番外編 2000年代名盤特集『Quasimoto – The Unseen』|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.156

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

番外編

2000年代名盤特集『Quasimoto - The Unseen』
紹介アーティスト
Quasimoto
番外編 2000年代名盤特集『Quasimoto – The Unseen』|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.156
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WHAT’S UP,  GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.156の今回は2000年代名盤(2000年上半期)特集。今回取り上げるのは、Quasimoto(カジモト)の「The Unseen」。

2000年6月にStones Throw Records(ストーンズ・スロー・レコーズ)からリリースされた「The Unseen」は当時のメインストリームの流れに一線を画すサウンドで、シーンに絶大なインパクトを与えた作品。当時ビートメイカーとして頭角を表してきていたMadlib(マッドリブ)が彼の別人格である Lord Quas(ロード・カズ)と共作したという設定の作品であり、2人のデュオ名である“Quasimoto”名義でリリースされた本作は、浮遊感と無限の奥行きを感じさせるマッドリブのサウンドと、“ロード・カズ ”の早廻しのラップに無条件に頭を振ってしまうオルタナティヴ・ヒップホップの金字塔だ。

そんな「The Unseen」からまずチェックするのは「Basic Instinct」!

「Basic Instinct」

I got the forty on my lap, my tape playing Boom Bap The nigga next to me talking about “Niggas acting up man I shoulda’ brought my strap” I said yo chill with that, we ain’t having no black-on-black
「膝には40、オレのテープから流れてるのはブーン・バップ。  隣のやつが話しかけてくる、“ あいつら暴れてるぜ、銃持ってきときゃよかったよ ” て。  言ってやったのさ、“ 落ち着けよ、ブラック・オン・ブラックはもうやめようぜ ”って。」

パーティーでくつろぐロード・カズ(マッドリブ)は膝に“ the forty(40オッズのビール)を置いて、ブーン・バップを聴いている。そんな彼に隣に座っている男が、“ 銃を持ってきときゃよかった”と物騒なことを言ってくる。でもカズは彼に対して、“ブラック・オン・ブラック(黒人同士の犯罪)”はもうやめようと諭しているて感じだね。

続いては、「Low Class Conspiracy」をチェキ!

「Low Class Conspiracy」

Ayo we headed to a party to go see what’s happenin’ Smoking the Lah, in the car turn on some rappin’ Start to freestyle, we be up on our way Finish up the blunt (Ay, somebody pass me that spray) Get on the freeway, yo its after dark And guess who always pulls up right behind us (Not again, some narcs…) Letting all kinds of speeding cars pass Just so he could harass our black ass The Police pulling us over for no reason (Get out the car) Searching the car, like it’s nigga hunting season
「パーティーに向かっていたのさ、どんな様子か見に行こうてな。  LAHをスモークする、車の中でラップをターンオン。  フリースタイルを始める、オレらのやり方。  ブラントをフィニッシュ。(誰かがオレにスプレーをパスする)  高速道路に乗る、すでに日は暮れてるぜ。  オレ達の後ろに常についてくるやつが誰かって?  (勘弁してくれよ、ナークスだぜ…)  全ての種類のスピード違反の車を見逃して、  俺たち黒人のケツを狙ってるのかもな。  サツが理由もなく、オレ達を路肩に止めさせる。  (車を出ろ。)  車の中を探し回る、まるで黒人の狩りの季節だよ。」

車に乗って、パーティーに出かけるカジモトと友人たち。 “the Lah(マリファナ)”を吸って、“ freestyle(フリースタイル) ” ラップを楽しんでいるて感じだね。しかし、そんな彼らに邪魔者が。“narcs(ナークス)”とは、narcotics agent(麻薬捜査官)のスラングで、日本語で言うと「マトリ」にあたる言葉だ。ナークスは他のスピード違反の車を見逃してるに、なぜかカジモト達の車の後をつけてくる。そして理由もなく路肩に車を止めさせた警察は、本来は令状が必要なはずの車の中の捜索を勝手に行う。それはまるであからさまに黒人をターゲットにした狩りのようであり、アフリカ系アメリカ人は常に警察からの標的にされるというアメリカのリアルな現実を伝えているんだ。

2000年代名盤(2000年上半期)特集、Quasimoto「The Unseen」のラストを飾るのは、マッドリブのオールド・スクール・ヒップホップ、そしてブーン・バップへのリスペクトが込められた「Boom Music」!

「Boom Music」

Oh I get high and start taking out wack niggas Then fly up into the sky and use my lyrics as a trigger Always Pull It , let the bullet slide through to the left Went so far undergroud with out diggin ended up in west China Yo Style sounds like youve been eating some bad vagina The Unseen you Unclean Niggas mad cause you can’t find us We step, we rep, we comin’ out of the gates We can do it for papes; cause madlib got the beat tapes Lord Quas in the end; always win the sweepstakes
「ハイになる、ワックなやつらを取り除く仕事にとりかかる。  空に飛び立って、引き金として使うのは、オレのリリック。  いつだって引く、弾丸は左側をスライド。  アンダーグラウンドに潜り込む。ディギンして辿り着いたウェスト・チャイナ。  お前のスタイル、まるでバッドなヴァジャイナでも食ってきたのかて感じ。  “The Unseen”、お前らアンクリーンなやつらは怒るよな。  なぜってお前らにはオレ達は見つけられないから。  オレ達はステップして、レップして、ゲートから現れる。  ペープのためにやってる、マッドリブが持ってるのはビートテープ。  結局のところロード・カズ。いつだって勝ち取るスイープステイクス。」

カジモトのハイスキルなリリック。 まずハイになった彼は空に飛び立って、ワックなラッパーを取り除く仕事に取り掛かる。アンダーグラウンドに潜り込んだ彼は早速ディグを開始。ディグりまくって辿りついたのはなんと海を超えて“ China(チャイナ)”だ。カジモトがディグってる間に、ダサいラッパーが食ってたのは、 “bad vagina(バッドなヴァジャイナ)”。そしてそんなダサいラッパーたちにはカジモトの姿すら見えない。なぜなら表面だけのフェイクなラッパーたちには、深くディグるカジモトの姿は見えない。つまり “ The Unseen(目に見えない)” てこと。そしてカジモトは自分の“ beat tapes(ビートテープ)” を使って“papes(ペープ:お金のこと)”をゲット。 結局のところ、いつだって間違いないのはロード・カズ。最後には “sweepstakes(スイープステイクス:賭け金総取りの競馬)を勝ち取るぜて感じだね。

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