB・ラビットに先攻を渡し、後からB・ラビットのラップにディスを返す作戦に出る。
ただそこはB・ラビット、パパ・ドックが言ってきそうな白人ディスを全て先に自虐ネタとして出した上で、パパ・ドッグが実は裕福な家庭に生まれて私立学校に通うただのお坊ちゃまであることを暴露。あまりの恥ずかしさに完全に固まるパパ・ドックを横目にB・ラビットが言い放つのがこちらのパンチラインだ。

“This guy don’t wanna battle, he’s shook
‘Cause ain’t no such things as halfway crooks”

こいつはバトルなんてしたく無いのさ、ビビってるぜ
なぜなら半分ギャングスタなんて、ありえねぇんだよ

ぐふおおおおおお!
実はこれ、このバトルのトラックであるMOBB DEEPの「Shook Ones Pt. II」からのサンプリング。“crooks”は「犯罪者、ギャング」といった意味がある単語で、ギャングには“halfway crooks(半分ギャング)”なんていう半端者はいらねぇんだよっというワナビー・ギャングスタ達に向けた痛烈なディス・リリックなんだ。裕福な家庭に生まれ、私立学校に通っているくせに、ギャングスタぶってる痛いやつだということをバラされたパパ・ドックはもはや立っているのがやっとの状態。マイクを渡されても、全く言葉が出てこずに、ステージを降りることになるんだ。

いやはやB・ラビット、カッコ良すぎるぜ。

画像出典元:United International Pictures (UIP) 

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