目 次
WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.231。
今回取り上げる英語は「biz(ビズ)」。business(ビジネス)のスラングで、「仕事、業界」といった意味で使われてる言葉だ。
今回はUSラップのリリックから「biz」の使い方をチェックしてみよう!
まず紹介するのは、NY・ブルックリンを代表するレジェンドMC、Masta Ace(マスタ・エース)の「Soda and Soap」!
Masta Ace 「Soda and Soap(2004)」
I wonder how long I’ll be in this biz
‘Cause it’s not all cheer like you think it isオレはこのビジネスにこの後どれくらいいるのかな
お前が思っているみたいに、楽しいことだけじゃないんだよ
華やかな世界に見える音楽業界も実際は大変なことも多い。
ヒップホップ黎明期から活動し続けるマスター・エースならではの哀愁漂うリリックだぜ。
続いて紹介するのは、A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)のクラシック「Electric Relaxation」!
A Tribe Called Quest「Electric Relaxation(1993)」
See, I’m not the type of kid to have my biz in the streets
わかるだろ、オレはストリートでビジネスをするタイプの子供じゃないんだよ
ア・トライブ・コールド・クエストからQ-Tip(Q・ティップ)のリリック。
ストリートでドラッグを捌いたり、さまざまなビジネスをすることを自慢するラッパーが多い中、Q・ティップは真面目なありのままの自分をさらけ出してるって感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.231のラストを飾るのは、JAY-Z ( ジェイ・Z ) の「Public Service Announcement 」!
JAY-Z「Public Service Announcement (2003)」
Fresh out the fryin’ pan into the fire
I be the music biz number one supplierフライパンから飛び出して、火に入る
オレが音楽ビジネスのナンバーワン・サプライヤー
“ Fresh out the fryin’ pan into the fire(フライパンから飛び出して、火に入る)”は英語のことわざでである、“Out of the frying pan, into the fire(フライパンから飛び出して、火に入る)”を引用したもの。元々の意味は、せっかく熱くて苦しい状況を脱したと思ったら、むしろもっと熱いところにに来てしまったということで、一難去って、また一難という意味合いで使われる表現だ。つまり本来はネガティヴな状況で使われる表現なのだけど、実はジェイ・Zはポジティヴな意味合いで使っているんだ。“frying pan”はかつてジェイ・Zが売人時代に捌いて粗悪なコカイン「クラック」を作る時に使われる道具。
つまり“Fresh out the fryin’ pan(フライパンから飛び出して)”というラインはジェイ・Zが麻薬の売買から抜け出したことを表していると取ることができるね。売人を辞めた彼が飛び込んだのはもちろん音楽シーン。つまり“ fire ”とは盛り上がる音楽業界のことを表してるわけだ。“fire(音楽シーン)飛び込んだ彼はその業界で “number one supplier(1番の供給者)”になったってわけ。さすがジェイ・Z、半端ないライミングだぜ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。