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WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.209。今回取り上げる単語は「ain’t:(エイント)」。
am not、is not、are not、have not、has notなどの「否定形」のスラングで「〜ではない」という意味だ。早速USラップでの使われ方をチェックしてみよう!
まずは現在大ヒット記録中のRod Wave(ロッド・ウェイヴ)の新曲「Alone(2022)」をチェキ!
Rod Wave 「Alone(2022)」
Uh, you ever feel like you worthless? (Graah)
Like you ain’t worth shit? (Yeah)
And I know that I ain’t perfect
But you know that I’m worth it, uh (Yeah)自分に価値がないと感じたことは?
無価値だって
オレは自分が完璧じゃないって知ってる
でも価値はあるんだよ
誰もが思ったことがあるかもしれない、「自分って何なんだろう?」という気持ち。
ロッド・ウェイヴも自分のことを “I ain’t perfect(完璧な人間ではない)”と言ってるけど、それでも彼は自分に“ I’m worth it(価値がある)”ことを知ってる。自分を大切にすること、そして自分のことを思ってくれてる人を大事にすることの大切さを教えてくれるリリックだね。
続いてはWu-Tang Clan(ウータン・クラン)の「Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing ta Fuck Wit(1993)」をチェキ。
Wu-Tang Clan「Wu-Tang Clan Ain’t Nuthing ta Fuck Wit(1993)」
And if you want beef, then bring the ruckus!
Wu-Tang Clan ain’t nuthing ta fuck wit
Straight from the motherfuckin’ slums that’s busted
Wu-Tang Clan ain’t nuthing ta fuck witビーフが欲しいなら、揉め事を持ってきな
Wu-Tang Clanには手出し無用
クソみたいなスラムからやってきた
Wu-Tang Clanは手出し無用だぜ
ウータン・クランとbeef(争い)をしたいなら、 bring the ruckus!(揉め事を持ってきな)と。ニューヨーク・スタッテン・アイランドのスラム街からのし上がってきたウータンたちに喧嘩を売ったら、タダじゃ済まない。
“fuck with ”は「からかう、怒らせる」という意味があり、“I don’t fuck with 〜”は「〜のことを気にしない、どうでもいい」といった意味になるんだ。つまり、“Wu-Tang Clan ain’t nuthing ta fuck wit ”は直訳するなら「ウータンが気にするものは何もない」、
「誰もウータンにはちょっかいは出せない」といった意味になるんだ。ウータン以後色んなヒップホップ・クルーが出てきたけど、いまだにウータンが最強じゃないかと思えるくらいキャラ、ラップのスキル、そしてどう見ても喧嘩めちゃくちゃ強そうオーラが出まくってるウータン・クラン。やっぱ史上最強ヒップホップ・クルーだぜ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.209のラストはNas(ナズ)の「It Ain’t Hard to Tell(1994)」。
Nas「It Ain’t Hard to Tell(1994)」
School a fool well, you feel it like Braille
It ain’t hard to tell, I kick a skill, like Shaquille holds a pill
Vocabulary spills, I’m Ill plus Matic
バカをしっかり教育。まるで点字みたいな感覚。
難しいことじゃねぇよ。スキルをキック。まるでシャキールが持ってるピル。
ナズはラップがわかってないfool(バカ)たちを、しっかりschool(教育)。
ナズの教育を受けた人は、まるで視覚障害がある人がBraille(点字)を使って文字を読むことができるように、ナズのリリックのすごさを感じることができるんだ。
そしてその教育はナズにとってIt ain’t hard to tell(難しいことじゃない)。
NBAスターであるシャキール・オニールがボールを小さなpill(錠剤)のように軽々と扱うくらい簡単だ。こんな感じであり余るヴォキャブラリーを溢れ出すナズは、Ill plus Matic(イルマティックはスラングで「最高にヤバい」)てこと。いやはや、さすが神の子ナズ、リリックの文章レベル桁違いだぜ。