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ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は先日行われたラヴィット!『耳心地いい-1グランプリ』で優勝、アメリカズ・ゴット・タレントでも注目を集めたお笑いコンビ、ゆんぼだんぷのカシューナッツさんです。ヒップホップ好きとしても知られ、ストリートでは「タイムスリップB-BOYゴウ」として大人気のカシューナッツさん。ヒップホップ・キャリアについて全4回に渡りお伺いしました。
前回までの記事はこちら→大阪で芸人キャリアをスタート、どん底生活の中で力をくれたのはILL-BOSSTINOのリリック
芸人人生をかけ東京へ進出 切り拓いた全国区への道
レペゼン:
大阪から東京へ上京された経緯について教えてください。
カシューナッツ:
大阪でずっと悶々とする時期が続いてて。
たまにネタ番組の収録行ったら、ギャラがなかったりとか、M1に出ても、全くウケない。ほんとに行き詰まってて。せめて東京に行って勝負して、通じなかったら辞めようと思って上京したんです。
レペゼン:
そうだったんですね。
カシューナッツ:
当時僕は28歳、相方が30歳ぐらいで。芸人って30歳は結構辞めるタイミングなんですけど、ちょうど東京行く前にできたのが、今もやっているお腹を使った音ネタだったんです。
代表ネタ
『まるで鏡のような水面に雨の雫が一滴落ちる音』
レペゼン:
ゆんぼだんぷさんの鉄板ネタが、そんなタイミングで。
カシューナッツ:
きっかけは大阪のサウナでの仕事でした。
レペゼン:
サウナですか?
カシューナッツ:
ロウリュを芸人がやるっていう、わけのわからない仕事があって…。
1日4回やって、4千円もらうっていうバイト以下の仕事なんですけど。
レペゼン:
確かによくわからない仕事笑
カシューナッツ:
休憩時間に、マネージャーとサウナに入ってたんですね。そしたらマネージャーから「ちょっと大きい仕事が決まった」って言われて。
嬉しくて、相方とハイタッチしようとして手を挙げたら、お互いのお腹が先に当たって、「ポチャン」ってあの音が出たんです。
レペゼン:
偶然の産物なんですね笑
カシューナッツ:
普通コンビで裸でハイタッチしないと思うんですが、その時たまたま笑
それで、これネタにできるんちゃうん?と思って、タイトルつけてやってみた感じです。
レペゼン:
反応はどうだったんですか?
カシューナッツ:
それが大阪の舞台でやったんですけど、全然ウケなくて笑
レペゼン:
笑
カシューナッツ:
でも自分らがオモロいと思っていた先輩方が大絶賛してくれたんで、「これいけんちゃうか」と。
それで、腹で音を出す30秒のネタ一個だけ持って上京したんです。「これでダメだったらやめよう」って。
運命を変えた「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」
レペゼン:
上京後は、どうだったんですか?
カシューナッツ:
上京してすぐ、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」にその音ネタで出ることができたんです。しかも結果は優勝。
レペゼン:
すごい!!
やっぱり間違ってなかったんですね!
カシューナッツ:
それでいろんな番組に呼んでいただいたり、お仕事いただけるようになって、少しずつお笑いでご飯が食べられるようになっていった感じですね。
レペゼン:
素晴らしいです。
そこから2017年に「Got Talent」に出て、一気に世界進出されていったと思うのですが、どのような流れで、ゴットタレントに出ることになったんですか?
ゴットタレントで笑撃の世界デビュー
カシューナッツ:
「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で、腹で音を出すネタをやった時に、バナナマンの設楽さんが「彼ら、これで世界いけるんじゃない?」って言ってくれて。
僕らは宴会芸ぐらいのノリだったんですけど、確かに音って世界共通だなと思って。それで世界に意識が向いたんです。
レペゼン:
なるほど。
カシューナッツ:
ただいろいろYouTubeとかも出したんですが、全然ハネなくて。どうしようかなって思ってた時に、タンバリン芸をされている芸人のGONZOさんが「ゴットタレントに動画を送りませんか?」って声をかけてくれたんです。
カシューナッツ:
それで動画を送ったら出られることになりました。
レペゼン:
実際出てみていかがでしたか?
カシューナッツ:
まずアジアでめちゃくちゃ反応が良くて。
それで次にアメリカのオファーをもらって「America’s Got Talent」に出たら、そこからかなり広がって。
世界中のいろんな国から、10カ国くらい同時にオファーをもらいました。
レペゼン:
すごいです!!
カシューナッツ:
でも本当に縁ですね。
いろんな人に助けていただいてそこまでいけたって感じで。芸人の世界で良かった。
ちゃんと頑張ってる人を見てるというか、そういう世界なんでほんとに良かったですね。
慣れない東京生活で勇気をもらったANARCHY 『LOYALTY』
レペゼン:
上京当時、よく聴いていたラップソングはありますか?
カシューナッツ:
いろいろありますけど、ANARCHYさんがいろんなラッパーの方へのリスペクトを歌った『LOYALTY』はすごく印象に残ってます。
レペゼン:
名曲ですよね。僕も大好きです。
カシューナッツ:
特に好きなのが後半のリリック
心動かすもんが本物
良い曲が流れたら踊ろう
っていう部分です。
レペゼン:
間違いないですね。
カシューナッツ:
「心を動かすもんが本物」って言葉が当時の自分にすごくしっくりきて。
レペゼン:
芸人さんもやはり人の心を動かす仕事ですもんね。
カシューナッツ:
もちろん人によってお笑いの好みはあると思うんで、みんなにウケるってのは難しいんですけど。
ただ一人でも自分たちのことを面白いって言ってくれる人がいたら、それはもう「胸張ってやっていこう」と思わせてくれたリリックですね。
一躍全国区、そして世界デビューを果たした、「ゆんぼだんぷ」、そしてカシューナッツさん。次回は今巷で大人気の2000年代からやってきたB-BOY、タイムスリップB-BOY ゴウの誕生秘話を聞いていくよ!お楽しにみ!
プロフィール
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お笑い芸人。岡山県出身。2008年にお笑いコンビ、ゆんぼだんぷを結成。相方は藤原大輔。中学時代は相撲部で活動し、全国大会への出場経験を持つ。大阪で芸人としてのキャリアをスタートし、後に東京へ上京。ふくよかな身体を使って様々な音を奏でる「音芸」で、フジテレビ「とんねるずのみなさまのおかげでした~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~」の第21回大会にて優勝。世界的なオーディション番組「Got Talent」に出演するなど、海外での活動も多く、マレーシア、アメリカ、ルーマニア等でのパフォーマンス経験を持つ。TBSの「ラヴィット!」で行われた「耳心地いい-1グランプリ」でも優勝するなど今最も注目の芸人の一人。また2000年代テイストの古着の紹介などを行う「タイムスリップB-BOYゴウ」としても活躍中。2000年代に青春を過ごした30〜40代の大人ヘッズを中心に熱い支持を受けている。