映画 『アメリカン・ギャングスター』を見るべき5つの理由」|ストリートヘッズのバイブル Vol.97

デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ主演の大ヒット・ギャングスター映画

ライター:TARO

What’s up!みんな文化ディグってる?
『ストリートヘッズのバイブル』では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!
今回に取り上げるのは今回取り上げるのはデンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ主演『アメリカン・ギャングスター(2007)』!

『アメリカン・ギャングスター』ってどんな映画?

舞台は1970年代の初頭のニューヨーク。ハーレムを牛耳っているギャングのボス、”バンピー”ジョンソンの運転手をしていたフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、ボスの亡き後、独自の麻薬戦略で、ハーレムの裏社会のキングとして街に君臨することに。

そんなフランクを追うのが刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)。最後に勝つのは麻薬王フランクか、刑事リッチーか。

実際にハーレムに君臨したギャング・キング、フランク・ルーカスを取り上げた作品であり、キャストとしてT.I.、コモン、RZAなど多くのラッパーが出演している作品でもある。

『アメリカン・ギャングスター』を観るべき5つの理由

①実話を基にしたストーリー

物語の主人公であるフランク・ルーカスは1960〜70年代にかけてハーレムで絶大な影響力を持っていた実在の麻薬王。独自のルートで東南アジアからヘロインを輸入、ハーレムやマンハッタンのストリートで売り捌き、巨万の富を得たアメリカ犯罪史上に残るギャングスターだ。一運転手だったルーカスが自身の才覚と度胸で、成り上がっていく様は君のモチベーションを高めること間違いなしだ

②2大アカデミー賞スターの共演

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウという、2000年代のハリウッドを代表する名優の共演もこの映画の大きな見どころの一つ。デンゼル・ワシントンは2001年に『トレーニング デイ』でアカデミー主演男優賞を受賞、ラッセル・クロウも2000年公開の『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞しており、ともにその圧倒的演技力で映画ファンから熱い支持を受けていた俳優だ。その二人の演技が冷静なギャングのボスと熱血刑事という対極の立場でぶつかるわけだから、これはもう面白くならないわけがないって話だよね。

③伝説の麻薬王フランク・ルーカスのビジネス術

実際には極悪な麻薬王として知られるフランクなんだけど、映画でデンゼル・ワシントンが演じるフランクは理知的で、家族や仲間思いのギャングスタ。ニューヨークでメイクマニーし始めた彼はある日、地元から兄弟たちニューヨークに呼び寄せ、自分の組織で働かせようとするのだけど、その時の彼のセリフからはビジネスにおいてとても大事な精神を学ぶことができる。

“The most important thing in business is honesty, integrity, hard work, family, and never forgetting where we came from.”

「ビジネスで最も大事なことは、正直さ、誠実さ、努力、家族、そしてオレたちがどこから来たか忘れないことだ。」

ノースカロライナの貧しい家庭に生まれ、自分の腕一本で成り上がってきたフランク。
成功しても自分たちがどれだけ過酷な環境から這い上がってきたか忘れるなということを兄弟たちに伝えているわけだ。仕事をしていて、上手くいくことも、行かないこともあるけど、やっぱり忘れてはいけないのは、自分たちのルーツ。どうなりたくてそのビジネスをやっているのか。それを忘れないことがビジネスで成功する鍵だってことだね。

④有名ラッパーたちの出演

ヘッズにこの映画をおすすめしたい最も大きな理由は、多くの有名ラッパーたちが俳優として出演しているというところ。フランクの甥、スティーヴ役にT.I.、弟のターナー役でCommon(コモン)、そしてフランクを追う警察側のモーゼス刑事役でWu-Tang Clan(ウータン・クラン)のリーダー、RZA(レザ)など、レジェンド級のラッパーたちが出演しているんだ。ラッパーたちの演技ももちろん見どころなんだけど、ちなみにヒップホップファンとしては彼らの出身地域も映画を楽しむ要素の一つ。
実はフランク・ルーカスは元々アメリカ南部のノース・カロライナ州出身。そして物語の舞台となるのはニューヨークだ。
それを考えると、ラッパーたちの配役は、南部ジョージア州アトランタ出身のT.I.をフランクの甥にキャスティングしたり、ニューヨーク出身のレザを刑事側に配役したりと出身地を意識した配役になっているように感じるよね。

⑤70年代ファンク、ソウルのサントラ

映画の雰囲気を盛り上げるものといえばやはりサウンドトラック。『アメリカン・ギャングスター』では、1970年代のファンクやソウルの名曲が挿入歌として使用されている。

特にドラッグを密輸してストリートで売り捌く場面で流れる、Bobby Womack (ボビー・ウーマック) の「Across 110th Street」は映画の世界観とマッチした歌詞に惹きつけられる。

Bobby Womack「Across 110th Street (1972)」

Trying to break out of the ghetto was a day to day fight
ゲットーから抜け出そうと、毎日が戦いだった

Been down so long, getting up didn’t cross my mind
随分長い間どん底だった、立ち上がることなんて、とても考えれなかった

But I knew there was a better way of life that I was just trying to find
でも自分が探してたマシな生き方ってものがあることを知ったんだ

You don’t know what you’ll do until you’re put under pressure
プレッシャーにさらされるまで、何をするかなんてわからないだろ

‘Cross 110th Street is a hell of a tester
110番ストリートは、テスターの地獄さ

自分がゲットーから抜け出す方法を模索する中で、どうしてもイリーガルなことに手を染めないといけないという苦しみ、そしてハーレムの110番ストリートでドラッグに溺れる人々を”tester(試験者)”という言葉でよび、その状況を叙情的に表した歌詞だ。
歌詞の意味を調べながら、映画を観ると、より深く映画の世界観を感じることがができる。