書道家/墨象家 古川司裕(ふるかわ・しゆう)がチルする時に聴くヒップホップ曲|あの人も実はヒップホップ Vol.10

元ハウスのDJ!?音楽を愛する書道家の“回復音楽”とは?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のお気に入りの曲を毎月紹介していく「あの人の勝負曲」。今月は書道家/墨象家、古川司裕(ふるかわ・しゆう)さんをゲストにお迎えし、書道家としての活動のお話や、書道中に聴くヒップホップ曲、チルする時に聴く曲などについて聞いていきます。第2回目の今回は古川さんが書道家になるまでの過程と「チルする時のヒップホップ曲」について話して頂きました。

「書道は自由。文字を書かなくても良い。」

レペゼン:
何歳ぐらいから、書道をやっているんですか?

古川司裕:
小学2〜3年生ぐらいからかな。
実はうち、かなりの教育ママで、習い事を10個ぐらいやったんですけど、その中の一つが書道だったんです。

レペゼン:
10個もやってたら相当忙しいですね。

古川司裕:
学校の後に習い事に2〜3個行ってましたね。
空手、野球、水泳、あと楽器もやりました。
ただ楽器系のことはあまり好きじゃなくて。
嫌すぎて楽器を壊しちゃうんですよね。
自分が嫌なものは絶対受け付けないタチだったんです。

レペゼン:
その中で書道は続いたと?

古川司裕:
そうなんです。
元々書道は自分からやりたいって言いましたしね。

レペゼン:
そうなんですね!
途中で飽きたりとかはなかったんですか?

古川司裕:
んー、飽きるまではなかったです。ただそこまで本気でもなかったかもしれません。
それまではお手本を見て綺麗に写す、いわゆる「臨書」をずっとやってて、
それって時間をかければ誰でも上手くなれるから、感性いらないよねとは思ってましたね。

レペゼン:
なるほど。

古川司裕:
それが大きく変わったのが、井上有一*1や比田井南谷*2や現代書の展示を見に行った時なんですよ。自分の書の中の概念がガラっと変わって、書道って面白いなと。文字に固執しなくてもいいし、もっと自由に表現して良いんだって気づいたんです。

*1 教育家・書家。アートとしての「書」を開拓した現代書家として知られる。
*2 書家。現代書における前衛表現の先駆者とされる。

【古川さんの作品】
肌理-texture-という質感をテーマにした作品。
自作の墨で仕上げている。この「肌理-texture-」のシリーズは12インチのレコードジャケットとフライヤーにもなっている

レペゼン:
出会いがあったわけですね。

古川司裕:
そうですね。固形墨やオリジナルのインクを作るようになったのもそのくらいからですね。固形墨って鉱物性とか植物性とかの属性があって、紙との相性で質感が変わるんです。小さい時から何か作るのが好きだったのもあって、そこから余計に書道の魅力にハマっていったのはあります。

【使っている固形墨】

レペゼン:
面白いですね。ちなみに学生時代は、何か部活に入ってたんですか?

古川司裕:
野球部に入ってました。だけど途中で腰を痛めてからは辞めてしまいましたね。
そこからは学外や通っていた書道会に出展したりしてました。

レペゼン:
どのタイミングで、書で食っていこうとなったんですか?

古川司裕:
きっかけは20歳くらいの時ですね。
たまたま知り合い経由で書の制作を依頼されたんです。
会社の社訓や応接間に飾る墨画を描いてくれないかと。

レペゼン:
へー!そういった依頼があるんですね。

古川司裕:
そうなんです。
その方の繋がりで美術商の方やギャラリーの方から所属の声をかけて頂いたりして。徐々に案件も増えて、並行してスクールも始めて行ったという感じですね。

元ハウスのDJ!?古川さんのお気に入りのチル曲

レペゼン:
では今回もお気に入りのヒップホップ曲について聞いていきます。
家でチルする時の曲はありますか?

古川司裕:
Yaeji結構聴きますね。
アルバムを延々流しています。

レペゼン:
良いですよねー。僕もYaeji好きです。

古川司裕:
あと奥さんがNujabesが好きなので、Nujabesかなー。

レペゼン:
間違いないですね。奥さんとは音楽の話はしますか?

古川司裕:
しますね。ただうちの妻は歌詞とか見ずに、ほんと音だけで聴くんですよ。
完全に音派ですね。
彼女から「心地良いの流して」って言われて僕が曲をチョイスしたりしてます。

レペゼン:
DJ古川さんですね。

古川司裕:

実は僕、一時期知り合いに教えてもらってハウスのDJやってたんですよ。

レペゼン:
えー!すごい!
実際にクラブで回してたんですか?

古川司裕:
いや、昔渋谷のバーで時々やってたくらいですね笑
今はもう家で奥さんの曲をセレクトするくらいです。

レペゼン:
良いですね。
NujabesやYaeji以外には何をかけてますか?

古川司裕:
最近だと韓国のアーティストのTOKiMONSTAをよくかけてますね。

古川司裕:
TOKiMONSTAは邪魔にならない感じが、チルしたい時にすごくハマります。
「Gamble」って曲が入ってる「Midnight Menu」というアルバムがすごく好きですね。

レペゼン:
確かに。
チルしたい時ってあんまりガチャガチャしてない方が良いですもんね。

古川司裕:
そうですね。YaejiもNujabesもそうかなと。
どのテンションの時でも聴けるっていうのがありますよね。
僕は“回復音楽”って呼んでます。

レペゼン:
間違いないですね。
音楽をかけてどんな感じでチルしますか?

古川司裕:
奥さんとお酒飲んだり、映画見たりとかですね。
普段はアトリエにこもることが多いんで、その他の時間は家で回復系の音楽流してる時がすごく好きです。

レペゼン:
良いですね。では古川さんがチルする時に聴きたい一曲はどれにしましょう?

古川司裕:
最近よくかけているのがTOKiMONSTAなのでTOKiMONSTAの「Gamble」かなと思います。
「Gamble」が入ってるアルバムの「Midnight Menu」もすごく良いので、ぜひ聴いてみてください。

古川さんがチルしたい時に聴くのはTOKiMONSTAの「Gamble」!次回9月20日アップの第3回では移動時に聴くヒップホップを聞いていきます!お楽しみに!

プロフィール

  • 古川司裕(ふるかわ・しゆう)

    古川司裕(ふるかわ・しゆう)

    8歳から書道を始め、21歳で毛筆・硬筆師範を取得。 比田井南谷に影響を受け、書や絵画の枠にとらわれない美的表現を追及。 【書は線による表現】という信念の書風で、言語を通さないモノの捉え方を研究している。 墨の濃淡で人型をとる-JINTAKU-や、体の動きを利用して書く-動書-を発表し、書の可能性を追求。 また商品ロゴや題字制作、各企業とのコラボなど、活動は多岐に渡る。 2019年以降国内外出展にも精力的に参加。

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