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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.249。今回取り上げる英語は「diss(ディス)」。「ディスる、悪口を言う」という意味で日本でもポピュラーなスラングだね。
今回もUSラッパーたちのリリックから「diss」の使い方をチェックしていこう!
まず取り上げるのはThe Notorious B.I.G.(ザ・ノトーリアス・B.I.G.)の「Juicy」!
The Notorious B.I.G.「Juicy(1994)」
The Moët and Alizé keep me pissy, girls used to diss me
Now they write letters ‘cause they miss meモエとアリーゼで酔っ払う、女の子たちは昔はオレをディスってた
でも今じゃオレに手紙を書いてる、オレを恋しがってるみたいだぜ
ヒップホップドリームの定番曲「Juicy」で、ビギーが歌うのは昔彼のことを馬鹿にしてきた女の子たちのこと。その子たちは、今じゃ人気ラッパーになった彼のことを恋しく思って、手紙を送ってきてるってわけだね。テクニカルライマーであるビギーはここで、keep me pissy(オレが酔っ払う)、diss me(オレをディスる)、miss me(オレを恋しがる)という言葉で韻を踏んでいるんだ。アツいパンチラインを伝えながら、しっかり韻をライミングをしているのがカッコいいぜ。
続いて紹介するのはIce Cube(アイス・キューブ)が古巣であるラップ・クルー、N.W.A.(エヌ・ダブリュー・エー)をディスった「No Vaseline」!
Ice Cube「No Vaseline (N.W.A Diss)(1991)」
Tried to diss Ice Cube, it wasn’t worth it
‘Cause the broomstick fit your ass so perfectアイス・キューブをディスろうとしたんだろうけど、無駄だったな
ホウキの柄がお前のケツにぴったりフィットしてるからな
元々N.W.A.に所属していたアイス・キューブだけど、クルーを離脱後、N.W.A.とビーフ(喧嘩)状態になり、ディス曲で攻撃されることに。そのアンサーとして作られたのがこの「No Vaseline」だ。
全編を通じてアイス・キューブの皮肉センスが溢れ出る強烈なディス曲となっているのだけど、その中でも特にイケてるのがこちらのライン。実はこのラインは、N.W.A.のアルバム「Efil4zaggin」に収録されている「Message To B.A. 」の中で、MC Ren(MC レン)がアイス・キューブに向けて「 when we see yo’ ass, we gon’ cut your hair off and fuck you with’ a broomstick!(お前のケツをみたら、髪を切り落として、ホウキで犯してやるぜ)」と言ったことに対してのアンサー。アイス・キューブをディスったらしっかりお返ししてやるぜってわけだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.249のラストを飾るのはEminem(エミネム)のEminem「Cleanin’ Out My Closet」
Eminem「Cleanin’ Out My Closet(2002)」
Now, I would never diss my own mama just to get recognition
Take a second to listen ‘fore you think this record is dissin’自分の認知度を得るために、ママをディスったりしねぇよ
このレコードをただのディスと思う前に、一度聴いてみな
2002年リリースの大ヒット・アルバム『The Eminem Show』収録の一曲。
タイトルの“Cleanin’ Out My Closet”は「自分のクローゼットを片付ける」という意味であり、エミネムが彼の少年時代を振り返り、自分を捨てた父親や、離婚した元妻、そしてドラッグ中毒だった母親のことを歌っている曲だ。エミネムは度々曲の中で自分の母親のデビーをディスっているのだけど、それは彼にとって過去の辛かった出来事をラップとして吐き出すことで自分の心の中で整理しているという事であり、まさに“Cleanin’ Out My Closet(自分のクローゼットを片付ける)”という作業なんだ。だからただのディス曲と思わず、一回聴いてみろよと歌ってるんだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。