WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.214。今回取り上げる単語は「icy(アイシー)」。
元々は「氷の、凍るほど冷たい、氷のような」という意味なのだけど、スラングでは「(高価なジュエリーなどを身につけてる状態」という意味で使われている単語だ。ジェエリーが肌に触れると、ひんやりすることが発展したスラングだね。早速USラップでの「icy」の使われ方をチェックしてみよう!
まずチェックするのは先日、元彼であるMiogs(ミーゴス)のQuavo(クエボ)のリリックの中で浮気していた疑惑をかけられたSaweetie(スウィーティー)「Icy Girl」!
Saweetie 「ICY GRL(2018)」
It’s very unlikely my wrist ain’t looking icy
Charging by the minute ‘cause my time is very pricey私の手首がアイシーじゃない時は考えれないわ
分単位でチャージする、なぜって私の時間はとても高いから
大のジュエリー好きで知られるスウィーティー。
ネックレスにグリルズ、そしてダイヤモンドで装飾された時計などを身につけて、いつもブリンブリンな状態な彼女はまさに“アイシー・ガール”。
それだけ高価なアクセサリーを買えるのも、彼女がしっかりラッパーとして稼いでいるから。分単位でもギャラを稼ぎまくるってわけだ。
続いて紹介するのはLil Uzi Vert (リル・ウジ・ヴァート)の「Myron」!
Lil Uzi Vert「Myron(2020)」
Pull up extra icy, I’m not playin’ hockey
さらにアイシーをつけてくぜ、ホッケーはプレーしてねぇけどな
昨年、額に25億円のダイヤモンドを埋め込んだことが話題になったリル・ウジ。
「さらにアイシーをつけてくぜ」の部分は高価なジュエリーをどんどん買うのかなって思うけど、ホッケーってどういうこと?って感じだよね。
実はホッケーとは「アイス・ホッケー」のこと。実はアイス・ホッケーはアメリカでは人気スポーツであり、ラップのリリックでも引用されることが多く、特に氷上で行うことから、ジュエリーを意味する“ice(アイス)”と語彙的に重ねて使われるんだ。
つまりリル・ウジは“アイス”をたくさん使ってるけど、別にアイス・ホッケーしてるわけじゃないってわけだね。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.214のラストを飾るのは、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)とBeyoncé(ビヨンセ)の「Feeling Myself」!
Nicki Minaj 「Feeling Myself ft. Beyoncé(2015)」
Keep gettin’ gifts from Santa Claus at the North Pole
Today I’m icy, but I’m prayin’ for some more snow北極のサンタクロースからもらい続けるギフト
今日は私はアイシーだけど、もっと雪が欲しいって祈ってるの
「冬」というテーマで、様々な言葉を散りばめたニッキーのテクニカルなリリック。
まず“Santa Claus at the North Pole(北極のサンタクロース)”という言葉で冬を連想させたニッキーが、続けて繰り出すのが“I’m icy(私はアイシー)”という言葉。
「冬だから寒い」という意味と「ジュエリーをたくさん身につけている」というダブルミーニングってわけだね。そして“ I’m prayin’ for some more snow(もっと雪が欲しいって祈ってるの)”の“snow”は実は「コカイン」を意味するスラング。
“雪”がたくさんあるところと言えば、そう、「北極」だよね。つまりこのリリックの前半部分「北極のサンタクロースからもらい続けるギフト」が意味するのは、ドラッグの売人がたくさんコカインを運んでくれるという事を意味してるわけだ。マジでテクニカルなリリックだよね。
ちなみにニッキー本人はコカインなどは一切やらない主義なので、あくまでラップの中での表現としてドラッグのスラングを上手く使ってるって感じだね。