ヒップホップ好き酒蔵 / 元坂 新平が思う日本酒に合うラップ曲|あの人も実はヒップホップ Vol.16

DJとして活動する酒蔵が選ぶ「日本酒に合うラップソング」はあのレジェンドラッパーの一曲!

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のお気に入りの曲を毎月紹介していく「あの人の勝負曲」。今月は、元坂酒造株式会社|酒屋 八兵衛 の専務取締役・元坂新平(げんさか・しんぺい)さんをゲストにお迎えし、酒蔵としてのお話や、日本酒に合うヒップホップ曲などについて聞いていきます。第4回目の今回は元坂さんが思う酒造りのこだわり、そして「日本酒に合うラップソング」について話して頂きました。

「なんかわからんけど一晩中飲めるようなお酒を作りたい」

レペゼン:
酒造りの技術論的にヒップホップの音作りと共通するものはありますか?

元坂新平:
ビートメイクに例えるなら「水」はドラムブレイクみたいなものだと思うんです。酒造りにおける軸ですね。
あと酒蔵て引っ越せないんで、自分がいる地域の水は変えれないんですよ。なので水が自分のフッドのスタイルって感じですよね。あとはそこにどんな上音を使って個性を出すか。それが米の使い方とかだと思います。

レペゼン:
元坂酒造ではどんなお米を使っているんですか?

元坂新平:
「伊勢錦」っていう昔から地元に生えてる品種を使ってます。

レペゼン:
どんなお米なんですか?

元坂新平:
酒造りの素材としては、あまり華やかな味わいにはなりづらい品種ですね。
でも僕らの理想のお酒は1杯だけ飲んで「うわっ美味しい、やばい」てなるやつじゃなくて、なんかわからんけど一晩中飲めるようなお酒なんで。

レペゼン:
良いですねー。

元坂新平:
だから素材に華やかさはそこまで求めてないんですよ。シンプルだけど、ずっと付き合えるみたいな。伊勢錦はそんなお米ですね。

元坂酒造での酒造りの様子



Photo by  カワナアキ

レペゼン:
米の他には何か素材を加えたりするんですか?

元坂新平:
あんまり足したりはしないかな。結局は素材よりも人やと思うんですよね。

レペゼン:
人が変われば味が変わるってことですか?

元坂新平:
ですね。そこに絶対人っぽさが出る。そこが日本酒の面白さですね。
あと特に日本酒の個性が出るのが「生酒(なまざけ)」ですね。

レペゼン:
生酒っていうのはどういうお酒なんですか?

元坂新平:
一般的に日本酒ってお酒が液体として出来てきたら、そこから時間経過や気温に影響されて味が変化するのを防ぐために加熱処理をするんです。そうすることで、その酒の中にある変化していく要素をセーブできるんです。

レペゼン:
なるほど。

元坂新平:
音楽で言うなら、マスタリングですね。

レペゼン:
理解しました。

元坂新平:
で、マスタリングしたお酒が市場に出回ることが当たり前なんですけど、たまにマスタリングをせずに出すことがあるんです。それが生酒。いわゆるライブ音源ですよね。

レペゼン:
そういうCDありますよね。

元坂新平:
そうそう。で、このマスタリングされたものとライブ音源はやはり味が違うんです。
ライブ音源(生酒)の方は結構明るい味になってしまうことがあって。
一杯目はおいしいってなるけど、二杯目はちょっとトゥーマッチになったりするパターンもあります。

レペゼン:
確かに個人的にライブ音源をずっと聴くのってしんどい時あります。

元坂新平:

まぁお酒も、マスタリングされたものが完璧なバランスになってるんでね。
基本的にはその方が飲みやすいんですよ。ただやっぱりライブ感のある生酒が好きっていうお客さんもいますね。

日本酒に合うヒップホップ

レペゼン:
日本酒に合うヒップホップを教えてください。

元坂新平:
UZIさんの「ひとり酒」ですね。

レペゼン:
渋いですねー。
なぜこの曲を選ばれたんですか?

元坂新平:
これは僕が高1ぐらいの時の曲なんすけど、MVでUZIさんが着物着て畳の部屋でラップてしるのが、めちゃくちゃ日本酒の世界観に合ってて、カッコイイって思ったんすよ。

レペゼン:
確かに。曲はもちろんですが、MVも超かっこいいですね。

元坂新平:
ヒップホップとお酒っていうと、クラブで派手にパーティーってイメージになりがちじゃないですか。
もちろんそれはそれで良いんですけど、日本酒ってそういうシーンにはちょっと合わないんです。

レペゼン:
悔しいけど、テキーラとかビールの方がクラブの雰囲気には合うかも…

元坂新平:
そうなんです。
となると日本酒って畳の部屋で一升瓶転がしてオヤジくさく飲むのが一番格好いい飲み方なのかなって。

レペゼン:
良いですね。
この曲で好きなリリックとかありますか?

元坂新平:
やっぱりフックが良いすね。

俺は今日もひとり酒
広い世界 運命 一人だけ
誘う女子の色仕掛け

男らしいし、日本らしい。
このおじさん臭さこそが日本酒にしっくりくるのかなと思います。

レペゼン:
日本のラッパーの方でも日本酒好きな方いると思いますし、日本語ラップシーンとのコラボとかできたら良いですね。

元坂新平:
めっちゃ良いですね。ユースカルチャーにはすごく行きたいと思ってるんで。
普段テキーラ飲んで暴れてるやつも、今日は日本酒飲んでゆっくりしようよみたいにしていきたいですね。

酒蔵と話しながら気楽に日本酒を楽しんでほしい

【DJとして回す元坂さん】

レペゼン:
東京では元坂酒造のお酒は買えますか?

元坂新平:
今は渋谷ヒカリエの8階にある、d47食堂で12月8日(木)まで期間限定​で販売されてます。

レペゼン:
ぜひ足を運んでみたいです。

元坂新平:
あとは10月29日(土)、30日(日)に豊洲で日本酒のイベントがありまして、そこでは29日にDJ WATARAIさんが回してくれます。30日は僕も回します!

レペゼン:
おぉー!DJ元坂さんですね。昼間のイベントだし、行きやすそうですね。

元坂新平:
日本酒ってどちらかというと明るいとこで飲んだ方が気持ちよくなるお酒やなって思っているので、すごく雰囲気は合うと思います。お近くの方はぜひ足を運んで頂いて、酒蔵と話しながら、気楽に日本酒を楽しんでほしいと思います。

レペゼン:
楽しそう!
そういった情報はSNSでシェアしているんですか?

元坂新平:
そうですね。僕のインスタか、元坂酒造のインスタをフォローして頂くとイベントやお酒のリリース情報も出しているので、ぜひチェックお願いします。

レペゼン:
お話を伺っていて、マジで日本酒に興味が沸いてきました!
この度は本当にありがとうございました!

元坂新平:
ありがとうございました!

ヒップホップ好き酒蔵/元坂新平が思う日本酒に合うラップ曲はUZI「ひとり酒」!みんなも「ひとり酒」聴きながら、お気に入りの日本酒飲んでチルってみては?次回のゲストもお楽しみに!

プロフィール

  • 元坂新平(げんさか・しんぺい)

    元坂新平(げんさか・しんぺい)

    三重県の酒蔵「元坂酒造」7代目。専務取締役。 高校卒業後に上京し、都内のクラブでDJとして活動した後、地元に戻り父である「元坂酒造」6代目・元坂 新 (げんさか・あらた)から酒造りを学ぶ。現在は三重県の土着品種「伊勢錦」と地元の宮川の水で作られた「“HOOD(地元)"を醸す酒」を作ることに力を入れており、昨年には「全ての産業は農に帰する」というテーマの元に作られた「新ブランド「KINO/帰農」をリリースした。

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