WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.175の今回は2000年代名盤特集。取り上げるのは2000年代初頭のヒップホップシーンを席巻したフィメール・ラッパー、“ラフ・ライダーズのファースト・レイディ”ことEve(イヴ)のセカンドアルバム「Scorpion」。
イヴの星座である“scorpion(サソリ)”をタイトルに冠して2001年3月にリリースされた本作はビルボードのR&B/Hip Hopチャートで1位を獲得。総売り上げ枚数は100万枚を超え、アメリカレコード協会からプラチナム・レコード認定されるなど大ヒットを記録した作品だ。
そんな「Scorpion」からまず取り上げるのは、シングルカットもされた大ヒット・クラブ・バンガー、「Who’s That Girl? 」!
「Who’s That Girl? 」
Sixteen mean from my pen, so you can test her 私のペンからの16小節、あの子を試してみたら? Still need to know who I am, then cop the record 私が誰なのかしっかり理解したら、レコードをゲット。 Take it like a class on me and learn the lesson それを授業みたく受けとって、レッスンを学びな。 Bottom line, my world, my way, any questions? ボトム・ライン、私の世界、私のやり方。何か質問ある?
中毒性の高いビートとイヴのクールなラップが最高にかっこいい1曲。 MVの中で出てくる肩を前後に動かすダンス “ Harlem Shake(ハーレム・シェイク)” は、この曲でイヴが取り入れたことで、世界的に広まったんだ。リリックの中の“Sixteen mean” とは“ 16 bars ” の言い換えであり、「16小節」のこと。イヴのペンが書き出す16小節で、彼女のことを理解したなら、レコードを“Cop(手に入れる、受けとる)”。 彼女のレコードで学ぶ “ lesson(レッスン)” の “ bottom line(ボトム・ライン:最も肝心な点)” は、彼女の世界、やり方が一番イケてるてこと。間違いないです。
続いては紹介するのは、Dr. Dre(ドクター・ドレ)がプロデュースし、Gwen Stefani(グウェン・ステファニー)をフューチャリングに迎えた名曲「Let Me Blow Ya Mind」!
「Let Me Blow Ya Mind (ft. Gwen Stefani) 」
Some of y’all ain’t writing well, too concerned with fashion イケてるリリック書けない連中。ファッションのことばかり考えてる。 None of you ain’t Giselle, cat walk and imagine お前ら全員ジゼルじゃねぇんだよ。キャット・ウォークと妄想。 A lot of y’all Hollywood, drama, casted 大勢のハリウッド野郎ども。ドラマにキャンスティング。 Cut bitch, camera off, real shit, blast it 止めなよ、ビッチ。カメラをオフって、リアル・シット。ぶっ放すわ。
イヴがディスるのはファッションのことばかり考えて、まとなリリックすら書けない他のフィメール・ラッパーたち。“Giselle(ジゼル)” とは、アメリカで最も有名なスーパー・モデル、Gisele Bundchen(ジゼル・ブンチェン)のこと。イヴがディスるフィメール・ラッパーの中にはジゼルには遠く及ばないくせに、モデルぶってキャット・ウォークしてる人がいるみたい。またそういったラッパーはハリウッドの映画やドラマにキャスティングされたりしてるけど、イヴはラップでリアル・シットをかますぜて感じだね。 イケイケのリリックなんだけど、ファンの間ではこのリリックは当時不仲を噂されていたLil Kim(リル・キム)へのディスじゃないのかという説があったんだ。リル・キムは当時ファッションショーのモデルとしてランウェイを歩いたり、ドラマに出演したりとラッパー以外の活動の幅を広げていたところ。そんなキムへディスじゃないかと言われていたんだ。ただ実際はイヴはキムの大ファンだったようで、その後TVのトーク番組に出演した際に、キムに最初に会った時はイヴが興奮しすぎて、色々と話しかけすぎてしまい、キムを引かせてしまったこと、その後は次第に打ち解けていき、今では仲の良い友達であることなどを明かしているよ。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.175のラストを飾るのは、Swizz Beatz(スウィズ・ビーツ)がプロデュースしたアゲアゲな1曲「Got What You Need」!
「Got What You Need」
Ladies, this one’s for you, get ya party flowin’ レイディーたち、これはあなたのためのもの、パーティーをフローさせるわ。 Right now, baby, no time to relax 今は、リラックスする時間はないわよ。 Niggas tryna holla, get the tab, yeah, he eat that 声をかけてくる男たち、タブを取る。あれを食べてるもんね。 And if he actin’ cheap, then fuck ‘em, you ain’t need that もし安っぽい行動をしたら、ファック。あなたにはそんなの必要ないわ。
思わず身体が動いてしまう2000年代ヴァイブス全開の最強ダンス・チューン。 パーティーをぶち上げる間違いないフローを操るイヴがメッセージを送るのは、レイディーたち。“tab(タブ)” はレストランなどの伝票のことであり、“get the tab”で「支払いをする」という意味になるんだ。つまり“ if he actin’ cheap, then fuck ‘em, you ain’t need that(もし安っぽい行動をしたら、ファック。あなたにはそんなの必要ないわ。)” の部分が意味するのは、食事を共にして、ケチな行動をするような男と付き合うのはやめときなてこと。イヴから女の子への間違いない恋愛のアドバイス。メンズの我々も女の子にご馳走できるように、しっかりメイクマネーしていくぜ。