Juice WRLD『The Party Never Ends』特集・後編|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.324

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.324の今回は先日リリースされたJuice WRLD(ジュース・ワールド)のアルバム『The Party Never Ends』特集・後編。

まず取り上げるのは「KTM Drip」。

「KTM Drip」

Pills knockin’ at my door, I’m finna let ‘em in
ピルがノックするオレのドア、迎え入れるよ

Ballin’ hard, feel like D. Rose, I need a letterman
ハードにボーリン、まるでD・ローズ。レターマンが必要だぜ

バスケに関連するワードでまとめたリリック。”Ballin’ hard, feel like D. Rose”の箇所で出てくる「ballin’」は「バスケットボールをプレイする」という意味と「羽振りよく振る舞う」という2つの意味を持つスラング。

さらにD. Roseは、NBA、シカゴ・ブルズやニューヨーク・ニックスで活躍したバスケット選手、Derrick Rose(デリック・ローズ)のニックネーム。NBAの中でもトップクラスの高い身体能力、瞬時に相手を抜き去る圧倒的なスピード、そしてここぞという時に決める勝負強さで、NBAシーズンMVPの史上最年少で受賞した名プレーヤーだ。

そして “letterman(レターマン)”は高校や大学でスポーツで優秀な成績をおさめ、表彰される人たちのこと。

つまりジュースは自分を名バスケットプレーヤーに例え、ラップ業界において自分がトップクラスだぜってことを歌っているわけだね。

続いてはジュースの生前、彼を兄のように慕っていたとされるThe Kid LAROI(ザ・キッド・ラロイ)からジュースへ送る一曲「Goodbye」。

The Kid LAROI「Goodbye」

So goodbye
さよなら

It’s time to get high again
またハイになる時が来たね

At the time, time with you was time well spent
あの時、君と過ごした時間。本当に良い時間だった

On my mind, and I can’t get you out, I swear
オレの心の中。君を忘れることなんてできない、誓ってね。

When you died, I think ‘bout the time we shared
君が亡くなった時、オレたちが共有した時間のことを考えてた

And I can’t help but cry
泣く以外に何もできないよ

I swear I’ve asked God why
神様に何度も尋ねた。「なぜ?」って。

So many goddamn times
何度も、何度も

Nothing can help, not time
でも何も助けてはくれない、時間ですら

None of the cars I buy
オレが買った車だってもう何の意味もないんだ

I’m tryna fix what’s inside
なんとか内側を修復しようとしてるんだけど

But my regrets haunt me every night
あの時の後悔が毎晩オレを苦しめるんだ

ジュースがドラッグのオーバードーズで倒れた時に共に行動していたラロイ。

ジュースはシカゴのミッドウェー国際空港にて、薬物を過剰摂取による発作で亡くなったと報じられているが、その時のことをラロイはジュースのドキュメンタリー「Juice Wrld: Into the Abyss」で次のように語っている。

「飛行機から降りようとしてる時、警察がいるのが見えた。全員パスポートを出せって言われた」。

当時、ジュースたちは本来禁止されている拳銃やドラッグを機内に持ち込んでいたとされ、ジュースは罪を軽くするためか、所持していたドラッグ一度に摂取して隠そうとしたと言われてる。直後に発作を起こした彼は病院に救急搬送されるも死亡が確認された。

その時のことをラロイは振り返り、

「オレは固まって、何をしたらいいかわからなかった。彼を助けるために何ができるのかって。パニックになった。彼に発作が起きて、血が鼻や口から出てきて。皆パニックになった。」

と話している。

ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」、『The Party Never Ends』特集・後編のラストは「Jeffrey」。

「Jeffrey」

I don’t sip the lean
オレはリーンはやらない

Used to love codeine ‘cause I love to dream
昔はコデインが好きだった、なぜって夢を見るのが好きだったから

Now I mix Henny with the Rémy ‘cause I love to drink
今ヘネシーとレミーを混ぜてる。酒を飲むのが好きだからね

And I don’t love to think
考えるのは好きじゃないんだ

Feel like I’m finna puke
なんだか吐きそうだよ

Can’t do it on the mink, mink
でもミンクの上には吐けないよな

Money on the way, what is the hold up, hold up?
金が入ってくるのを待ってる、何で遅れてるんだ?

I can’t drive, still hit a donut
運転できないけど、かましてくドーナッツ・ターン

Nineteen, multi-millionaire
19歳のマルチミリオネア

Ain’t no lookin’ back, all that broke shit dead
もう振り返らないよ、貧乏暮らしは終わりさ

高校生の時にサウンドクラウドに自作の歌をアップすることから音楽活動を始めたジュース・ワールド。

アーティストとしての活動期間はわずか4年ほどながら、その影響力は計り知れない。

ジュースの楽曲には人間なら誰しもが持つ心の痛みや、もろさを歌ったものが多くあり、それは人種や国籍、置かれた状況に関わらず、多くの人が共感できる普遍的なテーマでもあった。

彼自身がそれを意識していたかわからない。でも彼の音楽はきっと、あの時も、そして今も多くの人にとって救いであり続けている。

音楽という力の可能性を示してくれた、一人の若者に敬意を表して。

Rest in peace, Juice WRLD。

 

【歌詞出典元】Genius

*訳は全て意訳です。

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